キューバンとビッグスリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 05:10 UTC 版)
「ダーク・ノヴィツキー」の記事における「キューバンとビッグスリー」の解説
2年目の1999-00シーズン、ネルソンはノヴィツキーのパス技術をより活かすためにポイントフォワードに起用し、ノヴィツキーも徐々に本来の実力を発揮するようになった。最も重要な動きはコートの外で起こった。ノヴィツキーが加入した当時のマブスは弱小チームで、長年低迷していたが、この年にIT産業で財を成したマーク・キューバンがマブスを買収し、球団オーナーとなると、それまで貧乏球団だったマブスにキューバンの豊富な資金が流れるようになった。チームの将来に明るい兆しが見えたことでノヴィツキーも急成長を遂げ、このシーズンは17.5得点6.5リバウンドと大きく数字を伸ばし、MIP投票では2位となった。またノヴィツキーの代表的な武器となるスリーポイントシュートの成功率、試投数、成功数を大幅に増やしてことでNBAオールスターウィークエンドではスリーポイント・シュートアウトの参加選手に選ばれ、ノヴィツキーはコンテスト史上最長身の選手となった。チームもエースのマイケル・フィンリーにノヴィツキー、セドリック・セバロスに率いられ、前年の19勝31敗から40勝42敗と勝率を伸ばしたが、プレーオフには届かなかった。 2000-01シーズンには21.8得点9.2リバウンドと一流選手の数字を残し、オールNBA3rdチームに初選出される。またシーズン通算3P成功数151本101ブロックは、3P成功数100本100ブロック以上を達成した選手として史上2人目だった。ノヴィツキーにフィンリー、そしてこのシーズンに大きく成長したスティーブ・ナッシュはビッグスリーと称され、彼らに率いられマブスは53勝29敗と大きく躍進し、11年ぶりのプレーオフ進出を果たした。初のプレーオフでは1回戦でジョン・ストックトン、カール・マローン擁するユタ・ジャズを破ると、カンファレンス準決勝では生涯のライバルとなるサンアントニオ・スパーズと対決する。スパーズはマブスと同じテキサス州に本拠地を置き、また、後にノヴィツキーとトップパワーフォワードの座を争うことになるティム・ダンカンが居るなど、両者がライバルとして見られるには十分な要素が揃っていた。ノヴィツキーはシリーズ中に風邪をこじらせてしまい、さらに試合中の接触で歯を折ってしまうなど散々な内容でチームも1勝4敗で敗退してしまうが、第4戦では42得点をあげてシリーズ唯一の勝利に貢献している。オフには大盤振る舞いのキューバンオーナーのもと、6年9000万ドルの大型契約を結んだ。これはドイツのスポーツ選手としてはミハエル・シューマッハに次ぐ第2位の収入だった。 2001-02シーズン、ノヴィツキーは23.4得点9.9リバウンドの成績を残し、オールスターに初出場を果たし、オールNBAチームでは2ndチームに選ばれる。チームは新たにシックスマンとしてニック・ヴァン・エクセルを加え、57勝25敗まで勝率を伸ばし、プレーオフ1回戦ではケビン・ガーネットのミネソタ・ティンバーウルブズをスイープ。ノヴィツキーは同じポジションのスーパースターであるガーネットに対し、シリーズ平均33.3得点(ガーネットは24.0得点)と圧倒して見せた。デビジョン準決勝ではクリス・ウェバー擁するサクラメント・キングスと対決。キングスのリック・アデルマンHCはノヴィツキーに対し、ウェバーではなくトルコ人フォワードのヒド・ターコルーをマッチアップさせた。ターコルーはノヴィツキーよりも低いが機動力ではノヴィツキーに勝っており、またもし高さのミスマッチを突かれても、ウェバーにダブルチームさせた。ノヴィツキーはこのキングスのディフェンスに苦しみ、シリーズ中は本来の力を発揮できず、チームも1勝4敗で敗退した。シーズン終了後にガゼッタ・デロ・スポルト紙からヨーロッパのバスケットボール年間最優秀選手に選ばれている。 2002-03シーズンにはレイフ・ラフレンツを獲得し、マブスのロスターは益々の充実振りを見せ、開幕11連勝と快調な滑り出しを見せる。ノヴィツキーも25.1得点9.9リバウンドとさらに数字を伸ばし、シーズン通算2,000得点を突破した初のヨーロッパ出身選手となった(白人選手としても1991-92シーズンのクリス・マリン以来)。マブスはフランチャイズ記録となる60勝20敗を記録し、プレーオフ1回戦ではポートランド・トレイルブレイザーズと対戦。マブスはこのシリーズで下位シードのブレイザーズに対し思わぬ苦戦を強いられるも、第7戦終盤にはノヴィツキーのクラッチシュートが決まり、ブレイザーズを4勝3敗で降した。カンファレンス準決勝では2年連続でキングスと対戦、再び第7戦までもつれたが、この試合でノヴィツキーは30得点19リバウンドの大活躍を見せ、キングスを降してカンファレンス決勝進出を決めた。この日のノヴィツキーの活躍をESPNは"Big D"と賞賛した。カンファレンス決勝ではスパーズとの対戦が待っていた。第1戦ではノヴィツキーが38得点をあげてスパーズを降すも、第2戦以降は連敗。さらに第3戦にマヌ・ジノビリとの衝突でノヴィツキーは怪我をしてしまい、以後全試合の欠場を強いられてしまう。チームのエースを失ったマブスはその後一矢報いるも2勝4敗で敗れた。ノヴィツキーにとっては全力を出し切らないままでの悔しい敗退であり、その後に受賞した2年連続のヨーロッパバスケットボール年間最優秀選手も、NBAのゼネラルマネージャー選出によるヨーロッパ最優秀選手も、ノヴィツキーの慰めにならなかった。 2003-04シーズン前にマブスは更なる補強をし、アントワン・ジェイミソンとアントワン・ウォーカーを獲得。このロスターの変更でノヴィツキーはパワーフォワードからセンターに回る必要に迫られたため、ノヴィツキーはオフに10kg近くの増量に励んだが、これが仇となり、このシーズンは21.8得点8.7リバウンドとここまで毎年数字を伸ばしてきたノヴィツキーの成績が初めて落ちた。大胆な補強をしたにも関わらず、マブスもノヴィツキーの成績に倣うように52勝30敗と成績を落とし、プレーオフでは3年連続の対決となるキングスの前に1回戦敗退となった。
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