オラウス・マグヌス
オラウス・マグヌス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 02:24 UTC 版)
エビのように書かれたポリュプス "M"と印された怪物 —『カルタ・マリナ』(1539年、部分)。 巨大エビが人を捕る —ヘンリー・リー(1875年)の複製、原画はオラウス・マグヌス『北方諸民族誌』(1555年) "クラーケンは、ザリガニやロブスターとして描かれています" スウェーデン人の オラウス・マグヌスは「クラーケ[ン]」という名前を用いていないが、さまざまなモンスターの画をその地図『カルタ・マリナ』(1539年)や著書にちりばめていることが知られ、これらのいずれかが「クラーケン」を表してないか、その試論がみられる。 オラウスの著書によれば、ある種の「鯨」は、長い歯をもち、それは"イノシシやゾウの牙のようで"、大きな眼をまもっていると書いており、これが"角を生やすことができる(飛び出さすことができる)"としている。そしてそれは角質のように硬いが、しなやかにもできるのだとする。だが、この「牙形態」のほうは「豚鯨」(ドイツ語: Schweinwal)、「角形態」のほうは「あごひげ鯨」(ドイツ語: Bart-wal)というふうに、別種としてスイスの博物学者ゲスナーが命名している。ゲスナーによれば、「星のようなあごひげ」が、上顎・下顎の周囲を取り巻くのだという。そして、これは北欧人の伝えるクラーケンのでないかと推論もみえる。 また、オラウスの地図は"クラーケンやら他のモンスターの図像が満載される"と述べる近年の学者もいる。 ジョン・アシュトンの著作(1890年、和訳『『奇怪動物百科』、2005年』) は、かなりの紙面をさいてオラウスの怪物についての解説をおこなっており、有角(あごひげ)の鯨についても引用している。ただアシュトンの持論は、オラウスがクラーケン(巨大ポリュプス)を「ザリガニやエビの姿で描いた」というものであるポリュプスは「タコ」であるはずなのに、オラウスの著書では、「ポリュプス蛸について(De Polypis)」の章の上の挿絵が、人間を捕らえた巨大エビの場面であり、同様の巨大エビが地図にも表れる。博物学者のヘンリー・リーもまた、オラウスのこの挿絵は、巨大イカ類が襲った事件を、多足のロブスターとして誤って描写したのだろう、と意見している。 ただオラウスの地図の説明文が、必ずしも書籍とは一致しない。オラウスの地図の左下( アイオナ島)に"M"と記される人間をハサミでとらえた怪物は、詳しい説明文が欠如している。ただ、この地図と関連するテキストとされる『Auslegung』には、何等分かされた地図のこの区域は、アイルランドから「幸運の島 Insula Fortunata」に至ると書かれていることを付記すべきであろう。
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