エコハウス

そんな中、住宅メーカーが販売を強化しているのがCO2排出量を抑制した「エコハウス」です。戸建て最大手の積水ハウスでは、太陽光発電システムや家庭用燃料電池を搭載した住宅の受注が全体の70%を占めるまで成長しました。大和ハウス工業やパナホームなども太陽光発電搭載住宅の受注割合が50%を超えています。
現在のエコハウスは太陽光発電や燃料電池による「創エネルギー」と、高機能断熱材や発光ダイオード(LED)照明による「省エネルギー」を組み合わせたものが一般的です。例えばミサワホームの「太陽の家 attic」は太陽光発電とオール電化、総断熱窓を組み合わせ、年間消費電力の57%を自家発電でまかなえます。
発電して余った電力を蓄える「蓄エネルギー」技術やエネルギー消費の最適制御技術も重要になっています。大和ハウス工業はリチウム蓄電池と独自のホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)を搭載した「スマ・エコハウス」の実証試験に着手し、2011年度には蓄電池付き住宅を市場投入したいとしています。
家庭のCO2排出量のうち水回り設備や空調が占める割合は3割以上になります。エコハウスの実現には浴室やトイレの省エネルギー化も必要です。窓の高断熱化や高機能の内・外装材の採用による冷暖房効率向上も重要です。
窓やドアなどの開口部は家の中で最も熱の出入りが大きく、冬の暖房時には約50%の熱が逃げてしまいます。従来の断熱窓は2枚のガラスで挟(はさ)んだ空気層で熱伝導を低くする複層ガラスが一般的でしたが、最近はガラスに金属膜をコーティングし、さらに性能を高めたLow-E複層ガラス(エコガラス)の需要が拡大しています。
国内の住宅をすべてエコガラスに交換すると、住宅のCO2排出量は10%減らせると言われています。エコガラス国内シェア1位の旭硝子は今後の市場拡大を見据え、2012年内に生産能力を現在の2倍に引き上げることを決めました。
浴室やトイレの省エネも進んでいます。TOTOが4月に発売した「エアインシャワー」は水に気泡を混ぜてシャワーを大粒化し、浴び心地を維持しつつ従来のシャワーと比べて35%の節水に成功しました。トイレ製造各社は洗浄水量の削減に努め、現在は15年前の半分以下の4~5リットルでの洗浄が当たり前になりました。INAXは水を使わずに特殊なカートリッジで便器をきれいに保つ無水小便器を開発。旧来の4リットル洗浄型小便器に比べ81%のランニングコスト削減を実現しています。
(掲載日:2010/11/29)
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