さまざまなボトルネック解消策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 22:40 UTC 版)
「マラッカ海峡」の記事における「さまざまなボトルネック解消策」の解説
上述のようにマラッカ海峡の水深の浅さからくる危険性回避のため、日本のマラッカ海峡協議会は1971年(昭和46年)に浅瀬の浚渫を提案したことがあったが、当時は冷戦下だったこともあり、ソビエト連邦軍の艦船が出入りしやすくなるという軍事上のリスクが指摘されたほか、浚渫によって漁業が打撃を受けるおそれがあるとして沿岸諸国が反対したことにより実現していない。 一方、タイ領内のクラ地峡に運河を造るという、マラッカ海峡の通航を緩和する一方で重要性も低下させるおそれのある計画が昔から幾度か取り沙汰されている。これが実現すればアフリカ・中東から太平洋への航路は約600マイル(約960キロメートル)ほど短縮される。これは、時間にすれば1日ないし2日間の時間短縮になり、燃料の節約もできることとなる。しかし、この運河の建設によりタイ南部の陸地が分断され、ムスリムが多く分離主義の動きもあるパタニ地方がタイ本土から切り離されてしまうこと、タイ中南部は潮州系や福建系の華僑人口も多く、彼らがシンガポールの地位低下を喜ばないことなど複雑な要因がからみ合っており、タイ国内にも慎重論がある。2004年、ワシントン・タイムズは、中国がタイに対して運河建設費を分担するよう申し出たことを報じたが、タイの財政難や周辺環境に与える影響の大きさも指摘され、クラ地峡運河計画は進んでいない。また、クラ地峡を横断するパイプラインを建設し、両端に超大型タンカーのための港を建設する案もあり、タイだけでなくミャンマーも同様の提案をしている。これにより、中東から東南アジアへの原油運送コストを1バレルあたり0.5ドル圧縮することができるという試算もある。 マラッカ海峡の代わりに、スンダ海峡(スマトラ島・ジャワ島間)やロンボク海峡(バリ島・ロンボク島間)などインドネシア領内の海峡を通ってインド洋から太平洋側に出る航路もあるが、スンダ海峡は水深が浅く大型船の航行には使えず、ロンボク海峡は水深は十分にあるものの、マラッカ海峡より650キロメートルもの遠回りになる、小島や岩礁が多いなどの難点がある。 2013年、中国は、ミャンマー西部のチャウピュ港から雲南省に至るパイプラインを完成。マラッカ海峡を経ずに中東から原油、天然ガスを移送する手段の一つを整えた。
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