『文明の話』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 04:35 UTC 版)
「ウィリアム・ダラント」の記事における「『文明の話』」の解説
ダラント夫妻は彼らの言う「一体の歴史」を創るために『文明の話』を通じて骨を折った。歴史の「特殊化」に対する極におき、「専門家の信仰」と言われてきたものを前もって拒否した。その目的は文明の「伝記」を書くことであり、この場合、通常の戦争、政治、偉大さや悪事の伝記ばかりでなく、文化、芸術、哲学、宗教、さらにはマスコミの興隆までを含む西洋文明を論じた。『文明の話』の大半は、それが検討した2,500年間の毎日の人々の生活状態を検討している。その証言には臆面も無く道徳的な枠組みも持ち出しており、「弱者に対する強者の支配、単純な者に対する賢者の支配」の反復を常に強調している。『文明の話』は最も成功した史料編纂シリーズである。このシリーズはサイモン & シャスターを出版社としてひとかどの会社にしたと言われてきた。全11巻本の省略しないオーディオブックがブックス・オン・テープ Inc. によって制作され、アレクサンダー・アダムズ(別名グロバー・ガードナー)が読み上げた。 『文明の話』はその文体のすばらしさ、さらにダラントが称賛したローマとルネサンスの作家の多くの格言を含んでいることでも注目に値する。「ルネサンス」の章(137ページ)でサンドロ・ボッティチェッリの性格におけるある種矛盾性を論じ、「我々の全てと同様、疑いも無く彼は多くの人物であり、その時の状況に応じて自分をある者に、またある者に転じており、本当の自分は世界から驚くべき秘密を保っている。」と記している。 『文明の話』の第10巻、『ルソーと革命』(1967年)についてはピューリッツァー賞の文学部門を受賞した。1977年、アメリカ合衆国政府から市民に与えられる最高の栄誉の1つ、大統領自由勲章をジェラルド・フォード大統領から贈られた。 『文明の話』の第1巻は『我々の東洋の遺産』(1935年)であり、さらに導入部と3巻に分かれている。導入部は読者の文明の異なる側面(経済、政治、道徳、心理)に連れて行く。第1書は中東(シュメール、エジプト、バビロニア、アッシリア、ユダヤとペルシア)の文明を扱った、第2書は「インドとその近隣」を扱った。第3書は極東まで移動し、中国文明が繁栄し、日本史が世界の政治地図で居場所を見い出している。
※この「『文明の話』」の解説は、「ウィリアム・ダラント」の解説の一部です。
「『文明の話』」を含む「ウィリアム・ダラント」の記事については、「ウィリアム・ダラント」の概要を参照ください。
- 『文明の話』のページへのリンク