『占事略决』の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 08:20 UTC 版)
『占事略决』では、各章の見出しが全て「何々法」となっており、全体で36の章がある。『占事略決』の見出しを現代語にすると以下の通り。 第一章 - 四課三伝の作成方法 第二章 - 四課から三伝を作成する九種類の方法 第三章 - 天一貴人の出し方 第一章から三章までが六壬神課で占うに当たっての手続きの解説となっている。つまり天地盤の作り方や四課三伝の立て方である。天地盤を作成するときに「式盤」と呼ばれる簡易な器具が使用されることがある。 第四章 - 十二天将が象徴するもの 第五章 - 十二月将が象徴するもの 第四、第五の章が六壬で重要視される十二天将と月将が持つ象意の解説にあてられている。 第六章 - 十干の剛柔 (罡柔) 第七章 - 十二支の陰陽 第八章 - 干を支に変換する規則 第九章 - 五行の季節による強弱変化である王相死囚老 第十章 - 王相死囚老から剋がある場合の象意 第十一章 - 五行相生相剋法 第十二章 - 十二支の刑 第十三章 - 十二支の破 第十四章 - 日徳の出し方 第十五章 - 日財の出し方 第十六章 - 日鬼の出し方 第十七章 - 干支がしめす数 第十八章 - 五行がしめす数 第十九章 - 五行、十干、十二支が表す色 第六章から第十九章は陰陽五行による五行の相剋の説明といったように、陰陽道における基礎知識や占うにあたっての前準備を記してある。なお第十二章と十三章の本来の章題は「五行相刑法第十二」、「五行相破法第十三」で、章題に「五行」の字句を含んでいるが、どちらも相生相剋とは無関係に、十二支に特殊な相互関係である「刑」と「破」の説明となっている。 第二十章 - 十二客法 第二十一章 - 十二籌法 第二十二章 - 一人から五つの事柄について問われたときの対処法 第二十章から二十二章は六壬神課で特徴的な基礎知識の解説にあてられている。つまり六壬神課は1刻 (2時間) の間は同じ四課三伝となるため、1刻 (2時間) 内に複数の依頼者が現れた場合への対処 占った結果が凶の場合、依頼者から『ではこうしたらどうなるのでしょう?』と聞かれることがあり、その場合への対処 1刻 (2時間) 内に複数の質問が出た場合への対処 がそれぞれ必要となる。なお籌とは本来は細長い竹べらで作ったクジを表す語である。十二支を書いた籌を依頼人に引かせ籌に書かれた十二支を使って四課三伝を立て直す籌法があるが、『占事略决』では三伝の中の発用(初伝)を機械的に変更する方法が解説されている。 第二十三章 - 男女の行年を知る法 行年とは男は生まれた年を寅年として、その後は年毎に十二支の順に従って進み、女性は生まれた年を申年としてその後は年毎に十二支の逆に進めて得られる十二支のことで、六壬の占いで個人差を出すのに使用される。二十三章では式盤を使って簡単に行年を算出する方法が解説されている。 第二十四章 - 空亡の出し方 第六章から第十九章と同じく、陰陽道における基礎知識である空亡の出し方の解説となっている。 第二十五章 - 占った結果としての吉凶が現れる時期を知る方法 この章の後半で解説されている方法は、他に例がない。 第二十六章 - 注目すべき三十六種類の卦とその象意 この章は特徴的な四課三伝のパターン36種が持つ象意の解説に全体があてられている。 第二十七章 - 病の原因であるところの崇を占う方法 第二十八章 - 病人の死生を占う方法 第二十九章 - 産期を占う方法 第三十章 - 産まれる子供の男女の別を占う方法 第三十一章 - 待ち人を占う方法 第三十二章 - 盗失物を占う方法 第三十三章 - 六畜の逃亡を占う方法 第三十四章 - 聞いたことを信じてよいか占う方法 第三十五章 - 雨を占う方法 第三十六章 - 晴を占う方法 第二十七の章からは、色々なテーマごとに四課三伝や天地盤のどういった事柄に着目して占うかといった具体的な占い方が説明されている。第二十七以降で解説されている占いのテーマには、「病の死生を占う法」や「産期を占う法」、「産まれる子の性別を占う法」、「晴れを占う法」といった日常生活や社会の動きに密着したものが多く、当時の人々、特に晴明に占いを依頼できるような堂上家の人達がどのような暮らしをしていたか、どのようなことに関心をもっていたかを知ることができる。 『占事略决』は、当時の六壬を知る上で極めて重要な書物である。尊経閣文庫の写本には、書写した子孫の注釈等が詳細に書き加えられている。しかしながら、その注釈には内容的に見て間違ったものも含まれており、伝承が時代と共に劣化していった様子もまたうかがわれる。
※この「『占事略决』の構成」の解説は、「占事略决」の解説の一部です。
「『占事略决』の構成」を含む「占事略决」の記事については、「占事略决」の概要を参照ください。
- 『占事略决』の構成のページへのリンク