「トランプ勝ち組陰謀論」と「限界ネトウヨ」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:01 UTC 版)
「ネット右翼」の記事における「「トランプ勝ち組陰謀論」と「限界ネトウヨ」」の解説
政治学者木下ちがやは2020年アメリカ合衆国大統領選挙をめぐってネット右翼言論界に「アメリカ大統領選は不正選挙でありトランプは勝った」という陰謀論が席巻したと語り、社会学者鳥海不二夫の調査によれば、日本の「トランプ勝ち組陰謀論」ツイートは、10万アカウントによる約58万ツイートの集団によってなされ、このうち6割超が安倍晋三を支持する「保守系アカウント」だったことを引用し、10万アカウントというのは日本のツイッターユーザーの1%に満たないが、百田尚樹や有本香、門田隆将など数十万フォロワーを持つ右翼言論人がこの陰謀論を扇動したことでエコーチェンバー現象を引き起こしたと主張する。この陰謀論に加担した言論人やアカウントは「もう限界値を超えてしまい、後戻りできないところに行ってしまった残念な保守」という意味でネット上では「限界ネトウヨ」と名付けられたという。「限界ネトウヨ」は、上念司らトランプの敗北を認めた「常識的」右翼言論人に攻撃を開始し、右翼言論界は内ゲバ状態に陥っているという。 木下によれば「限界ネトウヨ」増殖の原因は安倍前総理が退陣したことで「安倍ロス」に陥ったネット右翼が、後継の菅総理にではなく安倍前総理と「一心同体」のトランプに拠り所を求めたためという。古谷経衡は「第二次安倍政権では物足りなかった対中強硬政策についての上位互換としてトランプを見つめた」と分析している。 石戸諭は、ネット右翼が現実を無視して陰謀論にすがりついた理由として「トランプ氏が大統領でなければ『中国』に対して強く出られないという恐怖、政権変化への不安、そして日本のリベラル系メディア、知識人が『トランプ退陣』を喜んでいる -ように見えた- ことが大きな要因だろう。」「昨今の右派に共通している心情の一つに『反権威主義』がある。彼らが権威とみなしているのはリベラル系メディア『朝日新聞』であり、朝日に寄稿するような知識人たちだった。」「リベラルメディアへの反発と不信感、そして(中国)脅威論が結びついたとき、そこに都合の良い主張があれば、たとえ極端な陰謀論であっても人間は飛びついてしまう。」と論じている。 倉山満は「長すぎた安倍晋三政権が終わり、拠り所を無くした信者たちは、アメリカのドナルド・トランプ大統領に帰依していた」「そこに付け込んだのがネトウヨ芸人たちだ。『トランプが負ける要素は何もない!』『アメリカのメディアでも信頼できる情報源はトランプの有利を伝えている!』『最後は必ずトランプが勝つ!』等々、心地の良い言葉を並べ、無知蒙昧なネトウヨ相手の商売に励んだ。」「『秘密の情報を教えましょう。米軍特殊部隊がフランクフルトでサーバー押収で急襲した際、銃撃戦となり、米軍、CIA双方に死亡者。現場に何とCIA長官がおり、負傷して捕まった。身柄はキューバのグアンタナモ基地に送られ、現在尋問中。同長官が取引に応じている』信じがたいが、こんな情報を垂れ流す人物にお金を払う客が少なからず存在するのだから、驚愕だ。また、一応はプロの言論人やジャーナリストを名乗る人物が、この手の情報を拡散していたりする。」と語る。
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