《思惑》の正しい読み方
「思惑」の正しい読み方
「思惑」は「おもわく」と読む。「しわく」という読み方もあるが、仏教用語であり一般的ではない。「思惑」の意味解説
「思惑(しわく)」と読むときは、仏道の修行で断ち切れる煩悩を指す。「思惑(おもわく)」の意味は、「あらかじめ考えていたこと」「他人の反応」などになる。現代では「思惑(おもわく)」として使われる機会が多い。なぜ「思惑」と読むのか・理由
「思惑(おもわく)」は「ク語法」に由来していると考えられてきた。ク語法とは古文の文法の一種であり、動詞の最後を「く」に活用して名詞に変えることだ。つまり、「思惑」は当初、「思う(おもう)」のク語法で「思わく」だった可能性が高い。その後、「惑(わく)」の漢字があてはめられ、「おもわく(思惑)」と読まれるようになった。「思惑」の類語・用例・例文
「思惑」の類語には「想定」「予想」などがある。いずれも、物事をあらかじめ考えておく、という点が共通している。ただし、「想定」「予想」は情報に基づき計算するという面が強い。「思惑」は物事を都合よく変えようと画策する、というニュアンスを含む。以下、「思惑」を使った例文である。「彼の思惑は見事に外れた。誰も彼を信頼しておらず、投票をしなかったのだ」
「そんなに世間の思惑が気になるものなのか。自分の好きなように仕事をしたなら、それで十分じゃないか」
「私はもう10年もこの会社のために尽くしてきました。それなのに、誰かを蹴落としたいなんて言われるのは心外です。そのような思惑、抱いたことはありません」
「生きている限り、誰かの思惑に巻き込まれることはあるだろう。曲がらない信念が、ピンチのときこそ試されるのだ」
「思惑」の英語用例・例文
英語で「思惑」は「speculation」「intention」と訳される。「他人の評価」という意味では「evaluation」と置き換えられることも多い。以下、英語における「思惑」の例文である。Everyone attended the meeting with their own selfish speculation. Someone would have been outraged if he had done even a little loss. But they were desperate and calm.(誰もが自分勝手な思惑とともに、会議に出席していた。少しでも自分が損をしようものなら、誰かが激怒しただろう。しかし、彼らは必死で冷静さを演じていた)
The outline of his new business idea was very attractive. However, the evaluation of the officers was not good. They were not young enough to understand his opinion.(彼の考えた新規事業の概要はとても魅力的だった。しかし、役員の思惑は芳しくなかった。彼の意見を理解できるほど、彼らは若くなかったのだ)
She was too pure. She was completely unfamiliar with her experience of being criticized by someone. As a result, she was simply surprised by the men's aggressive intentions.(彼女はあまりにも純粋すぎた。誰かから批判されるという経験について、彼女はまったくなじみがなかった。そのため、彼女は男たちの攻撃的な思惑に触れ、ただ驚くしかなかった)
《思惑》の正しい読み方
「思惑」の正しい読み方
「思惑」の読み方は、一般的には「おもわく」である。ただ「しわく」と読まれることもある。「思惑(おもわく)」は、いわゆる湯桶読みである。音読みで統一された「しわく」の方が素直な読み方といえる。
「思惑(しわく)」は仏教の用語として扱われることも多い。
「思惑」の意味解説
「おもわく」と読む場合の「思惑」は、ただ単に人の思いや考えを意味する。そして、個人が持つ意見や、将来の予想なども含まれる。「惑」という漢字が使用されているが、惑わせるという意味合いは持っていない言葉だ。「しわく」と読む場合の「思惑」は、人を惑わせる煩悩のことを指す。仏教では修行によって、思惑を断ち切らなければならないとされている。このように「おもわく」と「しわく」は、漢字こそ共通であるが、意味が大きく異なる。
なぜ「おもわく」「しわく」と読むのか・理由
「思惑」の読みである「おもわく」と「しわく」は、それぞれ由来が異なる。本来「思惑」の読み方は、音読みで統一した「しわく」のみであった。そして、「おもわく」という読みの由来は、思うことを意味する「思はく」である。「思はく」の読みは「おもわく」であり、読みが表記に反映される形で「思はく」が「思わく」に変化した。その「思わく」の「わく」の部分に漢字の「惑」が当てられ、「思惑」となった。ただの当て字なので、「おもわく」と読む場合の「思惑」には、惑うの意味合いがないわけである。そのような成り立ちの背景があるため、「思惑(しわく)」と「思惑(おもわく)」は全く別の言葉と考えて問題はない。「思惑」の類語・用例・例文
「思惑(おもわく)」は、誰かの考えや企みなど、様々なものを表現するために使用できる。そして、誰かが予想した結果となった場合は、「思惑通り」という表現も使用する。そして、「思惑(おもわく)」の類語には、「期待」や「腹づもり」などがある。いずれも細かな意味合いこそ異なるものの、将来への予想という意味の言葉である。「思惑(しわく)」の場合の類語は、「煩悩」や「修惑」などだ。「修惑」は修行によって断ち切らなければならない誘惑を示す言葉で、思惑と同義である。
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