《亡くなる》の敬語
「亡くなる」の敬語表現
「亡くなる」という言葉はそれそのものが敬語であるという考え方があります。「死ぬ」という言葉の尊敬語が「亡くなる」であるという考え方です。この考え方の場合の敬語表現は「亡くなりました」で、「今朝、祖父が亡くなりました」などと表現できます。一方で、「亡くなる」という言葉は、「死ぬ」という直接的な言い方を避けるため遠回しにしてぼかした表現であるという考え方もあります。「亡くなる」は「死ぬ」の婉曲表現であるため、敬語ではないという考え方です。「亡くなる」を敬語ではないと考える場合の敬語表現は、「お亡くなりになる」となります。「亡くなる」という言葉に「お~なる」を付けて丁寧に表現しているものです。「亡くなる」という言葉は敬語ではないという考え方に基づいている表現ですので、この場合は二重敬語にはあたりません。
「亡くなる」の敬語の最上級の表現
「亡くなる」という言葉の最上級の敬語表現は「崩御(ほうぎょ)する」です。「崩御する」とは、国王などの最上位の身分の方が亡くなった際に使用される敬語表現で、日本でいえば天皇家の方が亡くなった場合に使用されます。天皇家の中でも、天皇・皇后・皇太子・太皇太后に対して使われる最上級の表現で、一般の人に対して使われることはありません。「亡くなる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
家族が亡くなったことを上司に知らせる場合の、ビジネスメールの例文をご紹介します。「〇〇部長
お疲れさまです。
〇〇(氏名)です。
今朝、父が亡くなりました。
ご多忙のところ恐れ入りますが、〇月〇日から〇日間、慶弔休暇を取得させていただきます。
引継ぎに関しましては別途、山本に連絡をしております。
緊急連絡先は、〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇になります。
恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
家族が亡くなったことを伝えるメールでは、引継ぎや緊急連絡先についても明記しておくと良いでしょう。会社によっては、亡くなった家族の氏名や享年、死因、葬儀の日程や喪主などの届け出をしなければならないこともあります。それぞれの会社のルールに従って必要事項の連絡をしましょう。
続いては、前社長が亡くなったことを知らせる場合の、手紙の例文をご紹介します。手紙など書面で死亡を知らせる場合は、「永眠いたしました」と表現されることが多いです。
「去る〇月〇日に弊社前社長〇〇(氏名)が永眠いたしました
ここに故人が生前賜りましたご厚誼に対し
心より御礼申し上げます
葬儀につきましては昨今の状況下を鑑みて
近親者のみにて執り行いました
ご連絡が遅れましたことを深くお詫び申し上げます
略儀ながら謹んでご通知申し上げます
株式会社〇〇
代表取締役社長〇〇(氏名)」
手紙の場合は、注意点がいくつかあります。まず、「拝啓」や「時候の挨拶」などは不要とされています。そして、句読点は使用してはいけません。「忌み言葉」、「重ね言葉」も使用しないように気をつけましょう、「忌み言葉」は、「死亡」、「死去」、「自殺」などの「死」に関する直接的な表現のことを指します。「重ね言葉」は、「再び」、「重ね重ね」、「再三」など不幸が繰り返されることを連想させる言葉で、「忌み言葉」同様に縁起が悪いとされています。
「亡くなる」を上司に伝える際の敬語表現
「亡くなる」を上司に伝える際は、家族の誰かが亡くなった場合であることがほとんどでしょう。家族が亡くなったことを上司に伝える際の表現は「亡くなりました」です。「昨夜、祖母が亡くなりました」などと伝えましょう。ストレートな表現を避けたい、という場合には「息を引き取る」と言い換えることができますので、「昨夜、祖母が息を引き取りました」と伝えることもできます。「死」という重大な事態を伝える場合、どのように伝えるのが良いのか、表現に悩むこともあるかと思います。「亡くなりました」というこの一言でも失礼ではありませんので、まずはスピーディに連絡することを心がけましょう。家族が亡くなった場合は仕事を休むことになるので、なるべく早く連絡をするのがマナーです。家族が亡くなったことが分かった時点でまず上司に一報を入れるのが良いです。そのあとで担当業務の引継ぎや葬儀の日程などについて確認し、再度連絡をするのが良いでしょう。「亡くなる」の敬語での誤用表現・注意事項
「亡くなる」を「逝去する」と表現する場合がありますが、こちらは自分の身内に対しては使わないので注意が必要です。逝去は尊敬語です。尊敬語は、相手や相手の行為を高める表現をすることによって敬意を表しますので、身内の死に対しては使いません。家族以外の他人であれば、同僚や友人、後輩、部下など目上の人以外にも使うことができます。逝去は他人の死を悼む(いたむ)場合に、「ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。」のように使われます。本来尊敬語に「ご」を使うのは間違いなのですが、「死」という重大な事態を丁重に扱う気持ちから、「ご逝去」とされています。「急逝」という言葉は身内に対しても他人に対しても使うことができます。「父が急逝いたしました」、「ご急逝を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます」このように使われます。
「亡くなる」の敬語での言い換え表現
「死」に関する言葉は直接的な表現を避ける傾向にあるため、様々な言い換え表現があります。「亡くなる」の言い換え表現は、「息を引き取る」、「天寿を全うする」、「鬼籍に入る(きせきにいる)」、「他界」などがあります。敬語での表現の場合、「今朝、父が息を引き取りました」、「祖父は天寿を全うしました」、「父が昨晩鬼籍に入りました」、「他界いたしました」となります。- 《亡くなる》の敬語のページへのリンク