《人中》の正しい読み方
「人中」の正しい読み方
「人中」の正しい読み方は「じんちゅう」「にんじゅう」「にんちゅう」「ひとなか」の四つである。ただし「じんじゅう」や「ひとちゅう」などの読み方は間違いである。四つの読み方のうちどれで読むかによって意味するものが変わってくるため、適切なものを選択する必要がある。「人中」の意味解説
・「じんちゅう」と読む場合「人中(じんちゅう)」には、1.多くの人のなか、2.人の体内、3.鼻と口との間にある縦の溝(水溝穴)といった意味がある。このうち三つ目の「縦の溝」というのは、多くの哺乳類が持つ唇上部にある溝で、鼻から上唇まで垂直に伸びている部分である。
・「にんじゅう」と読む場合
「人中(にんじゅう)」は「人中(じんちゅう)」と同じ意味で使われる。それに加えて「人間界」といった意味もある。
・「にんちゅう」と読む場合
「人中(にんじゅう)」と同じ意味で使われる。
・「ひとなか」と読む場合
「人中(ひとなか)」には「大勢のいる場所。衆人の中。また、世間」といった意味がある。
なぜ「じんちゅう・にんじゅう・にんちゅう・ひとなか」と読むのか・理由
「人中」の「人」は音読みで「ジン」「ニン」、訓読みは「ひと」。「中」は音読みで「チュウ」「ジュウ」、訓読みは「なか」である。「じんちゅう・にんじゅう・にんちゅう」については音読みの組み合わせ、「ひとなか」は訓読みの組み合わせになっている。「人中」に「じんちゅう・にんじゅう・にんちゅう・ひとなか」という複数の読み方がある理由としては、「人」と「中」がそれぞれ複数の読み方を持つ漢字であるため、熟語として組み合わせることで多くの読み方がされるようになったと考えられる。
「人中」の類語・用例・例文
「人中」が鼻の下の溝を意味するとき、その類語には「鼻溝(はなみぞ)」や「鼻下(びか)」などがある。また、大勢の人の中という意味で使われる場合、その類語としては「世の中」「世界」「社会」「世間」「世」「天下」「俗世」「世俗」「人間(じんかん)「民間」などが挙げられる。鼻の下を表す「人中」の用例としては次のようなものがある。
・「人中(にんちゅう)」の特に美しい人は忘れられない。女優サラベルナアルの人中は少しつれていて其為め前歯がちらちらと見え勝である。其魅力は無比であった。(高村光太郎『人の首』)
多くの人の中を意味する場合は以下のような用例がある。
・「着物がないですか。羽織と袴(はかま)くらいどうでもしますたい。ちと人中(ひとなか)へも出るがよかたい先生。有名な人に紹介して上げます」(夏目漱石『吾輩は猫である』)
・「何せい、七歳(ななつ)ぐらいからあの居酒屋へ奉公しておりますので、馬方やら、この辺の紙漉(かみすき)やら、旅の衆に、人中(ひとなか)で揉もまれておりますでな」(吉川英治『宮本武蔵水の巻』)
「人中」の英語用例・例文
鼻下を表す「人中」は、英語で「philtrum」と訳される。多くの人の中を表す「人中」の場合は、英語で「world」「society」「in public」「in company」などが当てはまる。用例としては以下のようなものがある。
・The philtrum is a vertical indentation in the middle area of the upper lip.(人中は上唇の中央部分にある縦長のくぼみである)
・I avoid society.(人中に出ることが嫌いだ)
《人中》の正しい読み方
「人中」の正しい読み方
「人中」の読み方は一般的には「じんちゅう」である。ただし文脈によっては「にんちゅう」あるいは「ひとなか」と読む場合もある。「人中」の意味解説
「人中」を「ひとなか」と読む場合は、たくさん人がいる場所の中のことを指す。「人中」を「にんちゅう」と読む場合は、鼻の下の、口と鼻の間にあるくぼんだ部分を指す。
そして「じんちゅう」は、上記どちらの意味でも用いられることのある読み方である。もっとも、「鼻の下のくぼみ」を指す意味で使われることが多い。
この「人中=鼻下のくぼみ」は、もともとは口から鼻に水分を運んで嗅覚機能を活発にさせる役割を持っていたとされる。哺乳類全般に見られる構造である。ただし哺乳類の発達において人中の役割は徐々に失われつつあり、人間に至っては尾てい骨などと同様の「痕跡器官」となっている。
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