湿度 湿度の概要

湿度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/05 09:09 UTC 版)

相対湿度が100%になると結露を生じる。

空気が水蒸気の形で包含できる水分量(飽和水蒸気量)は、温度により一定している。この限度を100%として、実際の空気中の水分量が最大限度の何%に当たるかを比率で表した数値が、湿度である。

湿度にも数種類の指標があるが、気象予報などで一般的に使用されるのは相対湿度である。絶対湿度absolute humidity)とは、国際的には容積絶対湿度のことである。しかし、日本では空気調和工学の分野では重量絶対湿度混合比)が「絶対湿度」と呼ばれる。

分類

容積絶対湿度

容積絶対湿度英語: volumetric humidity、略称: VH)とは、大気中に含まれる水蒸気の密度容積あたりの質量)である。単位はグラム立方メートル(g/m3)が用いられている。

容積 Va の空気中に含まれる水蒸気の質量を mw とすると、容積絶対湿度 ρw

1気圧における重量絶対湿度のグラフ。横軸が気温、縦軸が乾き空気1kgあたりの水分量(g/kg(DA))。相対湿度100%時と50%時について示す。

重量絶対湿度、あるいは混合比英語: mixing ratio, humidity ratio)とは、乾燥空気dry air)の質量に対する水蒸気の質量の比である。単位には kg/kg(DA) が用いられる(DA は dry air を意味する)。水蒸気を含む混合空気を湿潤空気(湿り空気)という。湿潤空気から水蒸気を除いた空気の成分が乾燥空気である。空気調和工学においては、湿り空気線図などで一般的に用いられる。

水蒸気量を ρw、乾燥空気の密度を ρDA とすると、重量絶対湿度 x

と表わされる[2]。 水蒸気と乾燥空気をそれぞれ理想気体とみなして近似すれば、水蒸気分圧を e、空気の圧力を P とすれば

と近似される[1][2][3]

比湿

比湿(英語: specific humidity)とは、湿潤空気の質量に対する水蒸気の質量の比である。

水蒸気量を 、乾燥空気の密度を とすると、比湿 s

と表わされる[2]。 水蒸気と乾燥空気をそれぞれ理想気体とみなして近似すれば、水蒸気圧を e、空気の圧力を P とすれば

と近似される[2][3]

その他の湿度表現

顕熱比
湿り空気の状態変化で、全熱量変化に対する顕熱量変化分の割合を言う。

湿度の変化

地球上の各地における湿度は、各地の降水量気温に大きな影響を受ける。降水量が多い地域は湿度が高く、気温の低下は飽和水蒸気量の低下につながるので絶対湿度は下がる。また、湿度は季節によっても大きく変化し、雨季には高くなり、乾季には低くなる。

日本では一般に夏季に湿度が高く、冬季に湿度が下がるため、材木などの含水量が低下し冬季に火事が多い。これは、夏湿冬乾である温帯湿潤気候温帯夏雨気候冷帯湿潤気候の地域などでも同様である。一方、夏乾冬湿である地中海性気候の地域では、冬季に湿度が上がり、夏季に湿度が低くなって山火事が多発する。乾燥による火災の目安として、実効湿度という指標が用いられる。乾燥注意報の基準には、相対湿度の日最小値である最小湿度と、実効湿度が用いられる。一日の変化は、ほぼ気温に依存し、昼間は低下し、夜間に気温が下がるにつれて湿度は上がる。気温が低下する夜間に夜露が生じたり、早朝に霧が出て日が昇ると消えるのは、このためである。

気象観測上、1日のうち最も低かった湿度の値を最小湿度として記録し、統計をとっていて、最低値は1971年1月19日鹿児島県屋久島[4][5]2005年4月9日岐阜県高山市[6]0%が記録されている。一方、最大湿度は100%に近い値になることが珍しくなく、統計は取られていない[7]

また、都市化により、湿度は長期的に低下する傾向がある。東京(大手町)では、20世紀の間に年平均相対湿度が20%程度低下した[7]。土壌などの吸湿性のある地表が少なくなった影響とみられている。


  1. ^ a b c d 田中 他『建築環境工学』、pp. 245–246
  2. ^ a b c d e 気象学概説(学芸大)の講義ノート
  3. ^ a b 里村 雄彦 (2012年4月). “第3章 大気の状態方程式と諸量” (PDF). https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/973/. 物理気候学 講義ノ-ト. 京都大学オープンコースウェア(OCW). 2015年10月12日閲覧。
  4. ^ 日最小相対湿度の項目(屋久島) 気象庁|過去の気象データ検索
  5. ^ 当時の屋久島測候所は島の北端にあった
  6. ^ 日最小相対湿度の項目(高山) 気象庁|過去の気象データ検索
  7. ^ a b 相対湿度の月別平年値 理科年表、国立天文台。


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