景気後退 景気後退の概要

景気後退

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 07:07 UTC 版)

景気循環

概要

景気後退とは、上述の通り景気が下降している状態を言う。より状態が悪いものを不況不景気)と言い、一般的にはこちらのほうが馴染み深い用語である。さらに深刻な状態にあることを恐慌と言う。

景気後退の定義は考え方によって様々であるが、日本の場合は明確な定義はない[1]。その他、以下のような定義がある。

伝統的なマクロ経済学(テクニカル・リセッション)
一年のうち、ある国の実質国内総生産が2四半期以上連続して減少(対前期比)したとき。欧州ではこれをリセッションの定義として採用している[2][1]。(ただし、これは日本ではあまり一般的な考え方ではない)。
全米経済研究所
重要な経済活動の衰退が経済全体に広がり、それが数カ月以上続いているとき。

米国では、1947年のテクニカル・リセッションは景気後退に認定されなかったが、1949年~2021年の間にテクニカル・リセッションが10回発生し[3]、全て景気後退に認定された[4]。逆にテクニカル・リセッションが発生しなかった景気後退は1947年~2021年の間では1960年と2001年(ITバブル)の2回(ただし、どちらも、連続ではないが実質GDPのマイナス成長が複数回発生している)。[5]

影響

経済学者のギウリアーノ(en:Paola Giuliano)とスピリンバーゴ(Antonio Spilimbergo)は、2014年に「en:The Review of Economic Studies」で発表した論文で、アメリカのデータを基に、若い頃の不況経験が、価値観に影響を与えることを実証的に明らかにしている[6]。18-25歳の間に不況を経験するかどうかで、その世代は価値観に大きな影響を受けるとしており、この価値観は、その後年齢を重ねてもほとんど変わらないとしている[6]

石橋湛山は不景気とは、富の唯一の源泉である労働を有効に利用しないことを意味することから「人間社会最大の罪悪」であると述べている[7]

脚注

関連項目


注釈

  1. ^ ただし、後退のみをいう場合もある。

出典

  1. ^ a b 「リセッション」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、2014、 Britannica Japan。
  2. ^ 欧州ではリセッションはどう定義されるか
  3. ^ Real Gross Domestic Product (A191RL1Q225SBEA) | FRED | St. Louis Fed
  4. ^ US Business Cycle Expansions and Contractions | NBER
  5. ^ 米国は景気後退に入った? 論争過熱、判定に平均7カ月: 日本経済新聞
  6. ^ a b 大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、18頁。
  7. ^ 岩田規久男編 『昭和恐慌の研究』 東洋経済新報社、2004年、85頁。


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