日本の補助貨幣 昭和8年制定のニッケル貨

日本の補助貨幣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 03:23 UTC 版)

昭和8年制定のニッケル貨

量目および直径はメートル法準拠となった。以下の補助貨幣は「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」により昭和28年(1953年)末限りで廃止された。

10銭ニッケル貨幣
10銭ニッケル貨幣
品位 ニッケル1,000、量目4.000グラム、直径22.00ミリ、孔径6.00ミリ 穴あき
図柄 〈表面〉菊花紋章 〈裏面〉青海波
年銘:昭和8〜12年(1933〜1937年)
(製造期間:昭和8年9月〜12年12月)
製造枚数  205,010,074枚
供試貨幣  10,074枚
発行枚数  205,000,000枚
5銭ニッケル貨幣
5銭ニッケル貨幣
品位 ニッケル1,000、量目2.800グラム、直径19.00ミリ、孔径5.00ミリ 穴あき
図柄 〈表面〉菊花紋章、旭光、金鵄 〈裏面〉勾玉
年銘:昭和8〜13年(1933〜1938年)
(製造期間:昭和8年9月〜13年1月)
製造枚数  154,407,644枚
供試貨幣  7,644枚
発行枚数  154,400,000枚
  • 昭和13年銘は発行されたものの、軍需用材料とするため日本銀行から引き揚げられ未流通[14]、数枚が現存するのみ。

臨時補助貨幣

昭和13年(1938年)の臨時通貨法(昭和13年法律第86号)制定以降発行された補助貨幣は全て同法を根拠とした臨時補助貨幣であった。

以下の臨時補助貨幣のうち銭単位のものおよび1円黄銅貨は「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」により昭和28年(1953年)末限りで廃止された。10円洋銀貨は発行されず通貨として有効で無かった。1円黄銅貨および10円洋銀貨を除く円単位の臨時補助貨幣は、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律により、この法律の下で発行された「貨幣」と見做され現在通用力を有する。

  • 昭和13年(1938年)には10銭、5銭、および1銭の臨時補助貨幣が制定された。
  • 昭和21年(1946年)には50銭の臨時補助貨幣が追加された。
  • 昭和23年(1948年)には5円、および1円の臨時補助貨幣が追加された。
  • 昭和25年(1950年)には10円の臨時補助貨幣が追加された。ただし、10円洋銀貨は発行されず、昭和26年(1951年)から青銅貨が製造された。
  • 昭和30年(1955年)には50円の臨時補助貨幣が追加された。
  • 昭和32年(1957年)には100円の臨時補助貨幣が追加された。
  • 昭和39年(1964年)には「オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣の発行に関する法律」(昭和39年法律第62号)により1000円の臨時補助貨幣が発行された。
  • 昭和56年(1981年)には500円の臨時補助貨幣が追加された。製造・発行は翌昭和57年(1982年)から。
  • 昭和61年(1986年)には「天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律」(昭和61年法律第38号)により100000円、および10000円の臨時補助貨幣が発行された。

昭和63年(1988年)3月末を以て貨幣法及び臨時通貨法は廃止され、日本の補助貨幣の歴史は幕を閉じた[2]

年銘別発行枚数

本表は、補助銅貨、白銅貨、青銅貨およびニッケル貨の年銘別発行枚数を示したものである[14][15][16] 。しかし、貨幣面の年号の発行枚数と暦年上の発行枚数は一致しているとは限らない。明治30年(1897年)頃までは貨幣の年号による発行枚数の記録が行われなかったためである[17]。銅貨は明治6年銘から存在するが、1銭を除いて製造が開始されたのは明治7年(1874年)である。また明治11年(1878年)および12年(1879年)は明治10年銘の極印を用いて製造が続けられた[16]

金貨および銀貨と同様に、2銭、1銭、半銭、および1厘銅貨にはいずれも明治25年銘が存在するが、これは流通用に発行された貨幣ではなく、シカゴ万国博覧会出品用に各2枚ずつ製造されたもので[14]現在造幣博物館に展示されている。

銅貨
年号 二銭銅貨幣 一銭銅貨幣 半銭銅貨幣 一厘銅貨幣
明治6年   1,301,486    
明治7年 [注釈 4] 3,949,758 [注釈 4] 25,564,953 [注釈 4] 16,804,440 [注釈 4] 6,979,260
明治8年 22,835,255 32,832,038 17,037,928 3,718,840
明治9年 25,817,570 38,048,906 24,292,478  
明治10年 33,097,868 30,519,429 29,728,520 23,000
明治11年 [注釈 5] 25,650,419 [注釈 5] 30,222,360 [注釈 5] 18,170,870  
明治12年 [注釈 5] 17,639,979 [注釈 5] 37,300,035 29,963,706  
明治13年 33,142,307 33,947,810 14,090,894 810
明治14年 38,475,569 16,123,612 17,929,026  
明治15年 43,527,187 19,150,666 26,458,976 3,632,360
明治16年 19,476,164 47,613,017 38,202,062 14,128,150
明治17年 12,090,586 53,702,768 38,480,248 16,009,130
明治18年   46,846,352 31,166,240  
明治19年   26,886,198 31,831,224  
明治20年   22,249,580 35,651,654  
明治21年   25,864,939 25,744,686  
合計 275,702,662 488,174,149 395,552,952 44,491,550


白銅貨(菊)
年号 五銭白銅貨幣
明治22年 [注釈 6] 28,841,944
明治23年 [注釈 6] 39,258,103
明治24年 15,924,782
明治25年 9,510,289
明治26年 8,531,858
明治27年 14,680,000
明治28年 1,030,000
明治29年 5,119,988
明治30年 7,880,012
合計 130,776,976


白銅貨・青銅貨(稲)
年号 五銭白銅貨幣 一銭青銅貨幣
明治30年 4,144,677  
明治31年 18,197,271 3,649,448
明治32年 10,658,052 9,764,028
明治33年 2,426,632 3,086,524
明治34年 7,124,824 5,555,155
明治35年 2,448,544 4,444,845
明治36年 372,000  
明治37年 1,628,000  
明治38年 6,000,000  
明治39年    
明治40年    
明治41年    
明治42年    
明治43年    
明治44年    
明治45年    
大正元年    
大正2年   15,000,000
大正3年   10,000,000
大正4年   13,000,000
合計 53,000,000 64,500,000


白銅貨・青銅貨(桐)
年号 十銭白銅貨幣 五銭白銅貨幣(大型) 五銭白銅貨幣 一銭青銅貨幣 五厘青銅貨幣
大正5年       19,193,946 8,000,000
大正6年   6,781,830   27,183,078 5,287,584
大正7年   9,131,211   121,794,756 11,661,877
大正8年   44,980,633   209,959,359 17,130,539
大正9年 30,386,990 47,906,326 52,549,211 281,829,256  
大正10年 68,716,815   127,499,120 250,924,715  
大正11年 161,093,766   163,951,669 262,032,666  
大正12年 181,691,351   80,000,000 147,899,058  
大正13年       101,183,166  
大正14年 56,008,078        
大正15年 [注釈 6] 57,105,449        
昭和2年 [注釈 6] 37,499,386     [注釈 6] 26,501,286  
昭和3年 39,998,165        
昭和4年 10,000,000     2,998,714  
昭和5年       5,000,000  
昭和6年 1,850,000     25,000,000  
昭和7年 16,150,000   8,000,000 35,065,000  
昭和8年       38,935,000  
昭和9年       100,000,000  
昭和10年       200,000,000  
昭和11年       109,165,000  
昭和12年       133,190,000  
昭和13年       87,645,000  
合計 660,500,000 108,800,000 432,000,000 2,185,500,000 42,080,000


ニッケル貨
年号 十銭ニッケル貨幣 五銭ニッケル貨幣
昭和8年 14,570,008 16,150,008
昭和9年 37,349,992 33,849,992
昭和10年 35,585,000 13,680,000
昭和11年 77,495,000 36,320,000
昭和12年 40,000,000 44,400,000
昭和13年   [注釈 7] 10,000,000
合計 205,000,000 154,400,000

注釈

  1. ^ 補助貨幣は本位金貨に相対する名称であるが、昭和6年(1931年)12月を最後に金兌換は停止され、昭和17年(1942年)2月の旧日本銀行法制定により金貨の自由鋳造も適用されないこととなり金本位制は名目化し、その後金貨は1988年(昭和63年)3月末まで現行貨幣(法定通貨)として通用力を有したものの全く有名無実のものであった。円単位の臨時補助貨発行後から1988年(昭和63年)3月末までは、当時の事実上の現金通貨が日本銀行券と臨時補助貨幣のみであったため、補助貨幣は日本銀行券に対立する用語として一般には捉えられていた。(『世界大百科事典』26、平凡社、2009年, p275.)
  2. ^ a b 戦前発行の硬貨としては珍しく両面とも菊花紋章が存在しない。
  3. ^ a b 16花弁の菊花紋章(十六葉八重表菊紋)ではなく、10花弁の菊の花の図柄が上下に2つあしらわれている。
  4. ^ a b c d 明治6年銘を含む。
  5. ^ a b c d e 明治10年銘。
  6. ^ a b c d e 供試貨幣を翌年度に発行。
  7. ^ 日本銀行に引き渡されたが流通せず鋳潰し。

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