多島海 多島海の概要

多島海

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/15 15:47 UTC 版)

フィンランド多島海域(サーリストメリ)の一部(レンピサーリ周辺)

英語archipelago(アーキペラゴ)に対する訳として用いられる。この語はもとは「多数の島を含む海域」すなわち多島海を意味していたが、現代ではほぼ例外なく「多数の島嶼」(諸島・列島・群島)を指す言葉となっている[1][2]

名称

英語の archipelago(アーキペラゴ/アーチペラゴ)は、もともとギリシア語ArkhipélagosΑρχιπέλαγος; ἄρχι-〈最初の〉+ πέλαγος〈海〉)、すなわちエーゲ海を指した固有名詞に由来する[3]。かつては英語でも語頭を大文字とし定冠詞を付した the Archipelago はエーゲ海のことを指し、エーゲ海のように島の多い海域(多島海)をも意味するようになった。しかし現代英語ではアーキペラゴが「多島海」を意味する用法はごく少なく、むしろ「多数の島」(諸島・列島・群島)を指す言葉として使われる。ただ、Archipelago が固有名称に用いられる海域(あるいは群島)に「多島海」という訳が宛てられる例も稀にはある。

  • エーゲ海(英: the Archipelago) - 地中海の一部
  • フィンランド多島海域(: Saaristomeri サーリストメリ、英: Archipelago Sea) - バルト海の一部

地理

土地が沈降するなどして、海水が陸地に浸入してできた複雑な海岸地形を沈水海岸という。この沈水海岸において、更に沈降が進んだり、海面が上昇したりすると、かつての山地の頂上部分だけが海面に頭を出し、多くの島ができる。比較的狭い海域に集中する2つ以上の島嶼の集まりを島嶼群、大規模な島嶼群を諸島といい、諸島のうち列状に並ぶものは列島、塊状の形状をなすものは群島と呼ばれる。

このようにして多くの島々ができた海域を多島海という。ギリシャのエーゲ海をはじめ、地球上には多くの多島海が存在する。多島海で構成された国としては、インドネシア日本フィリピンニュージーランドイギリスが挙げられる。そのうち最大の多島海がインドネシアである[4]

主な多島海

エーゲ海

サモス島から見たサミオプラ島

エーゲ海は、地中海の東北部にある海域で、ギリシャ本土、アナトリア半島クレタ島に囲まれ、約2,500の島々が浮かぶ。主要な島としては以下が挙げられる。

バルト海

バルト海は、ヨーロッパ大陸本土とスカンジナビア半島に囲まれた海域。海域北部にはボスニア湾、東部にフィンランド湾リガ湾、南部にはグダニスク湾などのがあり、多数の島を含む。後述するフィンランド沿岸を除く海域には主に以下の島々がある。

フィンランド

バルト海のうちフィンランド沿岸にはサーリストメリとも呼ばれる多島海域(英: Archipelago Sea)がある。沿岸の主な島々は以下の通り。

イギリス

イギリスは、ブリテン諸島で構成される多島海国家。グレートブリテン島アイルランド島の2つの大きな島と、その周囲の大小の島々からなる。特にスコットランド地方沿岸には700もの島がある。

北アメリカ

カリブ海

カリブ海は、カリブ諸島(西インド諸島)、フランスオランダではアンティル諸島とよばれる多島海である。アメリカフロリダ半島南端、および、メキシコユカタン半島東端から、ベネズエラの北西部沿岸にかけて、少なくとも7000の島、小島、岩礁、珊瑚礁がカーブを描くようにして連なる。

西インド諸島は、次のいくつかの諸島に分けられる。

日本

松島
瀬戸内海
九十九島

日本も多島海国家である。日本の領土はすべて島から成っており、6,852の島々で構成される島国である[注 1]

ここでは多島海景観で有名なものを挙げる。

フィリピン

フィリピンは、大小合わせて7,109の島々から構成される多島海国家である。

インドネシア

インドネシアは、多数の島嶼を抱え、大小の18,110もの島々により構成される。

その他


注釈

  1. ^ 国土交通省による区分けでは6,852島(本土:5島・離島:6,847島)[5]

出典

  1. ^ Merriam-Webster's Collegiate Dictionary (1999)
  2. ^ 研究社新英和中辞典
  3. ^ 多島海とは”. コトバンク. 2022年8月20日閲覧。
  4. ^ The World Factbook
  5. ^ 国土交通省サイト 離島振興課 離島とは(島の基礎知識)、2009年11月27日閲覧
  6. ^ 片岡佳哉BLUE WATER STORY 月刊<舵>2010年5月号
  7. ^ 『文明の海洋史観』中央公論新社, 1997年
  8. ^ a b c 『文明の海へ――グローバル日本外史』ダイヤモンド社, 1999年
  9. ^ 『群島—世界論』(岩波書店 2008)


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