いすゞ・ジェミニ
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概要
1974年の初代「PF型」は、提携先のGMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に基づき、オペル・カデット(GM・Tプラットフォーム (1973))をベースに開発された。この当時、世界各国でカデットをベースに開発された姉妹車たちが生産されていた。販売面では、多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得た[1]。
2代目「JT0型」と3代目「JT1型」は、GMの「Rカー」としてOEM生産(相手先ブランド供給)を視野に入れ自主開発されたモデル。特に2代目は、いすゞの乗用車史上最大の販売台数を記録した。
しかし、3代目へのモデルチェンジでは一転して販売台数が低迷した。以後のいすゞ全体の業績悪化と販売不振により、4代目以降は自社開発を断念、ホンダのOEM供給を受けたが、いすゞの乗用車販売縮小[注釈 1]に伴い5代目で販売を打ち切った。
初代(1974年-1987年)PF50/PF60/PFD60型
いすゞ・ベレットジェミニ いすゞ・ジェミニ(初代) PF50/PF60/PFD60型 | |
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セダン LD 1974年11月発売型 | |
セダン ZZ-R 1981年10月改良型 | |
概要 | |
販売期間 |
ベレットジェミニ:1974年11月 - 1975年 ジェミニ:1975年4月 - 1987年2月 合計1974年11月 - 1987年2月[1] |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ |
2ドアクーペ[2] 4ドアセダン[2] |
駆動方式 | FR[3] |
パワートレイン | |
エンジン | G180型 キャブレター直列4気筒SOHC |
最高出力 | 100 ps/6,000 rpm |
変速機 | 3速AT/4速MT/5速MT |
前 |
前:ダブルウィッシュボーン[2] 後:3リンク式[2] |
後 |
前:ダブルウィッシュボーン[2] 後:3リンク式[2] |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,405 mm[2] |
全長 | 4,135 mm |
全幅 | 1,570 mm |
全高 | 1,365 mm |
車両重量 | 930 kg |
その他 | |
タンク容量 | 52 L |
生産台数 | 76万8537台(いすゞHPより) |
系譜 | |
先代 | いすゞ・ベレット |
1974年11月登場。型式は1.6 Lガソリン車がPF50型、1.8 Lガソリン車がPF60型。1.8 Lディーゼル車がPFD60型。
いすゞではこの時期まで、基本設計が10年以上前に遡り、陳腐化したベレットの生産が続いていた。GMが引き続きベレットの生産継続を主張したのに対し、いすゞは市場性の見地よりモデルチェンジを要望、その結果、GMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に基づきオペル・カデット(GM「Tカー」)をベースに新型車を開発する事が決定した。
「Tカー」はオペル・カデットのほか、
- 米国:シボレー・シェベット、ポンティアック・1000
- 韓国:セハン・ジェミニ、セハン・マックス(※ピックアップトラック)→セハン・メプシ/大宇・メプシーナ
など世界中で姉妹車が生産されていた。オーストラリアのGM系メーカーであるホールデンは「ホールデン・ジェミナイ("Gemini"のオーストラリア英語発音)」として日本からいすゞ製ジェミニを輸入した。
車名の「ジェミニ」は英語で「ふたご座」の意味。ベレットの後継車としての位置を明確とするため1975年までは「ベレットジェミニ」と名乗っていた。
ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類。当初は1.6 LシングルキャブのSOHCエンジンを搭載したPF50型のみのラインナップであったが、ベース車両となったオペル・カデットそのままに逆スラントノーズを採用し、直線を基調にした欧州風のボディデザインで、ドアまわりは当時としては珍しく丸みを帯びているのが特徴である。
先代のベレットは基本設計の古さもあり、開発当初の本来の車格はともかく、ボディサイズは1970年代中期では廉価な「大衆車」クラスに位置していたが、ジェミニは開発年次の新しいカデットをベースとしたため、ボディサイズが大幅に拡大されていた。[要出典]このため、日本の大衆車の代表的車種であるカローラ、サニーの当時(1974年)のモデルよりもエンジン、ボディとも一回り大きく、やや上位クラスにあった。ベースのカデット譲りの堅実な設計に、実績のあるいすゞ製エンジンを組み合わせたスペックは一定の商品性があり、ジェミニはすぐにいすゞの主力車種となった。
同じいすゞでも上級車種のフローリアンとは明確な差があったが、1977年にジェミニにも1.8 Lエンジン搭載車が追加され、フローリアンと重複するようになった。しかしこの頃には、旧弊化したフローリアンを購入する一般ユーザーはほとんどおらず、両車のスタイルや性格の差もあり、元々不人気車種になっていたフローリアンの販売に特に影響は無かったようである。
ヘッドランプは、オリジナルは丸目2灯であったが1977年6月に角目2灯に変更。1979年6月にジェミニ独自のフェイスリフトが行われスラントノーズ形状に変更[4]、ヘッドランプもスポーティー系グレードに限り丸目2灯に戻った。1981年に異型角目2灯に変更される。
1979年11月にはディーゼルエンジン搭載車と1.8 L DOHCガソリンエンジン搭載のホットモデル「ZZ」(ダブルズィー)シリーズが追加された。また車名表記も大文字&小文字の「Gemini」から大文字の「GEMINI」と変更されている。「ZZ」シリーズには「ZZ/L」「ZZ/T」に加え極めてハードなサスペンションセッティングが施され走りに特化したモデルとして「ZZ/R」というスポーツモデルも存在した[5]。
このディーゼルエンジンモデルは「第二次オイルショック」の時期と重なったことで、低燃費車として脚光を浴び、1982年には世界初の電子制御式ディーゼルエンジンモデルも登場した。このため、後期型の初代ジェミニは「80年代のディーゼル車」とも言われるように、ディーゼル乗用車の代表として広く認知される。
もっともその後は、従前のいすゞ乗用車の多くと同じく、1980年代に入っても基本設計の変わらないままにフェイスリフトやマイナーチェンジを施されての長期生産が続くことになった。
1985年には2代目となるFFジェミニが登場するが、ディーゼルエンジン搭載車やスポーツモデルが当初設定されていなかったことから、それらの領域をカバーするため初代ジェミニも継続生産された。バリエーションは整理され、クーペは廃止されたものの、スポーツモデル「ZZ/R」や1.6 L、1.8 Lのガソリン (SOHC) エンジン搭載モデルも残された。
その後、2代目ジェミニのバリエーションが充実したことを受け、1987年2月に生産・販売を終了した。総生産台数は76万8,537台(いすゞHPより)。
- 機構
駆動方式は後輪駆動。エンジンは当初1.6 L SOHCの「G161型」のみであったが、1977年6月より1.8 L SOHCの「G180型」が追加。さらに、1979年のビッグマイナーチェンジ時に1.8 L DOHCエンジンと1.8 Lディーゼルエンジンが追加された。
組み合わされるトランスミッションは当初4速MTのみでスタートするが、1975年に3速AT、1976年に5速MTが追加された。
サスペンションは前輪がダブルウィッシュボーン式、後輪が3リンク・コイルスプリング式リジッドで、ステアリングはラック・アンド・ピニオン式を採用していた。
- 歴史
- 1974年
- 5月 前年(1973年)10月に生産が終了したベレットの後継車として「ベレットジェミニ」(PF50型)が発表。
- 11月 1.6 Lガソリン車(PF50型)登場。クーペ、セダン共に「LD」、「LT」、「LS」の3グレードを用意していた。全車4速MT車。
- 1975年
- 4月 安全対策向上のために改良実施。また、これに合わせて車名からベレットの後継車という位置付けを明確にするために付けていた「ベレット」という冠が取れ、単に「ジェミニ」となった。
- 10月 下級グレードに3速AT者が追加される[2]。
- 12月 昭和50年排ガス規制に適合。「LD」、「LT」に3速AT車を追加。
- 1976年
- 5月 「LS」に5速MT車をオプション設定化。
- 11月 昭和51年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。内、外装をやや豪華に設えた「LTミンクス」を追加。「ミンクス」の名は、かつていすゞがライセンス生産していた「ヒルマン・ミンクス」から取られた。
- 1977年
- 1978年
- 11月 1.8 Lガソリン車が昭和53年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。1.8 Lガソリン車セダンに「ミンクス」クーペにスポーティグレードのLS/G「ブラックジェミニ」を追加。同時に、1.6 Lガソリン車も一部改良を実施した。
- 1979年
- 1980年
- 3月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「ZZ-L」を追加。
- 6月 LS相当のスポーティーなディーゼル車の「ゴールドディーゼル」とエアコンとステレオ標準装備の1800「クリーンLT」(ガソリンとディーゼルに設定)
- 9月 ジェミニのディーゼル車が「ディーゼル乗用車クラス」での販売台数1位になった事を記念して、「いすゞジェミニディーゼル感謝祭」を開催。合わせて特別仕様車を限定発売した。
- 同年にはディーゼル車の酷な販売台数ナンバーワンを記録[2]。
- 1981年
- 1月 1.8 Lディーゼル車に998,000円の「LDスペシャル」を追加。
- 4月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「ZZ-R」を限定発売。当時参戦していた国内ラリーを意識したモデルだった。
- 10月 マイナーチェンジでインパネのデザインが大幅に変更される。ヘッドランプが近代的な異型2灯に変更。リアは変更なし。1.8 L車に「LG」、1.8 Lディーゼル車に「LJ」(クリーンLTの改称)「LS」(ゴールドの改称)を追加。
- 1982年
- 9月 1.8 Lディーゼル車に初の電子制御燃料噴射装置を内蔵して66馬力にパワーアップした「LT-E」「LJ-E」を追加。
- 10月 一部改良。73馬力までパワーを上げた1,800 cc ディーゼルターボ車(PFD60型)が登場。世界初の電子制御式のターボチャージャー搭載ディーゼルエンジンであった。ここから「ディーゼルのジェミニ」はバリエーションを広げていった[2]。
- 1983年
- 10月 一部改良でドアミラーを採用。車種整理でカスタムシリーズを追加。
- 1984年
- 12月 特別仕様車「エクストラシリーズ」を追加。
- 1985年
- 3月 1.8 Lガソリン車の「ZZ」を改良。
- 5月 2代目・FFジェミニが登場するが、初代も継続生産され、2代目と併売された。
- 1987年
- 2月 生産・販売終了。同時に2代目は「FF」の冠が取れ、単に「ジェミニ」となる。
-
セダン LT 初期型
-
セダン LT 車内
2代目(1985年-1990年)JT150/190/600型
いすゞ・FFジェミニ いすゞ・ジェミニ(2代目) JT150/190/600型 | |
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セダンC/C FFジェミニ 1985年5月 - 1987年2月 | |
ハッチバックC/C | |
セダン 1987年改良型 1987年2月 - 1989年2月 | |
概要 | |
製造国 | 日本 |
販売期間 |
FFジェミニ:1985年5月 - 1987年2月(製造終了) ジェミニ:1987年2月 - 1990年3月 (合計1985年5月~1990年3月[3]) |
デザイン | イタルデザイン・ジウジアーロ |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ |
3ドアハッチバック[6] 4ドアセダン[6] |
駆動方式 | FF[3] |
パワートレイン | |
エンジン |
4XC1型 1.471 L キャブレター直列4気筒SOHC 4EC1-T型 1.487 L 分配型燃料噴射ポンプ式直列4気筒SOHCディーゼルターボ |
変速機 | NAVi5/3速AT/5速MT |
前 |
前:マクファーソンストラット式[6] 後:コンパウンドクランク式[6] |
後 |
前:マクファーソンストラット式[6] 後:コンパウンドクランク式[6] |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,400 mm[6] |
全長 | 3,995 - 4,070 mm |
全幅 | 1,615 mm |
全高 | 1,370 - 1,405 mm |
車両重量 | 880 - 980 kg |
その他 | |
最低回転半径 | 4.8 m |
新車登録台数 | 20万6459台[7] |
FFジェミニ(1985年-1987年)
2代目は1985年5月、「FFジェミニ」(以下この項にて「FF」)[注釈 2]として発売された。型式名は1985年に登場した1.5 Lガソリン車がJT150型、1988年に登場した1.6 L DOHCガソリン車がJT190型。そして1.5 Lディーゼルと1.5 Lディーゼルターボ車はJT600型。燃費は10モードで13.8 - 16.0 km/L。
初代のベースとなったオペル・カデットは、1979年のフルモデルチェンジで前輪駆動化されたが、本車はそれとは直接関係なく、「クオリティ・コンパクト」というコンセプトでいすゞが独自に開発したものである。その一方で、GMの世界戦略に組み込まれ「Rカー」として1984年11月よりGM向けに供給(輸出)もされた。
117クーペ以来、17年ぶりとなるいすゞ自社設計の乗用車で、モデルチェンジにあたりアスカとの競合を避け、なおかつ米国市場をも意識して初代より一回り小型のクラス(現在のCセグメント)をターゲットとし、居住性と取り回しの良さを得るために前輪駆動化、パワーステアリングやサーボブレーキなど特に操縦性を重視した設計とされた。このコンセプト内容は、かつてベレット後継車の構想時にも検討されていた。そして、一般的なテストコースだけでなく、一般道を中心とした走り込みを敢行し、走りを磨き込んだ。それ故、正式発表前に、自動車雑誌にデモンストレーション同然にスクープ写真が掲載された。
ボディデザインは、117クーペやピアッツァなどでいすゞとの関係が深かったジョルジェット・ジウジアーロが手掛けた。しかし、いすゞ社内によるリデザインにジウジアーロが難色を示したため、発表時には彼のデザインであることは伏せられた[注釈 3]。ボディタイプは4ドアセダンと、先代の2ドアクーペに代わって3ドアハッチバックが設定された。
1986年には専用の電子制御式ターボ付き1.5 Lの2バルブSOHCガソリンエンジン「4XC1-T型」を搭載し、足回りを旧・西ドイツのイルムシャー社がチューニングしたスポーツモデルの「1.5 イルムシャー」が登場している。
当初は大衆車クラスに変更された関係で販売面が憂慮されたが、後述するテレビCMが大きな反響を呼んだことと、カラーバリエーションが豊富なことで人気を集めた。
- 歴史
- 1985年
- 1986年
- 1月 特別仕様車「ホワイト・ジェミニ」を限定発売。
- 2月 特別仕様車「ブラック・ジェミニ」を限定発売。
- 3月 特別仕様車「ブライトスプリング・ジェミニ」を限定発売。
- 4月 一部改良で同時に1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに、コンピュータ制御の5速オートマチック「NAVi5」搭載モデルが追加[6][注釈 4]。
- 6月 1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに、インタークーラー付きターボエンジンを搭載した「イルムシャー」(JT150型)を追加[6]。
- 7月 「C/C」ベースの特別仕様車「サマー・ジェミニ」を限定販売。
- 9月 特別仕様車「ホワイト・ジェミニ」を限定発売。
- 12月 「C/C」ベースの特別仕様車「ウインター・ジェミニ」を限定販売。
ジェミニ(1987年-1990年)
1987年2月にビッグマイナーチェンジを実施。特に大きな変更を受けたのはフロントマスクで、サイドマーカーをサイドに回りこませた、通称「つり目」といわれるフォグランプ一体の異型ヘッドランプを採用し、同時にグリル形状も変更された。インテリアも見直しが行われ、インパネやクラスタースイッチの形状変更などが行なわれた。
また、これと同時に初代ジェミニ(PF60型)の製造・販売が終了したため、差別化のために冠されていた「FF」というサブネームが取れ、単に「ジェミニ」(以下「2代目」)となった。
1988年には、1.6 Lの4バルブDOHCエンジン「4XE1型)を搭載し、足回りを英国のロータス社がチューニングしてBBSホイールをオプション設定(ZZ-SEのみ標準装備)した「ZZハンドリング・バイ・ロータス」仕様が追加された。のちに同じエンジンを搭載した「1.6 イルムシャー」も追加される。
「イルムシャー」は高い走行性能を有するヨーロピアン・スポーツ車として、「ZZハンドリング・バイ・ロータス」は高性能ながらも落ち着いた操縦性を有するラグジュアリ・アダルトスポーツ車としての性格付けがなされていた。また、いずれも前席にレカロ社製のセミバケットシートを標準装備していた。
1989年2月、2度目のマイナーチェンジを実施。サイドマーカー(ターンシグナルレンズ)の位置がフェンダー部分に変更され、セダンのみリヤナンバープレートの位置が、トランクリッド部分からバンパー中央部分に移動されている[注釈 5]。
2代目の総生産台数は74万8,216台(いすゞHPより))、米国販売数はいすゞ名義で150,873台、GM名義で363,171台(Ward's Automotive Yearbook[要文献特定詳細情報]より)。
- グレード
グレード展開は当初「C/C」を基本グレードとして、実用仕様の4ドア「T/T」とビジネスユースに徹した3ドア「D/D」の実質3種類だった[注釈 6]。その後、スポーツモデルの「イルムシャー」、「ZZハンドリング・バイ・ロータス」を追加。また、1988年には「C/C」の上級モデルである「G/G」が追加された。
他にも「パティオ」、屋根がキャンバストップになった「C/Cユーロルーフ」、レカロシート装備のターボディーゼル「S/S」(中期のみ)、ガソリン・ディーゼル共にNAVi5モデルなどが設定されていた。
- 機構
基本的なコンセプトは、当時いすゞが生産していたアスカと共通しており、それをサイズダウンしたものである。
エンジンは1.5 L SOHCの4XC1型および同ターボ付の4XC1-T型、1.6 L DOHCの4XE1型、1.5 Lディーゼルの4EC1型および同ターボ付の4EC1-T型。組み合わされるトランスミッションは当初、5速MTと3速ATでスタートしたが、1986年にコンピュータ制御の5速オートマチックであるドライビングロボットこと「NAVi5」を搭載したモデルが登場した。
サスペンションは前輪にマクファーソンストラットコイル式、後輪にコンパウンドクランクコイル(トーションビーム)を採用。また、スポーツモデルの「イルムシャー」仕様にはメーカーオプション扱いでビスカス式LSDの装備も可能だった。
ステアリングはラック・アンド・ピニオン式。パワーステアリング仕様も選べた。また、ブレーキには全車サーボが標準装備されたのも特徴の一つである。
- 歴史
- 1987年
- 2月 マイナーチェンジ[6]。ヘッドランプの形状が変更され、同時にグリル形状やテールレンズも変更。室内もインパネやクラスタースイッチの形状やシート表皮、内装色などが変更された。また初代製造・販売終了に伴い、名称は単に「ジェミニ」となる。
- 3月 いすゞ自動車創立50周年特別記念車として特別仕様の「C/C」を限定発売。
- 4月 セダンの1.5 Lガソリン/ディーゼル車に「パティオ」を追加。通販会社ディノスと提携した専用モデルの「ディノス」を限定発売。グレード名は「E/E」(セダン「T/T」とほぼ同仕様)。
- 5月 1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに「ユーロルーフ」モデルを追加[6]。1.5 Lガソリンターボ車に特別仕様車として「イルムシャーRS」を台数限定発売。
- 6月
- 1.5 Lガソリンターボ車のセダン/ハッチバックに、競技用ベース車両で時計、オーディオ、ホイールキャップ等の装備が省略された「イルムシャーR」を追加設定。
- いすゞ自動車創立50周年特別記念車の第2弾として特別仕様の「C/C」と「イルムシャー」を限定発売。
- 7月 「イルムシャーR」を追加[6]。
- 8月 「C/C」ベースの特別仕様車「サマー・ジェミニ」を限定発売。
- 9月 1.5 Lガソリンターボ車に特別仕様車として「イルムシャーRS」を200台の台数限定発売。
- 11月 特別仕様車「ハイクオリティ・ジェミニ」を限定発売。
- 1988年
- 2月 「NAVi5」を一部改良(「D4」レンジの追加)。
- 3月
- 1.6 L DOHCガソリンエンジン搭載車「ZZハンドリング・バイ・ロータス」(JT190型)を追加[6]。
- 1.5 Lガソリン車のセダンに「C/C」の上級グレードとして「G/G」を追加。イルムシャー専用色だった「トルーパーブルー」「ファントムグレー」を設定。
- 4月 「C/Cユーロルーフ」ベースでバンパーやサイドプロテクターなどがシルバー(ベース車は素材色)に塗り分けられた2トーンカラーの特別仕様車「C/C-SE・スプリングキュート」を限定発売。
- 5月 前年に限定発売した「ディノス」が、通販会社「ディノス」でのカタログ販売専用モデルとして追加。
- 6月
- 1.6 Lガソリン車に「イルムシャー」と受注生産の「イルムシャーR」を追加(いずれも1.6 L DOHC16バルブ)。
- 特別仕様車「クールサマー・ジェミニ」を限定発売。
- 9月 特別仕様車「オータムエレガント・ジェミニ」を限定発売。
- 1989年
- 2月
- マイナーチェンジ[6]。内外装の変更を行う。フロントウインカーのフロントフェンダー部分への移設に伴い、フロントマーカーランプのクリアレンズ化、リアコンビランプの意匠変更、リアナンバープレートをトランク部分からバンパーへ移設しリアコンビランプ間のブラック塗装を廃して車体と同色に変更(ハッチバック車とイルムシャーを除く)、ステアリングパッドのデザイン変更、オーデイオスペースの拡大(2.5→3DIN)等。
- 特別仕様車「スプリングフィット・ジェミニ」を限定発売。
- 6月 1.5 Lガソリン車のセダンに「G/Gリミテッド」を追加。
- 7月 1.6 Lガソリン車のセダンに「ZZ-SEハンドリング・バイ・ロータス」を追加。
- 9月 特別仕様車「オータムフィット・ジェミニ」を限定発売。
- 11月
- 特別仕様車「ウインターフィット・ジェミニ」を限定発売。
- 「イルムシャーRS」を台数限定発売。
- 2月
- 1990年
- 1月 C/Cベースの特別仕様車「ウインター・ジェミニ」を限定発売。その後、同月内に生産を終了し、在庫販売体制に入る[8]。
- 3月 3代目にバトンタッチして販売終了。
-
「ZZ」ハンドリング・バイ・ロータス
-
1989年2月改良型
イルムシャー(リア) -
ハッチバック(リア)
-
ジオ・スペクトラム
注釈
- ^ 後に、アスカやビッグホーンなどのSUVも販売を終了したことから、いすゞは乗用車販売から完全撤退した。
- ^ 当時いすゞが得意とし、販売上も大きな比率を占めていたディーゼルエンジン搭載車やスポーツモデルが設定されておらず、それらの領域をカバーするため後輪駆動の初代(PF60型)も併売されていた。そのため、当初2代目については「FF」を冠して初代と区別していた。
- ^ ジウジアーロが関わったことが公になったのは、1987年にイタリアのアウトモビリア社が出版したジウジアーロの作品集に、写真が掲載されたためである。
- ^ この当時はまだ「D4」レンジがなかった。
- ^ トランクそのものは同じものを使用しているが、もともとプレートがあった部分にはカバーがかぶせられている。なお、このナンバー位置は3代目のセダンにも引き継がれている
- ^ 前期の「D/D」に至ってはビニールレザーシートのみならず、規格型の角型シールドビーム、専用グリルを採用するほど徹底的に簡素化されていた。
- ^ このエンジンは後にマツダにもOEM供給され、8代目ファミリアセダンと4代目フォードレーザーセダンに搭載されている。
- ^ ワンボックスに当たるのは、ファーゴである。しかし、同車も1995年の秋にOEMモデルに移行した。
- ^ SUVに当たるのは、ビッグホーンとミューである。
- ^ 1,600 cc・SOHCには、FF用のVTECと4WD用の非VTECの2種類があるので、実質的には3本立てとなる。
- ^ 1600 FF・ドマーニ「E-MA4」に相当
- ^ 1600 4WD・ドマーニ「E-MA6」に相当
- ^ ドマーニ「1600Vi」に相当
- ^ ドマーニ「1600Ri」に相当
- ^ ドマーニ「1600Ri-F」に相当
- ^ ドマーニもABSを装備した場合には175/65R14
- ^ 白とシルバーはドマーニと共通だが、紺と緑はドマーニに設定されていた色ではなく、シビックフェリオに設定されていた色である
- ^ 本家のホンダ・ドマーニに前年(1994年)2月追加されたVi-Eフォンテーヌ(型式・E-MA7)に相当
- ^ 最終作となる「片輪走行篇」の新年ver時のジェミニのみ、上半分を切断し、前後を逆にしてバック走行をしているように見せかけている。
- ^ 「遊園地篇」のみ、ジェミニ2台(ホップステップジャンプと同一カラー)が大観覧車を飛び越える部分のみ、映像を加工している。
- ^ 後に車名はセハン/デーヴ・メプシ(Maepsy)を経てデーヴ・メプシーナ(Maepsy-Na)に改名。
出典
- ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。
- ^ a b c d e f g h i j k デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号18ページより。
- ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第84号3ページより。
- ^ 『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26 p115』
- ^ 『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26』
- ^ a b c d e f g h i j k l m デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第84号4ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第84号3ページより。
- ^ “ジェミニ(1985年1月~1990年1月)”. 2023年3月2日閲覧。
- ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第77号17ページより。
- ^ a b c d e f デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第77号18ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第77号17ページより。
- ^ 「いすゞ、ジェミニ受注好調--6千台突破、品不足も」日経産業新聞 1990年4月25日
- ^ 日刊工業新聞 1991年4月19日
- ^ a b c 自動車業界における組織構造の変革 SFC 慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 1995年度 組織行動論 OB68班
- ^ 「いすゞ乗用車事業を再編、モデル数を減らす--ジェミニ、米で自社販売停止」日本経済新聞朝刊 1991年10月18日
- ^ “いすゞ ジェミニ 1990年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ”. 2023年3月5日閲覧。
- ^ “いすゞ ジェミニ 1993年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ”. 2023年3月18日閲覧。
- ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第58号10ページより。
- ^ “ジェミニ(いすゞ)1993年8月~1997年1月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年2月2日). 2020年2月2日閲覧。
- ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第49号12ページより。
- ^ “ジェミニ(いすゞ)のカタログ” (2021年10月23日). 2021年10月23日閲覧。
- ^ “いすゞ ジェミニ 1997年式モデルの価格・カタログ情報” (2021年10月23日). 2021年10月23日閲覧。
- ^ 「いすゞ ジェミニの軌跡」 辻村百樹 (PDF) MotorRing No.15(社団法人 自動車技術会)2002年10月25日発行
- ^ Gemini いすゞ公式
- ^ 新オープンのミュージアム「いすゞプラザ」を見学してきた gazoo 2017年4月26日
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