ビジュアル・ノベルとは? わかりやすく解説

ビジュアル‐ノベル【visual novel】

読み方:びじゅあるのべる

ノベルゲーム


ビジュアルノベル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/29 23:48 UTC 版)

ビジュアルノベルはの上に文字を表示する[1]

ビジュアルノベル英語: visual novel)またはノベルゲーム: novel game)は、文章を読み進めることが主体のコンピューターゲームである。小説映像音声が加わったようなアドベンチャーゲーム[1]日本発祥で、英語でのvisual novel[2]の本来の意味とは異なる。

概要

ビジュアルノベルは、電子画面上で読む小説であり、画面に表示される文章に絵や映像、音、選択肢、画面効果などを加えたものである[1][3]。文章単体で読むものではなく、絵と音の存在を前提とすることや、各自の体裁を持っているが、統一規格化はされていないなどの点で、電子書籍とは異なる[3]

以前、コンシューマ機でギャルゲー分野を席巻していた恋愛シミュレーションゲームに代わって台頭した恋愛アドベンチャーゲームは、ジャンル別で言うと大半はビジュアルノベルに分類される。

英語での visual novel[2]は、キャラクターの立ち絵と背景、そこにセリフを記したテキストボックスを組み合わせたスタイルのゲーム全般を指す語として使われていて、日本語での「選択式アドベンチャーゲーム」に近い[4]。最大手ゲーム販売サイトであるSteamのタグ機能ではその意味で「ビジュアルノベル」を使っており、日本でもこちらの意味で使う用例も増えている[5]

2010年代後半、『ドキドキ文芸部!』や『VA-11 Hall-A』などの、海外製ビジュアルノベルがヒットしたことや、安価な制作ツールと公開の場が普及したこと、インディーゲーム自体の盛り上がりを受け、世界的に豊富な新作が作られるようになった。

起源
ビジュアルノベルの原形は、システムサコムが1988年に小説家の夏樹静子を迎えて発売した『DOME』[6]から始まったノベルウェアシリーズや、ハドソンが1989年に寺沢武一の監修で発売したデジタルコミック『コブラ 黒竜王の伝説』などを経て、チュンソフトが1992年と94年に発売した『弟切草』と『かまいたちの夜』によって手法が確立されたとされる[1][7][8]。この両作は同社の商標でサウンドノベルと呼ばれている。チュンソフトはサウンドノベルについて「臨場感あふれるサウンドと、さまざまな映像表現を組み合わせることで『目』と『耳』からストーリーを体感する『アドベンチャーゲーム』です[9]と説明している。
ビジュアルノベルの名前が知られるようになったきっかけは、アクアプラスのブランドであるLeaf からリリースされた「リーフビジュアルノベルシリーズ」のヒットがある[7] 。これは特に『』『』『To Heart』の3作を指すことが多い。
メリット
ビジュアルノベルは比較的低コストに制作可能で、良質なシナリオや静止画、スクリプトエンジン さえ用意すればゲームソフトとして成立させることができるため、開発体制が脆弱なメーカーが多いPCゲーム業界、特に成人向けの美少女ゲームにとっては福音であった[1]
そのため、アマチュアベースでも『月姫』(2000年)、『ひぐらしのなく頃に』(2002年)、『Fate/stay night』(2004年)などの作品が注目を集めることとなった[7]
デメリット
熱狂的なファンがいる一方で、テキストの比重が高いことから、日常的に小説に慣れ親しんでいるユーザー以外には見向きもされないという問題がある。そのため、一般の商業ゲームと比べるとユーザーの絶対数は少なく限られ、売上も一部の人気メーカー・人気サークルに集中する傾向があり、大きな売上を得られることは稀である[10]。また、評価されたシナリオライターが、より安価で市場が大きいライトノベル作家へ転向するケースも多い。
そのため、2010年代には成人向けのPCゲーム以外でビジュアルノベル形式を採用するゲームは少なくなり、成人向けゲームについても、ビジュアルノベルから脱却している18禁スマホゲーム・ブラウザゲーム・同人ゲームが大きく躍進し、市場も年々縮小しつつある。[11]

Leaf Visual Novel Series(アダルト)

Leaf以外のビジュアルノベルの一例

パソコン(一般)

パソコン(アダルト)

家庭用ゲームはサウンドノベルの項目を参照。

商標

コナミGBA用ソフト『プレイノベル サイレントヒル』のジャンル名として「ビジュアルノベル」という呼称を商標登録しようとしたが、特許庁が拒絶査定を下したため認められなかった。結果として、「プレイノベル」というジャンル名で発売された[要出典]

なお、2014年に元F&Cのプロデューサーである金杉肇が商標登録を行った[12]が、本人はビジュアルノベルに括られる作品に携わったことはない。2021年現在の名義人はビジュアルアーツ、Key代表の馬場隆博になっている。

脚注

  1. ^ a b c d e 七邊 2006.
  2. ^ a b 英語版ウィキペディアに “visual novel” の記事があります。→ en:visual novel
  3. ^ a b 岡嶋 2013.
  4. ^ ストーリーゲーム研究家・福山幸司氏が解説する歴史
  5. ^ Steam「ビジュアルノベル」セール開催記念!気になるタイトル24本をご紹介【UPDATE】”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト (2020年3月7日). 2024年12月29日閲覧。
  6. ^ ドーム”. プロジェクトEGG. 2022年2月20日閲覧。
  7. ^ a b c 樺島 2009.
  8. ^ 荒井 2013.
  9. ^ 忌火起草 解明編「システム~サウンドノベルとは?~”. セガ/チュンソフト. 2008年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月29日閲覧。
  10. ^ 例として『Fate/stay night』のWindows版売り上げは20万本である。“[CEDEC 2018]FGOにまつわる3つの物語。「ディライトワークス,FGO PROJECTをプロデュースする。~ Fate/Grand Order 成長の軌跡 2015-2018 ~」レポート”. 4Gamer.net. (2018年8月24日). https://www.4gamer.net/games/266/G026651/20180824038/ 2022年3月10日閲覧。 
  11. ^ 審査実績”. コンピュータソフトウェア倫理機構. 2022年2月20日閲覧。
  12. ^ 第5642727号

参考文献

関連項目


ビジュアルノベル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:51 UTC 版)

進撃の巨人 (アニメ)」の記事における「ビジュアルノベル」の解説

Season1 Blu-ray 第36巻収録のビジュアルノベル。監修諫山創ゲームキャラクターデザインなまにくATK各話リスト巻数サブタイトルシナリオ3 Lost in the cruel worldミカサ外伝瀬古浩司 悔いなき選択[予告](リヴァイ&エルヴィン過去編) 砂阿久雁 6 悔いなき選択(リヴァイ&エルヴィン過去編ぬばたまの夜の森に、あかあかと燃ゆる(エレン&リヴァイ外伝鋼屋ジン Wall Sina, Goodbyeアニ外伝瀬古浩司

※この「ビジュアルノベル」の解説は、「進撃の巨人 (アニメ)」の解説の一部です。
「ビジュアルノベル」を含む「進撃の巨人 (アニメ)」の記事については、「進撃の巨人 (アニメ)」の概要を参照ください。

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