GSXの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 00:38 UTC 版)
2バルブのGSシリーズ(英語版)はスズキの初めての本格的な4ストローク・オートバイへの進出だった。スズキは1950年代中ごろにコレダの商標で90ccから123㏄の4ストローク単気筒のオンロードモデルを生産していたが、1976年まではスズキは第一に2ストローク・オートバイの生産者だった。スズキの公道用オートバイのシリーズは、1970年代半ばにはほぼすべて2ストローク車だった(ヴァンケル・ロータリーを搭載したスズキ・RE-5と言う変わり種もあるが)。洗練されたスズキ・GTシリーズと、フラグシップで2ストローク水冷3気筒CCIS搭載のスズキ・GT750がこのシリーズの特徴である。並列2気筒のGS400と共に1976年に導入されたGS750がスズキの初の大排気量多気筒4ストローク車だった。GSは当時の日本製オートバイで一般的だった4ストローク4気筒エンジンを搭載したUniversal Japanese Motorcycleのスズキ版である。63馬力の空冷、ツインカム、直列4気筒のGS750は最初のレーサーレプリカである1985年の空油冷のスズキ・GSX-R750が発売されるまでのGS/GSXシリーズのスタイルを決定した。GS750の2バルブエンジンは、スズキの2ストロークエンジンの設計と製造の長い歴史の影響を受けており、新しい4ストロークエンジンでは2ストロークエンジンのボトムエンドで一般的に用いられているローラーベアリング付きクランクシャフトとなっている。 GSXのエンジンの大きな特徴はGSシリーズのドーム型ピストンと、一般的な気筒当たり2バルブの半球形燃焼室の組み合わせから、フラットトップ型ピストンと気筒当たり4バルブのツイン・スワール燃焼室(TSCC)への転換である。TSCCの構成は本質的にはペントルーフ型燃焼室の修正であり、そこに吸気流に平行なわずかなでっぱりを燃焼室の尾根部分に設けている。これはより良い火炎伝搬を通じて燃料の燃焼速度を上げるために、吸入される混合気の制御されたスワール(旋回)を促進するためだった。比較的狭いバルブ挟み角とフラットトップ型ピストンによって形成された浅い燃焼室による少ない熱損失と相まって、より高い燃焼速度は同排気量のGSエンジンに対して、GSXエンジンがより高い出力とトルクを発生することを意味した。 最初のGSXエンジンのもう一つの大きな違いはシムとバケットによる直打式バルブ駆動から、吸気と排気のバルブ挟み角が狭くなったことから、カムシャフトに対してバルブスプリングとバルブステムが内側になるように短い二股のロッカーアームを介したバルブ駆動への移行だった。ヘッド部分を別にすれば、GSおよびGSXのエンジンは一般的な設計を採用していた。 GSXと名付けられたオートバイの現在のラインナップは、初期から中期のGSX-Rシリーズの以前のスーパー・スポーツ・エンジンの派生モデルを使用した、全く異なるデザインとなっている。
※この「GSXの開発」の解説は、「スズキ・GSX」の解説の一部です。
「GSXの開発」を含む「スズキ・GSX」の記事については、「スズキ・GSX」の概要を参照ください。
- GSXの開発のページへのリンク