Fantasie f-Moll Op.49 CT42とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > Fantasie f-Moll Op.49 CT42の意味・解説 

ショパン:幻想曲 ヘ短調

英語表記/番号出版情報
ショパン幻想曲 ヘ短調Fantasie f-Moll Op.49 CT42作曲年1841年  出版年1841年  初版出版地/出版社Schlesinger  献呈先: Princese Catherine de Souzzo

作品解説

2009年8月 執筆者: 安川 智子

1839年よりジョルジュ・サンド過ごしたノアンの地で、ショパン数多く傑作生み出した1841年10月20日ショパンノアンからパリにいる友人フォンターナ宛てて、「今日ファンタジア》が終わった」と記している。41年前後ショパンは、健康的にも、またサンドとの関係においても非常に充実した時期にあり、この《幻想曲作品49のほか、《タランテラ作品43、《ポロネーズ 嬰ヘ短調作品44、《プレリュード作品45、《演奏会用アレグロ作品46、《バラード第3番作品47、ふたつの《ノクターン作品48といった作品生み出している。そのため各曲互いに影響しあい、性格的小品分類される器楽ジャンル薄めとともにそれぞれ深み自由度増している。
器楽作品用いられるファンタジーファンタジア)という名称は古くからの歴史をもつ。19世紀においてピアノ独奏曲としてのファンタジア」は珍しくないが、ショパンがこの言葉明確なジャンルとしての意識抱いていたかは疑問である。直前作曲された《ポロネーズ作品44について、ショパン当初ポロネーズ形式の《幻想曲》」あるいは「ポロネーズ一種というより、幻想曲です」ということ書いている。また晩年の傑作幻想ポロネーズポロネーズ=幻想曲)》の存在からも、ショパンポロネーズ幻想曲を非常に近い存在ととらえ、「幻想曲」という形態に、即興的色彩もちろんのこと祖国ポーランドへの想い幻想自由に表現するという役割付していたようである。
結局ショパン唯一の幻想曲となった作品49は、へ短調始まり変イ長調で終わる。全体ソナタ形式風にとらえれば、序奏Tempo di marcia)、提示部agitato68小節~)、展開部143小節~、途中Lento sostenutoエピソードを挟む)、再現部236小節~)、コーダ309小節~)となろう。しかし幻想曲タイトルふさわしく、調と楽想自由な交錯として解釈した方が自然である。「行進曲テンポTempo di marcia」と指示されたへ短調導入部は、葬送行進曲のような暗い影覆われ一拍ごとに和音付けられ重々しく進む。一方Assai allegro指示され変イ長調コーダ部(322小節~)は三連符アルペジオ華々しく上り詰め勝利宣言あるかのように終わる。このふたつの調、ふたつの楽想ショパンポーランド対するふたつの幻想的心情としてこの作品支配しているように思える三連符の走句は即興的変化伴って楽曲構成するとなる主題支え68小節~、155小節235小節)、あるいは移行部として機能する43小節~、143小節~、223小節~)。また和音による楽想は、行進曲風の移行部を形成するかと思えば127小節~)、「Lento sostenuto」のテンポ表示とともに抒情的な旋律切々と歌い上げる199小節~)。形式性と即興性兼ね備え不均等対称性保ちながらポーランドへの思い自由に謳いあげた《幻想曲》は、ショパン独特の世界作り上げるとともに、《幻想ポロネーズ》へと連なる傑作群の中心存在位置づけられよう。

アーサー・ヘドレイ編『ショパンの手紙』小松雄一郎訳、白水社2003年
Jim Samson ed. Chopin Studies. Cambridge University Press, 1988.




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Fantasie f-Moll Op.49 CT42」の関連用語

Fantasie f-Moll Op.49 CT42のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Fantasie f-Moll Op.49 CT42のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan

©2025 GRAS Group, Inc.RSS