Chrysista
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 08:10 UTC 版)
黄金色藻 Chrysophyceae 淡水を中心に分布する藻類で、多くはプランクトン性の生活を営む。単細胞遊泳性の生物が多いが、Dinobryon(サヤツナギ)のような樹状群体や Uroglena のような球状群体も見られる。珪酸質の鱗片を細胞表面に持つ生物もあり、その内 Synura 属や Mallomonas 属はシヌラ藻綱として区別する意見もある。古くはパルマ藻やペラゴ藻、ディクチオカ藻も黄金色藻に含められていたが、現在では分離されている。 真正眼点藻 Eustigmatophyceae 十数種の小さなグループで、主に淡水産。他の不等毛藻とは異なり唯一クロロフィル c を持たない。強固な細胞壁を持つ不動細胞と、壁を持たない遊走細胞の2型をとり、遊走細胞の前鞭毛に小毛を持つ。名前の由来でもある眼点は、葉緑体内ではなく細胞前部の鞭毛基部付近に存在し、光学顕微鏡でも非常に目立つ。 褐藻 Phaeophyceae 海洋に広く分布する大型海藻類で、コンブ、ワカメ、ヒジキなど食用になるものも多い。不等毛藻の中では最も人間に馴染みの深いグループである。 ファエオタムニオン藻 Phaeothamniophyceae 樹状の群体を形成する淡水性の藻類。およそ14属30種、代表種は Phaeothamnion confervicola。古くは黄金色藻綱に含められていたが、分子系統解析により褐藻や黄緑藻に近い事が分かり、1998年、Baileyらにより綱として独立させる意見が提唱された。しかしながら褐藻や黄緑藻を含むこのグループは線引きが微妙であり、どこまでを独立の綱として認めるかについては意見が分かれている。 ラフィド藻 Raphidophyceae 淡水と海水に分布する。細胞外被として細胞壁や鱗片を持たない点、従って非常に細胞形態が不安定で変形しやすい点が特徴である。また、細胞内に葉緑体が数個〜数十個と多数見られ、他の藻類と区別しやすい。ラフィド藻は淡水では地味な存在であるが、海洋、特に沿岸域では頻繁に大発生して赤潮を引き起こす。赤潮からも分かる通り、海産の種は赤褐色〜オレンジ色をしているが、淡水産のものは緑藻類のような緑色である。これは、淡水種がカロテノイドのうちフコキサンチンを欠く事による。 シゾクラディア藻 Schizocladiophyceae 2003年に設立された。1属1種 Schizocladia ischiensis のみが記載されている。18Sの分子系統解析では褐藻に近縁。海産で分枝状群体を形成するが、個々の細胞の原形質は連絡しない。また、細胞壁はアルギン酸が多く、セルロースを含まない。 黄緑藻 Xanthophyceae 淡水を中心に分布する藻類。ごく少数が海水域や汽水域に分布する。色は黄緑というよりも緑色に近く、しばしば緑藻と区別する事が困難であるが、デンプンを含まないためヨウ素液のようなα-1,4グルカン特異的な染色液により染色されないことで判別できる。体制は多彩で、球形 (Botrydiopsis)、遊泳性 (Heterochloris)、アメーバ状 (Rhizochloris)、樹状群体 (Mischococcus)、糸状群体 (Tribonema, Ophiocytium) など様々である。 クリソメリス藻 Chrysomerophyceae 1995年に設立された。およそ8属16種。糸状あるいは葉状の平面的な群体を形成する。個々の細胞の原形質は連絡しない。また、細胞壁はアルギン酸、セルロースともに含まない。 シンクロマ藻 Synchromophyceae 2007年に設立された綱。アメーバ様の藻類である Synchroma grande のみが含まれる。この藻類の葉緑体は各細胞に複数あるが、それらの四重膜のうち外側の2枚が複数の葉緑体で共有される。 アウレアレナ藻 Aurearenophyceae 2008年に設立された綱。生活環が鞭毛虫態と球形細胞からなる Aurearena cruciata のみが含まれる。鞭毛装置を中心とした細胞形態や、光合成色素の組成に特徴を持つ。分子系統解析によれば本綱は高い独立性を示す一方、褐藻綱および黄緑藻綱との近縁性が示唆されている。
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