藻類の葉緑体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/13 01:47 UTC 版)
上述のように、藻類においては葉緑体の形質は多様である。光合成色素も群によっては異なったものを持っている。比較的共通する形質としては、ピレノイドという構造がある。色素体の中に1-数個ある丸い粒状の構造で、タンパク質性で、光合成産物を貯蔵物質に変えるのに関与しているとされる。緑藻類ではデンプン合成がここで行われる。 植物界のものと藻類とで大きく異なる点に、藻類の葉緑体が、往々にして三重以上の膜で覆われている点がある。また、葉緑体のDNAがはっきりした塊に見える場合がある。これらは、近年では重複的な細胞内共生によるものと考えられるようになった。そこで「植物界や藻類の二重膜葉緑体を持つものは、葉緑体を持たない真核生物にシアノバクテリアのような原核藻類が共生したのが起源」と考えられる。二重の膜は内側が原核光合成生物の細胞膜、外側が植物細胞の細胞膜に由来すると考えるとわかりやすい。ただし、確証は得られていない。 それに対して、たとえばクロララクニオン藻の葉緑体は、四重の膜に包まれ、外側から二枚目と三枚目の間に、ヌクレオモルフと言われる、核様の構造がある。これに関して内側の二重膜が本来の葉緑体であり、その外の膜はそれを所有していた藻類の細胞膜、最外層がこの藻類自体の細胞膜に由来する。つまり、真核藻類を、非光合成性の真核生物が細胞内に取り込んだことで、藻類化したと判断できる。ヌクレオモルフは、取り込まれた藻類の核の名残である。この藻類の場合、取り込まれたのは緑藻類と判断されている。
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