1994年の衝突とは? わかりやすく解説

1994年の衝突

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 09:30 UTC 版)

木星への天体衝突」の記事における「1994年の衝突」の解説

詳細は「シューメーカー・レヴィ第9彗星」を参照 1993年3月24日ユージン・シューメーカーキャロライン・シューメーカー、ディヴィッド・レヴィらによって発見されシューメーカー・レヴィ第9彗星は、棒状見え不思議な形状をしていた。この形状見慣れないのであるため、渡辺和郎円館金らは当初この天体銀河勘違いしたほどであったその後軌道解析によって、これらは木星周回軌道乗っていることが分かった惑星小天体が捕獲される事例観測はこれが初めであったまた、木星捕獲されたのは1960年代後半から1970年代初頭にかけてであり、1992年7月7日には木星からわずか7キロメートルという、木星半径よりも小さな距離まで接近していたことも判明したその際シューメーカー・レヴィ第9彗星ロッシュ限界突破したため、潮汐力によって少なくとも20個の破片へと分裂した。これによって棒状見えたのである破片のうち、最小のものはN45メートル最大はLの1270メートルであったその後中野主一村松修よって1994年7月頃に木星衝突することが予測され実際に1994年7月16日2011分のA衝突皮切りとして、同年7月22日8時5分3秒までに、分裂した秒速60キロメートル高速相次いで木星衝突した衝突発生時点での地球位置から見て木星の輪郭から数度裏側位置での出来事であったため、直接観測することは叶わなかったが、衝突時に生じた閃光や、その後木星自転によって地球側現れ衝突痕の観測行えた。最大衝突痕は同年7月18日7時32分0秒に衝突したGよるもので、直径1万2千キロメートルという、地球とほぼ同じサイズのダークスポットと、7,500キロメートルにもなるキノコ雲木星形成した。このときの爆発力は、地球上全ての核兵器1度爆発させたときに放出されるエネルギー600倍だった。シューメーカー・レヴィ第9彗星衝突した際に発生した総合的なエネルギーは、約1.3×1021Jにも達するものであった。 この衝突によって木星大気下層部の物質上層部へと湧き出ることとなり、二量体硫黄二硫化炭素木星では初め検出したまた、その量から彗星由来のものとは明らかに異な大量アンモニア硫化水素検出したまた、二酸化硫黄などの酸素を持つ分子発見されなかったのは驚きをもって迎えられた。また、大気の上層部に大量もたらしたが、これは木星成層圏の底にあるコールドトラップ通過できないことから、大気上層部溜まっている。その量は、衝突起こった南半球の方が、北半球の2倍から3倍も多いことからも、この木星内部あるいは惑星間塵よるものではないことを示している。また、2009年2010年小天体の衝突も、温度分布データから原因として否定されている。 シューメーカー・レヴィ第9彗星衝突起こった当時は、白亜紀の大量絶滅隕石衝突よるものであることが判明し、また地球近傍天体観測技術向上したことによって毎年30 - 50個の地球近傍天体発見されていたことにより、地球へ天体衝突への対策が真剣に議論されていた時期であった。そしてシューメーカー・レヴィ第9彗星衝突起きた直後第22回国際天文学連合総会において、国際天文学連合密接な関係を持ちつつ、独立した対策グループであるスペースガード財団創設されるきっかけとなった

※この「1994年の衝突」の解説は、「木星への天体衝突」の解説の一部です。
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