高齢者医療費増大を巡る論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 22:57 UTC 版)
「日本医師会」の記事における「高齢者医療費増大を巡る論争」の解説
少子高齢化によって、高齢者の医療費1割負担や無償の継続に不可能なために改革を即座に行う必要性が指摘されている。小泉政権の改革前には高齢者医療費は現役世代の4倍であり、全世代からの保険料収入を総医療費支出が約6万円も上回っていた。国民1人当たり6万円の赤字のために全体で毎年約7兆円赤字の状態かつ、増加傾向にある。そのため、小泉純一郎は「聖域なき構造改革」を掲げ、少子高齢化による医療費増大を抑制する必要があるとして、医療制度改革をいくつか行った。それでも2019年時点で医療費が右肩上がりを続け、過去最高の42兆6000億円となっている。それでも非課税世帯の高齢者のみを除いた全世代の医療費負担を現役世代と統一する抜本的改革などが求められている。 小泉政権の医療改革に対して、日本医師会は「世界保健機関(WHO)が加盟191カ国の保健医療システムについて比較した結果、総合評価では、日本が世界で一位」「経済協力開発機構(OECD)の調査では、国内総生産(GDP)に対する総医療費の比率は、日本は先進国の中で最も低いレベル」などを挙げて反対した。また、米国の医療はGDP比14%にも上る高額の医療費を使いながらWHOの総合評価は37位であり、これは民間医療保険であるが故の高額な患者負担に対して医療が見合っておらず、保険に加入できない国民が4000万人にも達していると主張した。 小泉内閣は「聖域なき構造改革」への世論の支持を背景に、経済財政諮問会議は規制改革に関する基本方針を発表した。その骨子と医師会の意見は以下である。小泉総理は患者・医療機関・保険者の「三方一両損」による改定を指示した。株式会社の医療参入に対しては、実利追求型の企業論理が横行して医療倫理が崩壊する。『医療というのは儲かるらしいから俺たちにも一枚噛ませろ』と言う連中に医療を任せてはいけないとした。医療費総額の伸びの抑制に対しては、出血は止めなければならない、診療報酬改定は実質マイナスで構わないと認めた。公的保険による診療と自由診療(保険外診療)との併用(混合診療)に対しては、風邪引き腹痛など、誰にでも必要になる医療ほど保険でカバーすべきであり、それを実現している皆保険制度を維持すべきである一方、生殖医療や遺伝子治療など、誰もが利用するわけではない医療や、患者が選択できる医療については、自己負担・民間保険を考えるべきと賛成した。保険者と医療機関との直接契約に対して、平等性が崩壊し、フリーアクセスが崩壊するとした。
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