配役と撮影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 15:39 UTC 版)
ウェスラーは作品の配役に数年を要すことになった。多くの俳優が作品のためにさせられることを理由に断ったからである。「ほとんどのエージェントは私を避けた。彼らは私が何をしたいのか知っていたからだ」。ウェスラーは言う。「この映画を作るにあたり、実は私には多くの協力者がいた。彼らがイエスと言ってくれなければ、この映画は日の目を見なかったただろう」。最終的には俳優のほとんどが進んで撮影に参加してくれた。なぜならこの映画の必要な出演時間は短かったし、俳優にはしばしば制作側の思惑とは違う自由な芝居が認められていたからである。 ヒュー・ジャックマンは本作への出演を決めた最初の俳優である。ウェスリーは知人の結婚式でジャックマンと会った際、本作の話を持ちかけた。ジャックマンは『ネック・ボール』の台本を読むとすぐに出演に同意してくれたという。「彼が私に返事をくれたのは24時間後だったと思う。『いいよ、これやりたい』。率直に言って信じられないくらいの威勢の良さだった。バカになれるからなのか、バカに見せられるからなのか。みんなは言うだろうね、『クレージーだ、彼はもうこんなこと引き受けるべきじゃない』って」。 様々なエージェントと話したのち、ケイト・ウィンスレットも最終的に出演に合意した。ウィンスレットとジャックマンのスケッチはすぐに撮影され、2人の出演するショートフィルム『ネック・ボール』は他の大物スターの関心を引くようになる。 「Apple」のコマーシャルシリーズで共演していたジョン・ホッジマンとジャスティン・ロングは本作のスケッチでも共演しているが、ホッジマンは当初、そのことを知らずに本作への出演に合意していた。ホッジマンは言う。「僕はジャスティンからメールで『僕はまたロビンの格好をするつもり。あなたはペンギンの格好はしないの?』と言われた。だから『するよ』と送り返したら、撮影に巻き込まれ、それが映画になっちゃったんだ」。 その他の俳優の態度はそれほど愛想の良いものではなかった、事実、俳優の中には出演を依頼されても言葉を濁す者がいた。ウェスラーの友人であるリチャード・ギアは本作への出演を許諾していたが、撮影については1年以上もの間に渡ってお茶を濁していた。そのためウェスラーはギアが撮影に参加してくれる時期を待ち、現場では自由に演技してくれて構わないと告げた。こうして両者の条件が整い、ようやく撮影が行われることになった。撮影は4日間で済んだが、その4日間のうちにはロサンゼルスからニューヨークへの移動時間も含まれている。 一方、ファレリーは「俳優たちはこの作品に出演したいはずだ」と考えていた。「この映画の戦略はシンプルだ。『俳優を待つ。彼らが撮影したいときに撮影する』。その間に俳優が死去するリスクについては誰も気にしていなかったよ」。 コリン・ファレルは当初、『アダルトこびとづかん〜妖精捕獲作戦』のスケッチでレプラコーン役を演じることに同意していた。ファレルとジェラルド・バトラーがレプラコーンの兄弟役を演じるはずだったが、ファレルが撮影に臨まずに本作を降板したため、結局はバトラーが一人で二役を演じることになった。ファレリーはジョージ・クルーニーにスケッチ(クルーニーが女性を手に入れてひどい目に合うという内容)への出演を依頼した際、クルーニーから「ありえない」と言われたという。 当初はさらに2つのスケッチが本編に収録される予定だった。そのうちの一つはボブ・オデンカークの脚本・監督によるもので、ジュリアン・ムーアとトニー・シャルーブ演じる夫婦が行方不明になった娘について探偵から尋ねられるというもの。もう一つはスティーヴ・ベイカーとデイモン・エスコットの脚本・監督によるもので、アントン・イェルチン演じる死体性愛者の死体安置所職員が女性の死体とセックスして女性を甦らせてしまうというもの。どちらも最終的にはボツになったが、ペノッティはこれらのスケッチはDVDとBlu-rayに収録されると発言した。しかし実際にDVDとBlu-rayに収録されたのは前者の『娘をみつけて』のみであり、イェルチンが出演するスケッチは一般的に公開されていない。 スターたちのスケジュールに合わせて映画が製作されたために、全編の編集には数年間が費やされた。本作には多数のスターが参加しているが、ほとんどの俳優が自分の出演したスケッチが映画にどのようにはめ込まれるかを完全には把握していなかった。しかし俳優の多くはペノッティに対し、自分の出演箇所が映画の中でどのように扱われるのかについて尋ねてこなかったという。ペノッティは「彼ら(出演者)は脚本の笑いのツボに押されるように魅入られていた。それで十分満足していたんだよ」と語っている。本作を構成する13個のスケッチは、グレッグ・キニア演じる映画プロデューサーとデニス・クエイド演じる脚本家のセグメントによって一つに結ばれている。
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