適応外使用等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/24 03:48 UTC 版)
オクトレオチドは重篤な反復性の下痢の治療に適応外使用される。毒物学の分野で、スルホニルウレア過量投与後の遷延性低血糖の治療に用いられる。幼児の膵島細胞症(英語版)におけるインスリン分泌過剰に対する効果は一定していない。群発頭痛に対する治療薬(発作解除)としての臨床試験がいくつか実施され、オクトレオチドの皮下注が偽薬より有効性が高いことが示された。 オクトレオチドは肥満の治療薬としても実験的に使用され、視床下部の空腹中枢または満腹中枢に以上がある場合は特に有効であるとされた。視床下部の弓状核(英語版)に始まる回路は外側視床下部(英語版)(LH)および視床下部腹内側部(英語版)(VMH)に終わり、それぞれ脳の摂食および満腹中枢である。VMHはしばしば急性リンパ性白血病(ALL)の治療や手術、後頭蓋窩(英語版)腫瘍の放射線治療で障害を受ける。VMHが傷害されると末梢のエネルギーバランスシグナルに応答しなくなり、遠心性交感神経活動が低下して倦怠感を感じると共にエネルギー消費が減少し、迷走神経が亢進してインスリン分泌が増加し脂肪生成(英語版)が増加する。VMH機能不全はカロリーの過剰摂取を促進すると共にカロリー消費量を減少させ、継続性で難治性の体重増加をきたす。この症状に対してカロリー制限やアドレナリン系、セロトニン系薬剤を用いた治療が成功した事は過去にほとんどない。オクトレオチドは過度のインスリン分泌を抑え、活動性を増加させ、過剰の脂肪蓄積を抑制する。ALLまたは脳腫瘍治療後で他に視床下部機能不全の診断根拠を有する難治性体重増加の小児患者18名を対象とした小規模治験では、オクトレオチドは偽薬よりもBMIを低下させ、経口ブドウ糖負荷試験でのインスリン分泌を抑制し、親の報告した身体活動性およびQOLを向上させた。視床下部腫瘍がない肥満患者に長時間型オクトレオチド製剤を投与した別の臨床試験では、偽薬よりも体重およびBMIが減少し、後追い解析では、高用量の患者またはコホートの中央値よりインスリン分泌の多いコーカソイドの患者で効果が大きかった。QOLスコア、体脂肪、血中レプチン濃度、ベックうつ病特性尺度(英語版)、主栄養素摂取量では有意差が見られなかったが、オクトレオチド投与群では血糖負荷試験後の血糖値が偽薬群よりも高かった。 オクトレオチドは慢性膵炎の疼痛に対する効果も検討されている。 悪性腸閉塞の治療にも用い得る。 ミドドリン(英語版)との併用で肝腎症候群(英語版)による末梢血管拡張に使用できる。この疾患では全身の血管抵抗が増大しているため、薬剤でシャントを減少させて腎臓の灌流を改善し、肝臓移植で根本治療するまでの時間稼ぎができる。同様に、オクトレオチドは治療抵抗性低血圧にも使用できる。 乳糜胸に対する治療成功例が症例報告される一方臨床研究では有効性を示す事ができなかった。 特発性頭蓋内圧亢進症(英語版)の治療に有効であったとの小規模臨床試験が報告されている。
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