適応型の価値提供
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 05:19 UTC 版)
「アジャイルソフトウェア開発」の記事における「適応型の価値提供」の解説
ソフトウェアは解決策(ソリューション)であり、目的ではない。ソフトウェアの利用を通じて問題が解決し、価値を提供することこそが目的である。そのためには重要な問題を見出し、その問題を適切に解く解決策を届ける必要がある。 しかし重要な問題はしばしば複雑であり、一見してもその重要性を判断できず、また解決策が容易に見出せない。予測型(英: predictive)の価値提供、すなわち「完璧に計画された価値提供」は往々にして不完全に終わる。見立てた問題が重要でない、あるいは解決策に穴があることが実利用時に判明してしまう。 そうでないやり方の1つが適応型(英: adaptive)の価値提供である。適応型では完璧な予測が困難だと認め、実際の価値提供から学ぶことを重視する。仮説としての問題を定め、解決策をつくり、それを実際のユーザーへ届ける。この実際の価値提供により仮説に対する学びを得る(例: そもそも使われない・使われるが非常に使いづらい)。この学びに基づいて価値提供を適応する、すなわち問題自体・その解決策を方向修正する。たとえ事前に完璧な予測ができなくても、すばやく適応し価値を高めていくことで段階的に良い価値提供が可能になる。これが適応型の価値提供である。 適応型の価値提供にとって、実際に価値を提供できる、すなわち動くソフトウェアは最も重要である。価値提供の素早い適応には、ソフトウェアの高頻度リリースと利用が必要である。実際の価値提供に基づく学習では価値(例: 顧客満足)に焦点を合わせる。学習に基づく適応こそが本質であり、問題と解決策が変わることは狙い通りであり、むしろ価値向上の機会として歓迎されるべきである。 適応型の価値提供こそがアジャイルの目的である。アジャイルとはこの適応に対する姿勢である。宣言における「変化への対応」、スクラムにおける「適応」、エクストリーム・プログラミングにおける「変化ヲ抱擁セヨ/Embrace Change」はこの精神に他ならない。
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