近代化及び修理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 09:37 UTC 版)
「アドミラル・クズネツォフ (空母)」の記事における「近代化及び修理」の解説
2016年、シリアに向かうために英仏海峡を通過したが、その際に黒煙を噴き上げる姿が確認されており、脆弱と指摘されてきた推進システムに深刻なダメージが生じていることが確実となっていた。ただし、ガスタービン動力と異なり、不純物のある重油を燃料とする蒸気タービンのボイラーや大型ディーゼルエンジンでは、起動時や加速時に燃焼が不十分になり、黒煙が大量に発生することはよくある。 シリアから帰還後は、2017年7月30日のロシア海軍の観艦式に参加。8月以降はムルマンスクに停泊し、近代化の準備のための交換ボイラーの搬入作業などが始まった。近代化改装及び修理の契約は2018年4月23日にズヴェズドーチカと締結され、工事が開始された。改装内容はボイラーの交換、蒸気タービンのリビルドといった機関部から、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理、航空機管制複合体、火災探知と多岐にわたり、『統合造船業営団』の副総裁イーゴリ・ポノマリョフは、これらの改装により艦の寿命は20年は延長、2040年頃まで現役で就航できるとコメントしている。作業は2年半~3年に渡って続くと見積もられ、当初は2020年末に工事完了、翌2021年に航試を経て、艦隊へ復帰する予定であった。 2018年10月30日、浮きドックPD-50での作業を終え出渠中に、停電が起こりPD-50が沈没。クレーンが甲板に落下して損傷する。落下したクレーンは12月に撤去されたが、PD-50は損傷により廃棄され、代わりにムルマンスクの乾ドックを拡張して使用することになり、7月よりドックの工事が開始された。ドックの拡張工事中も改装工事は艤装岸壁にて行われるため、艦隊への復帰に大きな遅れはないとされた。 2019年12月12日、艦内で火災が発生。溶接作業中に撤去された廃材や残留していた燃料に引火したのではないかとされており、4つある発電区画の内、第1発電機区画が約600平方メートルが延焼。作業員1名とそれを救助しようとした士官1名が死亡、14人が急性一酸化炭素中毒等で負傷した。火災は翌日13日には鎮火したが、被害調査の結果は来週になる。消火に艦の存亡がかかっているとの海外メディアの報道もあったが、火災は局所に抑えられ、大型艦であるため火災区画以外では改修作業は継続されており、復帰時期に遅れが出る可能性はあるが、致命的な損傷はないと、統合造船業営団アレクセイ・ラフマノフは語っている。ただし、当初9,500万ルーブルと報じられた修理費用は、その後3億ルーブル、さらに2020年5月時点で5億ルーブルまで膨れ上がっている。
※この「近代化及び修理」の解説は、「アドミラル・クズネツォフ (空母)」の解説の一部です。
「近代化及び修理」を含む「アドミラル・クズネツォフ (空母)」の記事については、「アドミラル・クズネツォフ (空母)」の概要を参照ください。
- 近代化及び修理のページへのリンク