近代ファンタジーの転機とは? わかりやすく解説

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近代ファンタジーの転機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 13:57 UTC 版)

ファンタジー」の記事における「近代ファンタジーの転機」の解説

このような近代ファンタジー文学のひとつの転機となったのは、J・R・R・トールキンによる『指輪物語』(1937年から1949年執筆1954年刊行)である。『指輪物語』は1960年代後半北米人気博しその影響下で多くファンタジー作家登場したトールキン作品の影響文芸以外の形式表現にも及んでいる。ただしその評価と後に与えた影響は、欧州北米でも、かなり異なっている。 まず、欧州では、トールキンの「リアリズム文学へのアンチテーゼ」という第二者的な立場から脱却した神話構築」という独自の立脚点や、専門知識駆使して架空神話から人工言語まで編み出し背景世界構築しているという点などが高く評価されている。この点で、トールキン従来ファンタジー作家とは一線を画す存在であった専門知識従い世界観構築した類例としては、トールキンの元同僚でもある宗教学者C・S・ルイスの『ナルニア国物語シリーズ1950年 - 1956年) や、文化人類学者上橋菜穂子の『守り人シリーズ1996年 -)などがある。そうした傾向作品を「ハイ・ファンタジー」と呼ぶこともある。 ただしトールキン以前に(それがファンタジーというジャンルだとは認識されていなかったものの)相応規模を持つ大人向けファンタジー文学市場形成されていたアメリカ合衆国においては事情異なる。 北米ではトールキン文学性世界観評価され、後にその様式の作品産み出されはするものの、「神話構築」という視点戦前ロバート・E・ハワード時点ですでに形成されていたため、それが評価されることは稀であった北米では『指輪物語』のブーム乗る形で戦前ファンタジー作品ペーパーバックとして多数復刊され、並列する形で紹介された)。模倣者存在したという点についても同様である。また「リアリズム文学へのアンチテーゼ」という立脚点についても、英国欧州ではそのような議論正しいにせよ、ファンタジー形成当初より「神話持たない民」であるアメリカ人のための「人造神話としての性格強かったアメリカ合衆国では、そもそもファンタジー第二者的な立場作品であるという意識自体希薄であった。 これらの事情の差は、サイエンス・フィクションファンタジー要素融合させた作品多数送り出す1960年代から1970年代にかけて欧州北米との交流が進む過程希薄になり、1980年代中盤には両者姿勢それほどの差はなくなっている。 他にもさまざまな作品生み出されている。W・P・キンセラの『シューレス・ジョー』(1982年)はファンタジー傑作として映画化されている(『フィールド・オブ・ドリームス1989年)。J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』(1997年 - ) は、現代イギリス舞台現実空間のすぐそばに魔法通用する仮想空間を置くことで、リアリズム文学ファンタジー文学との融合を図る独特の作風持ち世界的なベストセラーとなっている。

※この「近代ファンタジーの転機」の解説は、「ファンタジー」の解説の一部です。
「近代ファンタジーの転機」を含む「ファンタジー」の記事については、「ファンタジー」の概要を参照ください。

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