資金不足と支援
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 17:27 UTC 版)
前述の横領事件の発生により銚子電鉄は運転資金の不足を生じ、2006年(平成18年)11月には鉄道車両の法定検査が行えないという事態に陥った。同社は同年11月15日、公式ウェブサイト上で「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という文章を掲載して、同社で製造・販売している ぬれ煎餅(後述)の購入などによる支援を呼び掛けた。 この件は2ちゃんねるなどの電子掲示板や、個人の設置したブログなどのウェブサイトを通じて大きな話題となり、マスメディアによる報道も手伝って、支援をしようという人々からぬれ煎餅の注文が殺到。製造が間に合わずに何か月も発送が遅れ、一時は注文の受け付けを中止した。観光バスで乗りに来る人も出てきて、借入金を返済することができた。また「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」の言葉は『現代用語の基礎知識』に収載されるほどになった。 この売り上げにより、車両検査の目途はついたが、問題はまだ残されており、特に鉄道設備の老朽化はかなり深刻な状況にあった。特に国土交通省関東運輸局が2006年10月23日から10月26日にかけて実施した保安監査では、路線設備での踏切や枕木の約1500本に腐食などが確認された上、場所によっては列車が通過していないにもかかわらず遮断棹が上がってしまうなどのトラブルもあったため、同省は11月24日に安全確保に関する改善命令を出して銚子電鉄に改善を指示した。 2007年1月14日、安全運行問題の解決を支援するため、有志が「銚子電鉄サポーターズ」を設置。改善命令に基づいた枕木交換や、踏切設備の改善に限定したサポート基金の募集を行った。同会の特別サポーターには報道でこの問題を知ったプロ野球選手の小林雅英が会員第1号として就き、サポート基金への協力を呼びかけた。 同年1月23日、銚子電鉄は2006年11月24日の命令に対し、今後の取り組みを記した報告書を提出。その後、枕木などの交換を行い、4月17日に同対処と駅員への運転教育による安全管理体制確立を内容とする改善措置完了報告を提出した。ただし、同局は「今後も引き続き指導していく」とのコメントを発表している。 2008年5月26日、銚子電鉄サポーターズは支援の成果を上げたとして、休止を発表。同会には2008年3月31日までに4698名から入会金として約1658万円、運営費のカンパなども合計すると約1882万円が集まった。同会はこれらの収入から安全対策基金として、2007年に970万円、2008年5月26日に540万円の計1510万円を寄贈、老朽化した踏切看板の交換費用として約100万円を支出したとしている。また、同会は電車や沿線の清掃活動や撮影会などのイベント開催なども行った。同会は今後も存続し、側面的な支援活動は継続するという。同月、ぬれ煎餅の通信販売も再開されている。
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