警察学校での生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 10:19 UTC 版)
警察学校では、入校時期と採用区分により、学生を「期」と呼ばれるグループに分ける。多くの場合、入校順に数字を「期」の前に付し、それらを「初任科第○○期」と呼称する。1つの期をさらに、小隊規模の(30人)の小グループに分け、それらを「××教場」「××班」(ともに一般の学校の「クラス」に相当)と呼称する。教場や班の名に冠する「××」には、担任教官の姓名や番号など、都道府県により異なる名称が入る(小規模県警では、期を教場ごとに分けない)。警察学校入校中、学生は教養や寮生活のあらゆる場面でこの期・教場を1つの単位として行動することとなり、他の期・教場と競争し切磋琢磨しながら学んでいく。警察学校の教養課程を修了し現場に出た後も、苦楽を共にした同期・教場の結束は“同じ釜の飯を食った仲間”と長期にわたり持続する。同時入校した、採用区分が異なる期を「兄弟期」と呼ぶことがあり、大卒程度の採用区分である期が卒業するまでは行動を共にする機会も多く、同期に準じた連帯感を有している。 各教場(班)で学生の中から教場(班)長・副教場(班)長が選ばれ、期ごとに学生の中から総代・副総代が選ばれる。選出方法は都道府県により異なるが、採用試験成績順や、教場(班)・期の中の最年長者などの方法で入校時に指名される。教場(班)長・総代は、それぞれの集団でリーダーとなり、学校生活の運営や、教官など警察学校職員と学生間の連絡調整にあたる。 基本的に、男女とも同じ教場(班)に属し、格闘技など一部を除いて座学・術科とも共通の教養を履修する。 生徒は、一定期日ごとの交代制で各種当番勤務に就く。当番の例として、授業前後に用具準備をする教場当番、警察学校敷地内に設けられた模擬交番や警備派出所に詰め敷地内警戒や出入構者確認を行う警備当番、教官室や当直室に詰め外部連絡取次ぎや建物内警戒を行う当直当番などがある。後二者は、課業時間外も所定勤務場所において、実際の交番勤務の様に徹夜または交代で当番任務を果たさなくてはならない。警察署にあっても当直当番があるため、警察学校における当番はその予行演習と位置づけることもできる。 初任教養は例外なく全寮制で、通学は認められず学生は警察学校敷地内にある寮に入居しなければならない。6~10か月の間居住するため、入校にあたって住民票も警察学校所在地に移動させる。寮では、起床・食事・学習時間・自由時間・消灯のスケジュールが定められており、学生はそれに従って行動する。 寮は棟などの単位で男女別に分かれており、両者間の行き来は特段の事情がない限り認められない(なお、警察学校では原則男女交際が禁止され、男女間の日常会話でさえ、禁止事項となっていることもある)。食堂など一部施設は、男女共用になっている。部屋は個室か、寝室部分をパーティションで区切った簡易個室となっている施設が多いが、共同で使える雑談室や勉強部屋も備えられている。浴室は共用大風呂であり、別にシャワー室が設けられている。個室のない寮の場合、各部屋に部屋長が置かれる。 休日に実家に帰宅するには学校長決裁による外泊許可が必要となっているものの、特段の事情がなければ認められる。食料品の差し入れや課業時間外の家族・知人との面会や電話連絡も認められ、ある程度の行動の自由は利くが、課題や当番などによって、事実上自由時間がないということもしばしばある。
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