調理の特徴と利点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:49 UTC 版)
圧力鍋は鍋と蓋を密封する構造になっており、加熱で圧力がかかる仕組みである。水の沸点は圧力が高くなるにつれて上昇するため、内部の温度は沸騰の前であっても100℃以上となる。鍋の種類などによって差異はあるが、およそ2気圧で120℃、圧力の高いものは2.45気圧で128℃程度になる。この高温や高圧により、野菜類ならば細胞壁が早く破壊され、肉類ならタンパク質や繊維が早く分解されるため、短時間で調理することが可能となる。調理時間は3分の1から4分の1になる。例えば、刻みキャベツは1分、新鮮な緑豆は5分、小から中サイズのじゃがいも(200gまで)は約5分、丸ごとの鶏肉は25分以下となる。長時間の蒸し煮、とろ火での煮込みの効果を短い時間でシミュレーションするためにも用いられる。加熱時、中の具材は踊らず、通常の鍋で煮るよりも動きが静かで少ない。これらの要素によって、加熱時間が少なくて済むため、大きな食材によく火を通しても煮くずれがおきにくい利点もある。また、一般の鍋で煮るよりも少量の水で調理できるため、食材に含まれる水溶性の栄養成分を食材外に流出させにくい。 さらに、プリンや茶碗蒸しを圧力鍋で調理するとすが立ちにくいという利点もある。高圧により沸点が上昇するため、卵の蛋白質が凝固する約80℃の段階では蒸気由来の細かい気泡が発生せず、表面や内部に穴が開きにくい。 圧力鍋は高圧に耐える必要があるため、過去には厚さ1センチ以上もあるような肉厚のアルミダイキャストで製作されていた。現在までに技術の進歩により、厚さ5ミリ以下のステンレスやアルミ合金のプレス成型品が主流となってきている。2010年代に入ると電子レンジで調理するための合成樹脂製のものも発売されている。 一方、大肉厚の製品には、熱伝導がゆるやかであるため煮汁の少ない調理や圧力をかけずに炒め物に用いても通常の鍋やフライパンに比べ焦げ付きが少ないという副次的な利点も持つ。また、密閉により放熱が少ないので、鍋の中が高温になったらすぐに火を止め、余熱だけで調理を進めるということもよく行われる。この仕組みに特化したものに保温調理鍋がある。薄肉の製品は軽量で、価格もかつては万円単位であったものが数千円からと安価になったが、大肉厚によるメリットは失われる。
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