設立の経緯と歴史
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タイラー基金は、日本において特定非営利活動法人としての法人格を取得している。在日米国商工会議所の事業拡大委員会委員長を務めたマーク・フェリスとキンバリー・フォーサイス・フェリスによって、生後1か月未満で乳児ALL(急性リンパ性白血病)を発症し亡くなったタイラー・フェリスを記念して2006年に設立された。 2003年に生まれたタイラーは、東京都世田谷区にある国立成育医療研究センターの前身である国立小児病院で2年余りの闘病後、2005年6月にその短い生涯を閉じた。日本では、高度な医療を受けられる一方で小児がんの子供達と家族のための心理社会的サポートが必要であるとフェリス夫妻は痛感し、同基金の設立に至った。 同基金は、入院治療中の小児がん患者の生活の質(QOL)を改善し、退院後普段の生活に円滑に戻れるよう支援することを使命とする。日本の小児がん病棟における患者ケアやサポート体制を抜本的に変えることを目指す。臨床心理士によるカウンセリングに加え、サポート・グループの運営や患者の兄弟のための保育サービス等を通じて小児がん患者とその家族を支援する活動を展開している。 病気と闘う子供達に勇気をもたらすためアメリカで考案されたビーズ・オブ・カレッジは、同基金によって初めて日本の病院に導入されたプログラムである。まず、がんと診断された子供達に自分の名前が刻まれたビーズを通した糸を渡し、治療を行う度に勇気の証として新しいビーズをひとつずつ増やしていくというもの。2010年に導入以来、病気に伴うストレスを軽減する、つらい治療にも前向きな姿勢で臨む、病気に対し自分なりの意味を見出す、重い病気の治療に取り組む子供達が自己意識を取り戻すといった効果が確認されている。同基金はまた、アメリカで1年半の訓練を受けた「セラピードッグ」を病院に常勤させるというプログラムを、2010年1月に日本で初めて静岡県立こども病院に導入した。病床に赴き治療に付き添うセラピードッグは、病気と闘う子供達に勇気と癒しを与えている。 2011年の東北地方太平洋沖地震と津波の被害を受け、同基金のノウハウを生かした「シャイン・オン!ニコニコ大使」等の支援活動を行っている。「ニコニコ大使」として派遣されたガイ・トタロが、被災地の学校を訪れ子供達に笑いを届けることで少しでもストレスを緩和しようという試みである。
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