設立の経緯と名称問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 07:42 UTC 版)
「メルク・アンド・カンパニー」の記事における「設立の経緯と名称問題」の解説
歴史的には1827年にドイツで創業されたメルク社(Merck KGaA)のアメリカ拠点として1891年にニューヨークに設立されたのが始まりで、それを第一次世界大戦中の1917年、敵国企業としてアメリカ政府がその資産とともに接収し、別個のアメリカ企業として独立させたものである。 ニューヨークに米国メルク(Merck & Co.)を設立したのは、メルク社(Merck KGaA)をドイツで創業したエマニュエル・メルク(Emanuel Merck)の孫、ジョージ・W・メルク(George W. Merck)であり、この設立年である1891年が米国メルクの設立年とされている。 一方、第一次世界大戦後にもドイツを拠点とするメルク社(Merck KGaA)は事業を継続していたため、結果として二つの「メルク」が今日まで存在し、それぞれ医薬品を扱う世界的企業として発展するに至っている。 このような経緯を背景に、両社では以下のような名称の使い分けを実施している。 当記事が解説する製薬会社 北米(アメリカ合衆国とカナダ)における名称: メルク (Merck & Co.、メルク・アンド・カンパニー) その他の国や地域における名称: MSD (Merck Sharp & Dohme) 「米国メルク」と呼んで峻別する場合もある ドイツを拠点とする化学・医薬メーカー 北米(アメリカ合衆国とカナダ)における名称: EMD (Emanuel Merck Darmstadt) その他の国や地域における名称: メルク (Merck KGaA) 「ドイツメルク(German Merck)」と通称されたり、創始者名から「Eメルク(E. Merck)」、あるいは本社の所在地から「メルク・ダルムシュタット(Merck Darmstadt)」と呼ばれることもある 北米を含む全世界向け英語ウェブサイトや投資家向け報告書等では「メルク カーゲーアーアー、ダルムシュタット、ジャーマニー (Merck KGaA, Darmstadt, Germany)」を用いている。「KGaA, Darmstadt, Germany」を併記することで Merck & Co. とは区別出来るので、北米においても Merck の名称を使用することは可能だと独メルクは主張している 医薬部門は2007年、合併に伴い「メルクセローノ(Merck Serono)」となったが、北米での名称は「EMDセローノ」である。 同じくアメリカ政府によって接収され、以後同名の会社が米独両国に存在した製薬関連企業の例にはシエーリング社があるが、アメリカのシェーリング社はシェリング・プラウへの移行を経て、奇しくも2009年には米国メルク(Merck & Co.)に吸収合併されている。また、ドイツのシエーリングは2007年、同じくドイツの製薬会社・バイエルに買収されて消滅している。
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