言語の使用:標準語とクレオール語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/03 17:25 UTC 版)
「ジャマイカ英語」の記事における「言語の使用:標準語とクレオール語」の解説
ジャマイカ標準英語とジャマイカ・クレオール語は、島の中で典型的なダイグロシアの形態で並行して存在する。クレオール語はほとんどの人々によって毎日、非公式の状況で使用される。それはもっともジャマイカ人がくつろいで使用し、最も詳しい言語で、地域のポピュラー音楽の言語でもある。一方、ジャマイカ標準英語は、教育やハイカルチャー、政府、メディア、公式のコミュニケーションにおける言語であり、ジャマイカの少数の人々(通常は上流階級、と伝統的な中流階級)の母語でもある。クレオール語を主に使用する人々のほとんども、学校教育、公式の文化、マスメディアを通じて、標準英語には堪能である。標準英語に関しては、彼らの受動的能力(読む・聞く)は、概して能動的能力(話す・書く)よりもはるかに優れている(彼ら自身の標準英語を意図した発言・記述には、クレオール語の干渉の兆候がしばしば示される)。 ジャマイカでの書き言葉も標準英語でなされる。これは私的な文書や手紙も含まれる。ジャマイカ・クレオール語には標準化された綴りがあるが、最近では一部の学校で教えられるのみであった。その結果、ジャマイカ人の大多数は、標準英語のみを読み書くことができ、書かれた方言(作者が読みやすさに妥協せずに、異なった度合いで独特な構文と発音を反映させようとしたもの)を解読するのには苦労を要する。書かれたクレオール語は主に文学、特に民俗学的な「方言詩」、ユーモアを込めた新聞のコラム、特に最近では、若い世代のジャマイカ人たちによるインターネットでの言葉として現れる。彼らは親よりも積極的に自身の言語を使用しているように見受けられる。 便宜上ジャマイカの言語は習慣的に標準英語とクレオール語との対比で説明されるが、この明確な二分法ではジャマイカ人の実際の言語使用についてほとんど説明できない。広い意味でのパトワと、もう片方の「完全な」標準英語の二極の間には、様々な中間の言語変種が存在する。この状況は、クレオール語が標準語(上層方言)に持続して接触している時に起こり、クレオール口語連続性と呼ばれる。最も格式の低い(最もクレオール語である)変種は下層方言(basilect)、格式の高い標準変種は上層言語(acrolect)、上層方言と下層方言の中間は、中層方言(mesolect)と呼ばれる。 以下にその形式を例示する。 "Im a wok ova de-so"(下層方言) "Im a workin' ova de-so"(低い中層方言) "(H)e is workin' over dere", "(高い中層方言) "He is working over there."(上層方言) ジャマイカ人は、状況によってこれらの変種から話法を選択する。クレオール語を主に使用する話者は、例えば公式のビジネスや結婚式のスピーチなどの改まった場ではより高位の変種を選ぶだろうし、友人との関わりにおいては低位のものを選ぶ。標準語を主に使用する話者は、仕事場でいる以上に市場で買い物をする時に、より低位の変種を取り入れるだろう。例えば標準英語を主に使用する話者が、ユーモラスな意味を持たせる目的、あるいは連帯感を表したい時に、より低位の変種を選ぶなど、コード・スイッチング(Code-switching:意識的な言語の切り替え)自体も隠喩的である場合がある。
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