表現の特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:22 UTC 版)
金日成に言及する際は必ず「主席」や「大元帥」の敬称と、「偉大なる金日成主席」あるいは「偉大な領袖」という修飾語が付く。近年は太陽節にちなみ、「太陽のように明るく微笑む」という修辞句も多用される。金正日についても、1980年代以降に後継者としての地位が固まると、「親愛なる金正日書記」という表現が固定化し、金日成没後には「偉大なる金正日総書記/国防委員長」と絶対敬語となった(現在でも単に「主席」といえば金日成、「総書記」といえば金正日を指す)。これに対し金正恩は、最高指導者となった後も「敬愛する金正恩元帥」と、祖父・父よりも抑えた表現となっている。 大韓民国は「南朝鮮」(みなみチョソン)あるいは「共和国南半部」と呼称する。また李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵など保守政権に対しては、「南朝鮮傀儡(傀儡一味・反民族集団)」「イ・ミョンバク/パク・クンヘ集団」「傀儡国防軍/〇〇省」と攻撃的な表現になる。これはアメリカ合衆国連邦政府によって、朝鮮半島南部に傀儡政権が打ち立てられ、朝鮮民族統一を妨害しているという前提に立っているためである。なお、南北首脳会談や南北合同チームのたぐいは、必ず「北南〜」と言い換える。 アメリカ合衆国のことは「アメリカ帝国主義」(米帝)・「アメリカ帝国主義者」などと放送する。 日本植民地時代のことは日本帝国主義(日帝)などと放送する。金日成が抗日パルチザン闘争により神聖化され、「白頭山(ペクトゥザン)の革命血統」として世襲が正当化される関係で、日本はアメリカや韓国に次いで罵倒されやすい。日本国政府の政治指導者についても「日本首相・安倍」などと呼び捨てにするが、2002年と2004年の日朝首脳会談で日本人拉致問題の解決のために訪朝した時は「小泉純一郎・内閣総理大臣」や「安倍晋三・内閣官房副長官」と敬称・肩書を付けて放送していた。また、北朝鮮に友好訪問・祝電、金一族に贈り物をした日本人も同様である。 2011年12月の金正日死去の追悼放送では、「朝鮮労働党党員、人民軍将兵、人民皆に告げる」という冒頭のように、政党・軍隊・政府という社会主義国の序列がうかがえる(中国の毛沢東の死去を伝えた北京放送の『全党、全軍、全国各民族人民に告げる』という表現を踏襲したものと考えられる)。労働新聞とともに、賞賛・非難の方法・文言、個人や機関・役職の序列などに注意すると、クレムリノロジーと同様、幾分かは内政の変化がうかがえる。
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