表現の特徴とは? わかりやすく解説

表現の特徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 05:42 UTC 版)

ピンク映画」の記事における「表現の特徴」の解説

ピンク映画は文字通り、性描写第一義とする映画である。しかし、長らく描写対す規制強かったこと、監督スタッフ映画業界関係者少なからず存在すること、大学映画専門学校出身の作家監督脚本家)やスタッフ俳優そもそも映画業界志望であって一般映画への憧憬強かったことなどから、性描写力点を置きつつも一般映画としての質を望むことも多かったこのため欧米ポルノ映画ではあまり省みられない映画としての評価と、性描写女優美貌などポルノとしてのクオリティ共存する日本独特のものとなったピンク映画低予算早撮り特徴としており、一般的な作品場合300万円程度予算撮影期間3日ほど。したがって多く場合には2晩徹夜撮影をし続ける。かつては専用スタジオ用いた撮影一部行われていたが、一般的にはオールロケが主流である。限られた予算補助のために、ロケとして用いられホテル飲食店クレジット映画内部表示するなど、苦心の策も用いられたという。また、この「300万円3日」という数字は、1960年代から物価大幅に高騰した21世紀にまで変わっておらず、特にフィルム使用時代末期の現場窮乏きわめた逆に初期現場には(制作会社ピンハネにもよるが)余裕があるケース存在し1960年代末に業界入りした浜野佐知総勢30人近いロケなども体験したことがあるという。 ピンク映画作風作家影響するが、それ以上影響が強いのが会社側の要求である。一般的に作家側は芸術的映画的作風を望むのに対し会社側は性描写などポルノとしてのクオリティを望むことが多い。このぶつかり合いの中で作品生まれと言ってよい。 低予算短期間で、作家性の強い新人多く起用することからピンク映画一種インディペンデント作品思われることもあるが、ピンク映画そのものはむしろかつてのプログラムピクチャー方に性格近くこのような制限の中で作家側が独自のカラーを出すことになる。 この「縛り」は会社によってまちまちであり、厳しく条件要求しアダルトビデオ追随するような作品求め会社もあれば、作家側に裁量多く与えている鷹揚会社もある。作家主義が出やすいのは当然後者であり、ミニシアター映画祭において上映されて「映画」として評価されるのはこのような作品である。その一方で会社ピンク映画特化した観客好評なのは前者において制作されポルノとしての性格が強い作品という場合もあり、時としてピンク映画興味を持つ一般映画ファンピンク映画ファンの間に評価違い生み出すことがしばしばある。 しかし、このような低予算早撮りという制作形態はかつてのアメリカB級映画共通しており、事実大手制作会社一部大作除き自社制作から撤退し社員監督を雇わなくなってからはアメリカB級映画がそうであったように、ピンク映画映画監督養成機関であると同時に登竜門として重要な役割果たしていた。 映画タイトル監督脚本家意向反映されず、仮タイトルのまま撮影が行われ、公開直前公開館や配給元の営業セクション決められることが多い。脚本家満八によると「昭和以来風習」である。このためソフト化R-15編集の際は同一作品ながら(表現規制などもあり)別タイトルになることも多い。

※この「表現の特徴」の解説は、「ピンク映画」の解説の一部です。
「表現の特徴」を含む「ピンク映画」の記事については、「ピンク映画」の概要を参照ください。

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