薬剤設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:37 UTC 版)
「Folding@home」の記事における「薬剤設計」の解説
薬物は、標的分子上の特定の位置に結合し、標的を無効にしたり、コンフォメーション変化を起こしたりするなど、所望の変化を引き起こすことで機能する。 理想的には、薬物は非常に特異的に作用し、他の生物学的機能を阻害することなく標的にのみ結合することが望ましい。 しかし、2つの分子がどこでどのように強固に結合するかを正確に決定することは困難である。 計算能力に限界があるため、現在のインシリコ(in silico)法は通常、正確さと速度を両立させなければならない。 例えば、計算コストのかかる自由エネルギー計算の代わりに、迅速なタンパク質ドッキング(英語版)を使用するなどである。 Folding@homeの計算性能により、研究者は両方の方法を使用し、その効率性と信頼性を評価することができる。 コンピュータ支援創薬は、創薬のスピードアップとコスト削減につながる可能性がある。 2010年、Folding@homeは、MSMと自由エネルギー計算を用いて、X線結晶構造解析によって実験的に決定された結晶構造から、ヴィリン(英語版)タンパク質のネイティブ状態を1.8オングストローム(Å)の平均二乗偏差(RMSD)以内で予測した。 この精度は、本質的に構造化されていないタンパク質を含む、将来のタンパク質構造予測手法に意味を持つ。 科学者たちは、Folding@homeを利用して、最後の手段の薬(英語版)であるバンコマイシンや、ペニシリンなどの抗生物質を分解するβ-ラクタマーゼを研究することで、薬剤耐性の研究を行ってきた。 化学活性は、タンパク質の活性部位に沿って発生する。 従来の薬物設計法では、標的タンパク質が1つの剛体構造に存在すると仮定して、この部位に強固に結合し、その活性を阻害する。 しかし、このアプローチが有効に働くのは、全タンパク質の約15%に過ぎない。 タンパク質にはアロステリックサイトが存在し、低分子と結合することでタンパク質の構造を変化させ、最終的にはタンパク質の活性に影響を与える。 これらの部位は魅力的な創薬標的であるが、その位置を特定するには非常に計算コストがかかる。 2012年には、Folding@homeとMSMを用いて、β-ラクタマーゼ、インターロイキン-2、RNase Hの3つの医学的に関連のあるタンパク質のアロステリックサイトを同定した。 既知の抗生物質の約半分は、細菌のリボソームの働きを阻害するもので、メッセンジャーRNAをタンパク質に翻訳することでタンパク質の生合成を行う、大きくて複雑な生化学的機械である。 マクロライド系抗生物質はリボソーム出口トンネルを塞ぎ、細菌の必須タンパク質の合成を妨げる。 2007年、パンデ研究室は、新しい抗生物質の研究と設計のための助成金を受けた。 2008年には、Folding@homeを使って、このトンネルの内部と、特定の分子がどのように影響するかを研究した。 リボソームの完全な構造は2011年の時点で決定されており、Folding@homeでは、リボソームタンパク質(英語版)の機能の多くがほとんど解明されていないため、リボソームタンパク質のシミュレーションも行っている。
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薬剤設計
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「ロイコトリエン拮抗薬」の記事における「薬剤設計」の解説
ロイコトリエンの作用を阻害する為に、主に2つの方法が取られる。
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