薬剤費・苦味の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:08 UTC 版)
「マクロライド系抗菌薬」の記事における「薬剤費・苦味の問題」の解説
マクロライド系抗菌薬の実地臨床上の重要な弱点は、耐性の問題の以外に、抗菌薬の中では比較的高価である事が挙げられる。マクロライド系抗菌薬は化学構造が複雑なため人工合成が難しく、微生物に抗菌薬を生合成させてから分離精製する手間が必要があったり、特性を改善するため分離精製後に化学修飾を行う必要がある事が関係している。 また一般に軽視されがちな「マクロライド系抗菌薬は一般に苦味が強い」という点も、乳幼児に経口投与する際には重大な問題になり得る。抗菌薬は不規則な服薬をすると耐性菌の発生を助長する可能性が高く、また苦味によって患者が投与をためらうと不規則な服薬に繋がる。このため、医師や薬剤師は服薬コンプライアンスの維持に注意を払い、また味が良くないせいで患者が薬を飲まなくなることを避けるために製剤を工夫してきた。例えば、裸錠ではなくフィルムコーティングを錠剤に施すことで、噛み砕いたり、口の中で溶かしたりしなければ苦味はほとんど問題にならなくなる。カプセル剤として製剤しても同様である。ただ、散剤などの剤形ではどうしても苦味が感知されやすい。そこで、散剤でも甘味のコーティングを工夫したり、苦味を抑える添加物を加えるといった改良が行われてきており、以前よりも苦味に対する問題は少なくなりつつある。一方で、この製剤の工夫も薬剤費を高くしうる。14員環マクロライド系抗菌薬に比べて16員環マクロライド系抗菌薬は苦味が少ないため、この点では有利になり得る。 なお経口服用が出来ない場合、注射薬や他の抗菌薬への変更を考慮する場合もある。
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