落札率100%の隠蔽と予定価格漏洩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 00:08 UTC 版)
「こまきこども未来館」の記事における「落札率100%の隠蔽と予定価格漏洩」の解説
2018年7月に「(仮称)小牧市こども未来館」と同じくアール・アイ・エーが設計業務を受託しラピオ内に整備が進められている子育て包括支援センターの2つの設計業務で、市の予定価格(こども未来館が1億2345万4800円、子育て包括支援センターが1080万円)がアール・アイ・エーの見積価格と同額で落札率100%だった事を、市民団体が情報公開請求で同契約に関する書類を得て指摘するまで問題とせず、公表していなかったが発覚。これらはいずれも随意契約で、市が定める上限の予定価格に収まるまでアール・アイ・エーが見積もり額を繰り返し提出できる方式だった。なお、全国市民オンブズマン連絡会議は「90%以上は談合の疑いがあり、95%は疑いが極めて強い」と指摘しており、官製談合が強く疑われている。 同年9月19日、小牧市議会でこの問題に関する質疑が行われた。市議会議員が「(市の予定価格と落札率が)100%同じだが、おかしいとは思わなかったのか」と質問すると、市側は市の職員とアール・アイ・エー社社員の双方に予定価格の漏洩がなかったか聞き取り調査を行った事を説明。山下市長は「まったくありえないことではないが、これだけで決めつけの判断はできない」と主張した。その後、子育て包括支援センターの監理業務も市の予定価格(税抜き509万円)も落札率100%でアール・アイ・エーが落札していた事が発覚。10月1日に市はこの一連の問題に関し情報漏えいがなかったかなどを調べるため、弁護士などによる第三者委員会の設置を発表した。これに対し10月17日、市民団体「小牧の図書館を考える会」が第三者調査委員会の設置基準で日本弁護士連合会のガイドラインの準拠を求めるとともに、選考基準の透明性や調査対象に新図書館設計委託業務も含めることを求める要望書を山下市長に提出。さらに10月24日、市民団体「小牧市政をかえる会」が小牧市議会議長に「(仮称)小牧市こども未来館」の官製談合疑惑に対する百条委員会の設置を要請した。 同年11月22日、この問題と市職員の自殺問題を調査するための第三者委員会設置を決めるための臨時議会が開催された。市は子育て包括支援センターの基本設計・実施設計委託業務に関しては予め予算額が公開されているため、同一額の提出は可能として、残りの2件(こども未来館整備の基本設計・実施設計委託業務と子育て包括支援センター工事の監理委託業務)のみ調査する第三者委員会設置の条例案を提出したが、市議会は「すべての契約を調査すべき」としてこの条例案を否決。そして3件全てを調査対象とする修正案を可決した。市はこれに対し「12月のなるべく早い時期に第三者委員を任命し、来年3月までに報告書をまとめたい」とした。 同年12月25日、市は第三者委員会として弁護士の服部一郎と村瀬桃子、中部大学工学部建築学科准教授の松山明を発表。12月27日に委嘱状を交付。調査結果を翌2019年3月までに発表する予定としていたが、2019年3月時点で延長され、同年5月29に発表された。第三者委員会は3件の内1件でこども未来部の38歳の男性職員が「価格を推測させるような情報を業者に与えた」「漏洩はあった」と報告。これを受けて市は同日付で男性職員を地方公務員法の守秘義務違反で停職1か月、同部上司の2人を減給1か月の懲戒処分とした。これに対し漏らしたとされた職員は「金額は示唆しておらず、守秘義務違反とは認めがたい」として、停職1か月の処分の撤回を求めて市の公平審査委員会に不利益処分審査請求を提出している。これに対し市側は市議会6月定例会で市議の「漏らしとされた男性職員は漏えいの事実を認めておらず、周辺職員へのさらなる聞き取りが必要ではないか」という質問に対し「漏えいかどうかは顧問弁護士に確認した」とし、山下市長は「(漏らしたとされた職員は)第三者委員から認識の甘さを指摘されているので、本人も含めて受け止めなければならない」と主張し、さらなる調査は行わない考えを示した。
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