自治労国費協議会と社会保険庁との「覚書」「確認事項」について
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「年金記録問題」の記事における「自治労国費協議会と社会保険庁との「覚書」「確認事項」について」の解説
「自治労国費評議会(現・全国社会保険職員労働組合)」は年金記録検証委員会の報告書で指摘されたように、オンライン化に反対し、その導入にあたっては社会保険庁と、「コンピューター入力の文字数は一日平均5000字まで」「端末の連続操作時間は45分以内」「45分働いたら15分休憩」「ノルマを課してはならない」などの内容を含む「覚書」「確認事項」をいくつも結んでいた事実が明らかになった。 これらについて、産経新聞は2007年(平成19年)6月16日付の紙面で、下記のように労組を批判する記事を掲載した。 社会保険庁は数十人の幹部と1万数千人の職員で構成されており、数年で本省に転出する幹部と違い、社保庁に勤務し続ける一般職員をまとめる役割を果たしていた労組の職場での影響力は大きかった。 労使のなれ合いと職員の怠慢が年金記録問題の根本原因である。 また、読売新聞は、2007年(平成19年)6月16日付の紙面で、上記の「覚書」等を指摘した上で、「実際に国民から『社会保険事務所が混雑しても、職員は平然と休憩している』『職員向けマッサージチェアの購入など年金保険料が流用された』といった批判が出ているのも事実だ。」と批判した。 年金記録問題が大きな政治的争点に浮上したことにより与党は、これらの「覚書」「確認事項」を取り上げ、混乱を招いた責任は、職員の怠慢を引き起こした労組にあるとする主張を展開した。また一部メディアや言論人らも、同様の批判を行った。 これら批判に対して自治労本部と全国社保労組は、2007年(平成19年)6月11日付で「『年金記録問題』に対する基本的考え方」を発表し、これらの批判に対して以下のように反論した。 位置付け 全国社会保険職員労働組合(旧自治労国費評議会)と社会保険庁当局との間で交わされた「覚書」「確認事項」とは、法的拘束力を持たない、いわゆる「紳士協定」的な位置づけであり、そのほとんどが新たな業務を開始するにあたって、現場が混乱しないよう、ひいては行政サービスに支障をきたさないよう、労使間で整理してきたものである。 破棄に至る経緯 2004年(平成16年)の年金国会後の社会保険庁改革がスタートした際、この「確認事項」等について改革の妨げになるのではないかとの懸念がなされたこと、その内容についても、既に相当な時間を経過していることもあり、その後の業務取扱いの変更などにより必要がなくなっているものも多くあったことなどから、2005年(平成17年)1月までにこれらの「覚書」、「確認事項」はすべて破棄している。 覚書の内容 端末操作時間やキータッチ数の規定(「窓口でのパソコン作業では、キーボードを45分操作したら15分休憩」「キーボードへのタッチは1日当たり平均5000以内」)など「内容が非常識である」と指摘されている「覚書」については、1979年(昭和54年)に社会保険業務を全国でオンライン化するにあたって交わされたものである。当時はキーボードを扱うオンラインシステムなどがまだ一般社会に普及しておらず、頸肩腕障害の社会問題化などのコンピュータによる健康面への影響が懸念された時代に、労使間で整理された「機器操作にあたる職員の健康管理にかかるルール」であり、連続作業時間ごとに「操作しない時間」を設けることなどは、現在の厚生労働省ガイドライン(VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン)にも盛り込まれている。 年金記録問題との関連 今回の「年金記録問題」については、多くの現場職員を組織する労働組合としても「利用者の立場に立った対応に不十分さがあったこと」「チェック機能が不十分であったこと」などを真摯に反省し、国民の不安解消にむけて精一杯努力しなければなりませんが、一部で指摘されているように、様々な問題が「労働組合のせい」で生じたかのように断罪されることは事実誤認である。
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