自律神経系のうち脊髄に由来する線維について(腰髄、胸髄に起始する交感神経系及び骨盤内臓神経)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 00:54 UTC 版)
「自律神経系」の記事における「自律神経系のうち脊髄に由来する線維について(腰髄、胸髄に起始する交感神経系及び骨盤内臓神経)」の解説
胸・腰髄の交感神経―胸腰系交感繊維は脊髄の灰白柱前側の背外側領域から起り、全ての胸髄と上から2~3の腰髄前根を通る。これらの節前線維は白交通枝(white rami communicantes)へ入り交感神経幹へ向かい、多くはその神経節で終わり、残りは前脊椎神経節神経叢を通りその副神経節で終わる。その節後線維は広範囲に分布する。神経幹及び四肢の皮膚の血管収縮線維は例えば、全ての胸髄と上から2~3の腰髄の節前線維の様に脊髄を離れ、交感神経幹の枝または近輪の神経節に直接接続している神経節で終る。それらの神経節から生じる節後線維は灰白交通枝を通りぬけて総ての脊髄神経へ向かい、皮膚神経叢へ分かれて最終的に小動脈へ接続する。その節後線維が必ず対応する同じ脊髄神経へ戻ってくる必要は無い。頭部への血管収縮神経は胸髄神経から出て、その節前線維は上頚神経節で終わる。その節後線維は内頚動脈神経とその分枝を通り抜けて様々な脳髄神経、特に三叉神経の感覚枝へ加わる。深部構造と唾液腺への他の線維はおそらく動脈に付随する。 腹部内臓の節後血管収縮線維は、多くの節前線維が終わる、前脊椎または副神経節中で生える。骨盤内臓への血管収縮繊維は下腸間膜神経節から生える。見たところ、毛への起毛線維および汗腺への運動線維は、皮膚の血管収縮線維と似た分布をしている。 血管収縮の中枢は生理学者により、顔面神経核の近くと特定された。その細胞からの軸索は、胸・上腰部の前柱の背側部にある節前線維の細胞体あたりで終了する脊髄の中を下る様である。 目の瞳孔散大筋への交感神経は、上部胸神経の前根で脊髄を離れる節前交感性線維から来る。これらの神経は交感神経幹に白交通枝を抜けて、上頚神経節に終わる。上頚神経節からの節後線維は内頸動脈神経と、眼球と瞳孔散大筋へのインパルスを導く長毛様体神経の道筋への三叉神経の視覚領域を通りぬける。それらの節前線維の細胞体は中脳から下る線維と接続する。 上頚神経節からの他の節後線維は分泌神経として唾液腺、涙腺、そして鼻、口および咽頭の粘膜の小さな腺に分布する。胸交感神経は心臓神経とも呼ばれ、新機能に対して促進性に作用する。すなわち、心拍数を増加させ、心収縮力を増強し、結果として一回心拍出量を増加させる。それらは脊髄の胸神経の上から4つか5つの前枝から現れ、第一胸神経節への白枝(white rami)で通り抜け、いくらかはそこで終了し、他は鎖骨下係蹄への下頚神経節を通る模様である。その節後神経は一部鎖骨下係蹄を通り心臓へ向かう。その途中で迷走神経からの交感性線維と混合して心臓神経叢を形成する。 胃、小腸、大部分の大腸の平滑筋系の抑制性線維は胸神経下部と腰神経上部の前根から現れる様である。これらの線維はwhite ramiと交感神経幹を通り抜けて、大内臓神経等の内臓神経を伝い、腹腔神経叢・上腸間膜神経叢などにある椎前神経節で終わる。 そして、腹腔と上腸間膜神経節からの節後線維(抑制)は胃、小腸、大部分の大腸に分布する。下行結腸、直腸、内部肛門括約筋への抑制性線維はおそらく下腸間膜神経節からの節後線維である。 胸腰部の交感神経は、中枢・副の2グループに分類されうる多数の神経節の存在によって特徴づけられる。 中枢神経節は2つの垂直な列に並び、中線の一方の側の1つは脊柱の部分的に前面、そして部分的に側面に位置する。各神経節は神経索により隣接した神経節と繋がってその様に交感神経幹の2つの鎖は形成される。副神経節は3つの大きな前脊椎神経叢で見られ胸郭、腹部、骨盤の中にそれぞれ位置する。 交感神経幹は頭蓋から尾骶骨(びていこつ)へ伸びる。頭部の末端は頚動脈管を遡って頭蓋へ入り、内頚動脈で神経叢を形作る。尾部の末端は収束して、尾骶骨の前側に位置する、1つの不対神経節(ganglion impar)で終わる。それぞれの幹神経節は頚部、胸部、腰部、仙骨に分類され、それらは首を除いて椎骨と密接に対応する。並びは以下の通りである。 頚部3神経節 胸部12神経節 腰部4神経節 仙骨4〜5神経節 首では神経節は椎骨の横突起の前に、胸部では肋骨の頭の前に、腰部では脊椎体の側面に、仙骨部では仙骨の前にある。 仙椎から起こる遠心性線維は第二、第三、第四の仙椎神経の前根から脊髄を出る。これら小さな有髄節前線維は骨盤で、節後線維が骨盤の内臓に分布する下腹部または骨盤の神経叢へ向かう、勃起神経または骨盤神経に集められる。運動神経は下行結腸、直腸、肛門、膀胱の平滑筋を通る。血管拡張神経はこれらの器官と外陰部に分布し、抑制線維はおそらく外陰部の平滑筋を通る。求心性自律神経はインパルスを骨盤内臓から第二、第三、第四仙骨神経へと導く。その細胞の源は脊髄神経節にある。
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