絶対的明示事項(使用者が労働者に対して明示することが絶対的に必要とされている事項)
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労働契約の期間に関する事項(同項第1号)期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間がない労働契約の場合はその旨を明示しなければならない(平成11年1月29日基発45号)。 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(更新する場合があるものの締結の場合に限る)(同項第1号の2)平成25年4月1日の改正法施行により追加された。更新の基準の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるものであることを要するものである。例えば、「更新の有無」として、「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」等を、また、「契約更新の判断基準」として、「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の勤務成績、態度により判断する」「労働者の能力により判断する」「会社の経営状況により判断する」「従事している業務の進捗状況により判断する」等を明示することが考えられるものである。また、更新の基準についても、他の労働条件と同様、労働契約の内容となっている労働条件を使用者が変更する場合には、労働者との合意その他の方法により、適法に変更される必要がある(平成24年10月26日基発1026002号)。 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(同項第1号の3)「従事すべき業務」は、具体的かつ詳細に明示すること(昭和22年9月13日発基17号)。雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えない(平成11年1月29日基発45号)。 事業主は、外国人労働者を採用するに当たっては、あらかじめ、当該外国人が、採用後に従事すべき業務について、在留資格上、従事することが認められる者であることを確認することとし、従事することが認められない者については、採用してはならない(「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号))。 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項(同項第2号)当該労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなければならない。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、所定労働時間を超える労働の有無以外の事項については、勤務の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものである(平成11年1月29日基発45号)。 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(同項第3号。ただし、退職手当や臨時に支払われる賃金を除く。)具体的には、基本賃金の額、手当の額、割増賃金の割増率、賃金の締め切り日及び支払日などである。就業規則の賃金規定が当該労働者について確定しうるものであればよく、例えば就業規則に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えない(昭和51年9月28日基発690号)。 退職に関する事項(同項第4号。なお、解雇の事由を含む。)明示すべき労働条件として、「退職に関する事項」に「解雇の事由」が含まれることを施行規則において明らかにすることとしたものである。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものである(平成15年10月22日基発1022001号)。
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