絶対的最小剰余
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 03:54 UTC 版)
他の剰余に対する制限の方法として、剰余の絶対値が最小となるように商を定める方法がある。この方法では、 −|n|/2 < r ≤ |n|/2 あるいは −|n|/2 ≤ r < |n|/2 の範囲に剰余 r が含まれる。この場合、ユークリッド除法と異なり r は負の値を取り得る。このようにして定められる剰余を絶対的最小剰余 (絶対値最小剰余とも。英: least absolute remainder, absolutely least residue, minimal residue) と呼ぶ。絶対的最小剰余を用いる場合の計算例は以下の通りである。以下では除数を 4, −4, 被除数を 22, −22 としている。 −|n|/2 < r ≤ |n|/2 22 = 5 × 4 + 2:商 5, 剰余 2 22 = (−5) × (−4) + 2:商 −5, 剰余 2 −22 = (−6) × 4 + 2:商 −6, 剰余 2 −22 = 6 × (−4) + 2:商 6, 剰余 2 −|n|/2 ≤ r < |n|/2 22 = 6 × 4 − 2:商 6, 剰余 −2 22 = (−6) × (−4) − 2:商 −6, 剰余 −2 −22 = (−5) × 4 − 2:商 −5, 剰余 −2 −22 = 5 × (−4) − 2:商 5, 剰余 −2 いずれの方法であっても、除数 n が 0 の場合、剰余 r は 0 でなければならず、被除数 m がどのような数であっても商 q を一意に定めることはできない。絶対的最小剰余とユークリッド除法によって定められる最小非負剰余、あるいは別の方法のいずれを用いるかは自由であり、与えられる剰余がそのいずれかであるかは予め決められた規約に従う。この規約は、計算する対象や計算機の機種、あるいはプログラミング言語により、まちまちである。簡単な分析とサーベイが "Division and Modulus for Computer Scientists" という文献にまとめられている。
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