第103回全国高等学校野球選手権大会 (だい103かいぜんこくこうとうがっこうやきゅうせんしゅけんたいかい)は、2021年 8月10日 から8月29日 までの15日間(休養日を除く)、阪神甲子園球場 で行われた全国高等学校野球選手権大会 である。2019年 の第101回大会 以来2年ぶりの開催である。
概要
前年の第102回大会 は新型コロナウイルス感染症 の流行により中止となったが、今大会は新型コロナウイルス感染症の流行が前年以来なおも続くなか、第93回選抜高等学校野球大会 と同様に感染防止対策を講じて開催された。
感染防止対策として、今大会の代表校の選手とチーム関係者、および大会関係者全員に対しPCR検査 が実施され、代表校関係者は大会前と初戦勝利後、準々決勝勝利後にPCR検査(最大3回)を受けることになる[ 2] 。球場での観戦は出場チームの応援団(部員、保護者、生徒等の学校関係者で構成され、個人情報等を把握でき、学校の管理下で出場チームを応援する団体)に限られ、一般の観客は入場できない[ 2] 。ブラスバンドはアルプス席で間隔を空ける形で最大50人まで可能[ 3] 。
また朝日新聞社 が運営するクラウドファンディング サイト「A-port」にて大会運営費用として1億円を募集した[ 4] [ 注釈 3] 。
日程
2020年
2021年
4月28日 - 日本高野連はこの日の理事会で3回戦と準々決勝の間に休養日が追加されることを決定した。よって大会期間は休養日を含め17日間に延長される[ 6] 。また準々決勝と準決勝の間の休養日に全国高等学校女子硬式野球選手権大会 決勝戦を甲子園球場で開催することが決定[ 7] 。なお、今大会の代表校は地方大会決勝戦から甲子園球場での大会初戦までの間隔が東京オリンピック開催に伴って大きく空いてしまうことも考慮し、特別に調整を目的とした練習試合の開催を認めることが日本高校野球連盟理事会により承認された[ 8] 。
6月26日 - 地方大会が全国のトップを切って南北海道で開幕した[ 9] 。
8月2日 - 東東京、西東京大会で決勝戦が行われ地方大会が全て終了し、49代表校が出そろった[ 10] 。
8月3日 - 組み合わせ抽選会をオンライン会議形式で実施[ 11] 。
8月8日 - 台風9号 接近による悪天候が予想されるため、8月9日に予定されていた開幕日の1日順延を決定[ 12] 。なお、天候不良により大会開会式が順延となるのは2017年 の第99回大会 以来[ 12] 。
8月10日 - 開幕。開会式では大会歌「栄冠は君に輝く 」を山崎育三郎 (歌手・俳優)が独唱した[ 13] 。
8月12日 - 第1試合のノースアジア大明桜対帯広農は、4回終了後に降雨 のためノーゲームとなる。同日予定の残り3試合もすべて中止となり、1日順延される[ 14] 。
8月13日 - 降雨のため同日予定の4試合はさらに1日順延される。これにより、3回戦と準々決勝の間に予定されていた休養日が消滅する[ 15] 。
8月14日 - 降雨のため同日予定の4試合はさらに1日順延される。これにより、準決勝と決勝の間に予定されていた休養日も消滅する。なお、3日続けての順延は1975年 の第57回大会 以来。今大会の順延は計4日となったが、これも第57回大会の計5日順延以来となる[ 16] 。
8月15日 - 降雨の影響によるグラウンドコンディション整備のため、同日の第1試合は午前11時試合開始となった[ 17] 。第4試合は午後7時10分試合開始・午後9時40分試合終了となり、共に最遅記録を更新した[ 18] 。
8月16日 - 政府 により兵庫県に緊急事態宣言 が発出される見通しであることを受けて、翌17日より代表校関係者の入場人数を更に制限することを発表した[ 19] [ 20] 。
8月17日
第1試合の大阪桐蔭対東海大菅生は、8回表東海大菅生の攻撃途中で降雨のためコールドゲーム となり7 - 4で大阪桐蔭が勝利[ 21] [ 注釈 5] 。なお、試合後の校歌斉唱は省略された。この日の残りの3試合は翌日に順延、これに伴い、決勝も28日(休養日は26日)に順延された。
この日に予定されていた佐山和夫 の野球殿堂 表彰式は甲子園球場内の貴賓室で執行された。
19日に智弁和歌山との初戦を控えていた宮崎商は大会開幕後に野球部選手ら5人の新型コロナウイルス陽性が判明し、その後、医療機関にて検査を受けた結果、陽性者13人、濃厚接触者8人という状況[ 注釈 6] となり大会本部は集団感染 と判断した[ 23] 。このため、宮崎商は大会出場を断念し、辞退を申し入れた。これにより、智弁和歌山は不戦勝で3回戦進出となった。大会における不戦勝は史上初[ 22] 。なお、宮崎商の大会出場回数はカウントされている。
選手1名が新型コロナウイルス陽性と判定されていた東北学院[ 注釈 7] が、『当事者が特定されることでその人物の将来に影響を及ぼす』との判断から大会への途中棄権を申し入れた。この結果、2回戦で同校と対戦予定であった松商学園は不戦勝で3回戦進出となった[ 24] 。新型コロナウイルス感染による出場辞退は2校目。
8月18日 - 降雨のため同日予定の3試合を1日順延したうえで日程を再調整し、出場を辞退した宮崎商と東北学院が試合をする予定だった2試合分を詰め、18日朝時点での試合日程から繰り上げられることが決まった。具体的には、順延した19日は当初の予定では3試合の予定だったが、4試合にすることが決定。以降、21日までの試合を4試合ずつにして対応することが決まった。そのため、3回戦以降の試合日程は18日時点では変更されないこととなった。なお降雨による順延は今大会6度目となり、1975年の第57回大会 の5度を上回る過去最多記録を更新した[ 25] [ 26] 。
8月19日 - 第1試合の近江対日大東北は、5回裏近江の攻撃途中で降雨のためノーゲーム[ 注釈 8] となり、当該試合と第2試合の西日本短大付対二松学舎大付については翌20日[ 27] の第1試合・第2試合にそれぞれ順延。なお、第3試合・第4試合は天候状況を見極めた上で、グラウンド整備終了後に予定通り試合が行われた。この結果、1回戦が終わり切らないうちに2回戦の試合を行う事になった[ 28] 。また、この日の順延に伴って日程が再編され、第7日から第9日(20日 - 22日)は1日4試合、第10日(23日)に朝8時試合開始予定で1試合のみを行うこととなり、決勝は29日(休養日は27日)に順延された。
8月23日 - 午前中に近江 対大阪桐蔭 の試合が行われたあと、午後5時からは第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会 の決勝戦が阪神甲子園球場にて行われた。
8月26日 - 準々決勝で京都国際 、智弁和歌山 、智弁学園 、近江 の4校が勝利し、選手権大会としては初めて、準決勝進出校4校が全て近畿地区の代表校となった[ 29] 。
8月27日 - 休養日。
8月29日 - 決勝戦および閉会式。智弁和歌山(和歌山)と智弁学園(奈良)による選手権大会史上初の決勝での兄弟校対決となった一戦は、智弁和歌山が9-2で智弁学園を下し、21年ぶり3回目の優勝。智弁和歌山は上述のとおり初戦となる2回戦が不戦勝となったため、実質4試合を戦っての優勝となったが、これは第52回大会 (1970年)で優勝した東海大相模以来で49代表制が定着した第60回大会 (1978年)以降では最少となる[ 30] 。なお8月29日に決勝戦が行われるのは、過去最も遅い記録となった。
代表校
組み合わせ・試合結果
1回戦 - 3回戦
-
2回戦
3回戦
8月20日(2)
西日本短大付
0
二松学舎大付
2
8月24日(1):延長10回
二松学舎大付
4
京都国際
6
8月19日(3)
京都国際
1
前橋育英
0
-
2回戦
3回戦
[ 注釈 9]
智弁和歌山 (不戦勝)
宮崎商
8月24日(2)
智弁和歌山
5
高松商
3
8月19日(4)
作新学院
7
高松商 [ 注釈 10]
10
-
2回戦
3回戦
8月20日(3)
樟南
0
三重
2
8月24日(3)
三重
3
敦賀気比
6
8月20日(4)
日本文理
6
敦賀気比
8
1回戦
2回戦
3回戦
8月21日(1)
弘前学院聖愛
3
石見智翠館
4
8月24日(4)
石見智翠館
5x
日大山形
4
8月21日(2)
浦和学院
3
8月10日(1)
日大山形
4
日大山形
4
米子東
1
1回戦
2回戦
3回戦
8月10日(2)
新田
4
8月21日(3)
静岡
2
新田
3
8月10日(3)
日本航空
5
東明館
0
8月25日(1)
日本航空
4
日本航空
1
8月11日(1)
智弁学園
7
智弁学園
10
8月21日(4)
倉敷商
3
智弁学園
5
8月11日(2)
横浜
0
広島新庄
2
横浜
3x
1回戦
2回戦
3回戦
8月11日(3)
高岡商
4
[ 注釈 11]
松商学園 [ 注釈 10]
17
松商学園 (不戦勝)
8月11日(4)
東北学院
東北学院
5
8月25日(2)
愛工大名電
3
松商学園
0
8月15日(1)
明徳義塾
2
ノースアジア大明桜
4
8月22日(1)
帯広農
2
ノースアジア大明桜
2
8月15日(2)
明徳義塾
8
県岐阜商
2
明徳義塾
3x
1回戦
2回戦
3回戦
8月15日(3)
神戸国際大付
2
8月22日(2)
北海
1
神戸国際大付
4
8月15日(4)
高川学園
3
小松大谷
6
8月25日(3):延長10回
高川学園
7x
神戸国際大付
6x
8月16日(1)
長崎商
5
長崎商
8
8月22日(3)
熊本工
4
長崎商
6
8月16日(2)
専大松戸
2
専大松戸
6
明豊
0
1回戦
2回戦
3回戦
8月16日(3)
阿南光
0
8月22日(4)
沖縄尚学
8
沖縄尚学
0
8月16日(4)
盛岡大付
4
鹿島学園
0
8月25日(4)
盛岡大付
7
盛岡大付
4
8月17日(1):8回途中降雨コールド
近江
7
大阪桐蔭
7
8月23日(1)
東海大菅生
4
大阪桐蔭
4
8月20日(1)
近江
6
近江
8
日大東北
2
準々決勝
試合日
試合順
勝利
スコア
敗戦
試合時間
勝利校の次戦
8月26日
第1試合
京都国際
3x - 2
敦賀気比
2時間20分
京都国際は準決勝・第2試合へ
第2試合
智弁和歌山
9 - 1
石見智翠館
2時間10分
智弁和歌山は準決勝・第1試合へ
第3試合
智弁学園
3x - 2
明徳義塾
1時間55分
智弁学園は準決勝・第2試合へ
第4試合
近江
7x - 6
神戸国際大付
2時間28分
近江は準決勝・第1試合へ
準決勝
試合日
試合順
勝利
スコア
敗戦
試合時間
8月28日
第1試合
智弁和歌山
5 - 1
近江
2時間10分
第2試合
智弁学園
3 - 1
京都国際
2時間13分
決勝
8月29日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
H
E
智弁和歌山
4
0
0
0
0
1
1
2
1
9
16
0
智弁学園
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
9
2
(和):伊藤、中西 - 渡部 (学):西村、小畠 - 植垣 本塁打 (和):渡部審判 [球審]田中 [塁審]堅田 ・尾崎・山口試合時間:2時間27分
智弁和歌山
打順 守備 選手
1 [中] 宮坂厚希(3年)
2 [二] 大仲勝海(3年)
3 [左] 角井翔一朗(3年)
左 須川光大(3年)
4 [右] 德丸天晴(3年)
5 [一] 岡西佑弥(2年)
6 [捕] 渡部海(2年)
7 [三] 髙嶋奨哉(3年)
8 [投] 伊藤大稀(3年)
投 中西聖輝(3年)
9 [遊] 大西拓磨(3年)
智弁学園
打順 守備 選手
1 [左] 前川右京 (3年)
2 [中] 森田空(3年)
3 [遊] 岡島光星(3年)
4 [三] 山下陽輔(3年)
5 [一] 垪和拓海(3年)
6 [捕] 植垣洸(3年)
7 [二] 中陳六斗(2年)
8 [右] 谷口綜大(3年)
9 [投] 西村王雅(3年)
打 三垣飛馬(3年)
投 小畠一心(3年)
打 足立風馬(3年)
大会本塁打
1回戦
第1号:緒方漣(横浜)
第2号:斎藤優也(松商学園)
第3号:田中大都(高岡商)
第4号:田村俊介 (愛工大名電)[ 注釈 12]
第5号:立石正広(高川学園)
第6号:平内純兵(盛岡大付)
第7号:花田旭(大阪桐蔭)
第8号:藤原夏暉(大阪桐蔭)
第9号:前田健伸(大阪桐蔭)
第11号:島瀧悠真(近江)
2回戦
第10号:中川勇斗 (京都国際)
第12号:玉木聖大(日本文理)
第13号:宮本赴希(石見智翠館)
第14号:前川右京(智弁学園)
第15号:阪上翔也(神戸国際大付)
第16号:小針遼梧(盛岡大付)
第17号:新井流星(盛岡大付)
第18号:松尾汐恩 (大阪桐蔭)
第19号:新野翔太(近江)
3回戦
第20号:森下瑠大 (京都国際)
第21号:中川勇斗(京都国際)
第22号:辻井心(京都国際)
第23号:櫻井虎太郎(二松学舎大付)
第24号:浅野翔吾 (高松商)
第25号:池田彪我(三重)
第26号:前川右京(智弁学園)
第27号:代木大和 (明徳義塾)
第28号:加藤愛己(明徳義塾)
第29号:西川侑志(神戸国際大付)
準々決勝
第30号:髙嶋奨哉(智弁和歌山)
第31号:代木大和(明徳義塾)
第32号:新野翔太(近江)
第33号:西川侑志(神戸国際大付)
第34号:山田陽翔 (近江)
準決勝
決勝
記録
記録
試合
従来の記録
最遅試合開始時刻
19時10分
1回戦・小松大谷 対高川学園 [ 注釈 13]
18時50分
第47回大会、報徳学園対広陵
最遅試合終了時刻
21時40分
21時27分
第50回大会、津久見対高岡商
その他の主な出場選手
各地方大会の日程
その後の出来事
松商学園の不戦勝となった2回戦の東北学院との試合を、11月7日 に松本市 の松本市四賀球場で行い、5‐4で松商学園がサヨナラ勝ちした[ 31] 。
脚注
注釈
^ 内2試合は宮崎商 と東北学院 が試合参加を辞退したことにより、不戦勝・不戦敗となった。
^ a b 兵庫・甲陽学院高校 卒(野球部出身)。始球式には同校のユニフォームで参加[ 1] 。
^ 2021年8月31日まで実施され、集まった額は1392万7884円だった。
^ 実際には、2020年の初頭から世界規模で新型コロナウイルス感染症 が拡大していることを受けて、国際オリンピック委員会 ・大会組織委員会 ・日本政府 ・東京都 が同年3月30日に開催を1年延期することで合意。
^ 降雨コールドは第80回大会 の専大北上vs .如水館 戦(7回裏途中6-6で引き分け)以来、降雨コールドによる決着は第75回大会 の鹿児島商工vs .堀越 戦(8回表途中3-0で鹿児島商工が勝利)以来となった。
^ 宮崎商業高は8月14日夕に選手1人が発熱、15日に病院でPCR検査を受け、新型コロナウイルス陽性が判明し、その後、16日までに新たに4人の感染が確認された[ 22]
^ 東北学院高校は11日に愛工大名電との1回戦に快勝。その後、13日と14日に選手1人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判定されたと発表され、15日の発表では地元の保健所から4人が濃厚接触者と判断された。16日夜、緊急対策本部の会議を開き、東北学院は個別感染と判断され、今後のPCR検査の結果を見て、21日に予定される松商学園との2回戦への出場を判断する方針だった[ 24] 。
^ 3回裏の近江・井口遥希のソロ本塁打は記録なしとなった。
^ 宮崎商の選手・関係者ら13人が新型コロナウイルス陽性が確認されたため試合を辞退。智弁和歌山は不戦勝で3回戦へ。
^ a b この試合の勝利で選手権大会における大正 、昭和 、平成 、令和 の4元号で勝利を記録した。
^ 東北学院の選手1人が新型コロナウイルスに感染したため棄権。松商学園は不戦勝で3回戦へ。
^ 選手権大会通算1700号
^ この試合は第4試合であったが、天候不良のため第1試合の開始が10時59分と大幅に遅れたことによる。
出典
関連項目
外部リンク
1910年代 1920年代 1930年代 1940年代 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代 地方大会 地方別成績 楽曲 関連項目
1942年から1945年は中断。取り消し線は開催中止。