第二部 住民消失惑星の謎 (Mad Ship Man)
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「祖父たちの戦争」の記事における「第二部 住民消失惑星の謎 (Mad Ship Man)」の解説
惑星「マヤ」へ接近する「エスクリプス20」の船内で、カルフーンは20回以上もグリッド管制官への呼び出しを続けていた。だが、肉眼で表面の模様が見えるほどに近づいても何の応答もない。その時、通信が入った。それは惑星の反対側を周回していた、定期船「カンディーダ」からだった。同船も12時間前から呼び続けているが応答がないばかりか、いかなる無線通信も傍受できないという。望遠鏡で観測しても街並みは整然としていて、大規模な自然災害があったとも思えない。カンディーダに緊急着陸する旨を伝えたカルフーンは、非常用ロケットを使って宇宙港へ降下していった。着陸して計器を調べると、ランディング・グリッドは動作しているようだが、2秒毎に不可解なパルスが入っていた。町の中には死体も含めて、人間の姿はひとつもない。レストランに入ってみれば、先ほどまで客がいたかのようにテーブルに料理が並べられている。それらの料理は腐ってはいないが、干からびかけていた。そして奇妙なことに地上車がほとんど無くなっていた。 販売店の地上車を借用してカルフーンとマーガトロイドは、住民が向かったと思われる方向に車を走らせた。やがてハイウェイは、他の町に続くものも合流して太くなっていく。上空から轟音が聞こえたので見上げると、カンディーダの救命艇が降下して何かを落とし、また宇宙へ戻っていった。落ちてきたのはパラシュートを着けた男と大金の入ったケースだった。男はアリソンと名乗り、この惑星で土地を買うために来たと話した。アリソンも同乗させて、なおも車を進めるうちに、マーガトロイドの筋肉とカルフーンの指先が規則的に痙攣することに気づいた。間隔は例のパルスと同じく2秒毎だ。カルフーンたちは感覚減少剤を飲んで、先を急いだ。カルフーンは頭の中で、ある畜産惑星で使われている家畜用力場との関連性を考えていた。家畜が逃げないように囲っておいたり、別の場所へ移動させたりするため、家畜にしびれる感覚を起こさせる力線だ。逃げないようにできるなら、逆に逃げさせるようにもできるはずだ。ハイウェイの終点に着くと、そこには何十万台もの地上車が止まっていた。そこには惑星中の住民が集まっていた。カルフーンの想像どおり、身体のしびれる感覚が起きたという。はじめはごく軽いしびれだったが、次は少し強くなり、その次はさらに強く、そして2日前には耐えられないほど痙攣したので、みんながここに避難してきたのだ。 カルフーンは惑星マヤの大統領に、家畜用力場のことを説明し痙攣の原因だと言った。大統領は避難している人々の、食料や水も尽きようとしていると言った。カルフーンは、エレクトロニクスの専門家2人を含む、屈強で武器を扱える者を6人選んでもらい、一緒に4台の地上車に分乗して宇宙港へ向かった。あの力場で痙攣させられる場所は、残っている感覚減少剤を飲んで乗り切った。その途中で、アリソンは住民が逃げてしまった土地を安く買うつもりで大金を持ってきた、ということも判明した。ランディング・グリッド制御室に着くと、カルフーンはエレクトロニクスの専門家と協議して、2秒ごとに起きるパルスのうちで、力場の発生に使われる0.5秒分のエネルギーを無効にする装置を組み立ててもらった。それが動き始めれば力場は止まる。そうすると力場を設置した犯人が、原因を調査しに来るかもしれないので、銃を持って周りを警戒する。 ほどなくライトを消した地上車が近づいてきたが、制御室の明かりを見てUターンしていった。力場を操作していた犯人と思われたが、後でゆっくり探せばいい。力場が消えたので、避難していた住民たちも次々に町へ帰ってきた。捜索隊が組織され、地下に隠された力場投射機を見つけ出し停止させた。じきに犯人も投降してくるに違いない。住民に恐怖を与えた力場だったが、良いこともあった。惑星マヤの土着植物は動きまわることができ、他の植物を食って栄養源としていた。もちろん地球産の植物も食う。力場の影響で土着植物は、筋肉に相当する部分が痙攣して破壊され、枯れていた。これまで食料のほとんどを輸入していたマヤでは、地球の穀物も栽培できるようになるだろう。カルフーンが惑星厚生省の役人に最新の医療情報を伝達しているとき、マーガトロイドは住民からコーヒーやキャンディをごちそうになり幸せだった。
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