秦漢の陶磁とは? わかりやすく解説

秦漢の陶磁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:05 UTC 版)

中国の陶磁器」の記事における「秦漢の陶磁」の解説

秦(221BC - 206BC)、漢(202BC -220AD)の陶磁について概説する短命王朝であった秦代陶磁として特筆すべきものは始皇帝陵兵馬俑である。西安郊外にある始皇帝驪山陵(りざんりょう)の東方位置する3つの兵馬俑坑からは陶製戦車100余台、陶馬約600体、武士俑約8,000体が東向き整然と列をなした形で出土した。これらは加彩灰陶である。武士俑は高さ180センチ前後等身大で、現状灰色呈しているが、元は各像に赤、白、黒などの彩色施されていた。着衣や冑、顔貌から沓に至るまで写実的に作られ顔貌は一体一体異なっている。 漢代には中国陶磁史上初めて、本格的な青磁登場したほか、灰釉陶器加彩灰陶黒陶鉛釉陶器などが作られた。殷周から春秋戦国にかけて、青銅器文化栄え一方で陶磁器発展はゆるやかであったが、漢代至って青磁の焼造という大きな技術的進歩があり、技法形態多様な陶磁器作られるようになった灰釉陶器は、漢代にも作られているが、前述のように紀元前3世紀頃には一時期灰釉陶器生産途絶えていたようで、時代的断絶がある。また、漢代灰釉陶器戦国時代のものに比べて技術的にはむしろ後退していることが指摘されている。漢代灰釉陶器典型的な作品は、壺などの上半部のみに釉が掛かり下半分は赤黒く焼き締まった胎土露出するもので、この種の作品おおむね前漢時代後半から後漢時代前半の作とみられる前漢前期属するものとしては、湖南省長沙馬王堆一号出土品があるが、これは印文硬陶の系統を引くもので、前述胎土赤黒く焼けたタイプとは異なる。 漢代において陶磁史上特記すべきことは、この時代本格的な青磁の焼造が始まったことである。中国における施釉陶(中国でいう原始磁器)の焼造は殷代紀元前1500年頃に始まったが、青磁称するにふさわしいやきもの登場するのは後漢時代紀元2世紀のことである。初期青磁焼いた窯は浙江省上虞窯、寧波窯などで見出されている。この時代青磁器は、よく溶けた灰緑色の釉が器全面掛かったもので、胎土、釉、焼成温度などの点で前漢までの灰釉陶器とは一線を画している。青磁とは、釉の成分の灰に少量含まれる鉄分還元炎焼成によって青く発色したもので、青磁釉成分の点では灰釉根本的な違いはないが、焼成技術と窯構造進歩にともない焼成温度調節管理適切に行われるようになって、青系のやきもの作られるようになった灰釉並んで中国陶磁基礎となっているのが鉛釉である。鉛釉陶器700800前後の低火度焼成によるやきもので、呈色剤に酸化銅用いると緑、酸化鉄用いると褐色ないし黄色に発色しそれぞれ緑釉、褐釉となる。後の唐三彩鉛釉陶器である。前述のとおり、戦国時代にも緑釉陶の遺品があるが、鉛釉陶器本格的に製作されるうになるのは漢代からである。緑釉陶、褐釉陶は実用の器ではなく明器墳墓への副葬品)として作られたもので、壺、鼎、酒尊などの容器のほか、や虎などの動物表したもの、さらには楼閣家屋井戸、竈などを表したものもあり、当時の人々来世でも現世同様の生活を願っていたことがうかがえる明器としては、前代引き続き加彩灰陶作られた。雲気文彩画した壺類が代表的な作品だが、墳墓副葬品としての人物像(俑)も加彩灰陶製作された。 加彩灰陶女子緑釉騎馬人物文壺 漢 緑釉博山酒尊 灰釉楼閣 加彩灰陶方壺

※この「秦漢の陶磁」の解説は、「中国の陶磁器」の解説の一部です。
「秦漢の陶磁」を含む「中国の陶磁器」の記事については、「中国の陶磁器」の概要を参照ください。

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