磐栄屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 01:08 UTC 版)
「風の市兵衛シリーズの登場人物」の記事における「磐栄屋」の解説
天外(てんがい) 内藤新宿の追分にある呉服と太物の問屋、「磐栄屋」(いわさかや)の主人。57歳。 元は秩父生まれだったが、6歳で人買いに売られ、内藤新宿の旅籠に小僧として買い取られた。女郎や客たちのお使いをしては駄賃をもらい、それを貯めた金を女郎衆に融通するなどして資金を貯め、17際の時に独立して「磐栄屋」を創業する。以来40年間、旅籠の飯盛や武家の内儀を顧客に手堅い商売を続けてきた。その誠実な人柄に、土地の人々からの信頼も厚い。 跡取りの多四郎を何者かに殺された直後、自身も襲われて重傷を負った。その後養生していたが、「大黒屋」の手下たちが新宿追分地面召し上げの沙汰をふりかざし、だんご長屋を打ち壊そうとしたとき、身を挺して阻止したが、その際、背中に雷神の入れ墨を彫っているのが見えた。そして、その無理がたたって傷が開いて倒れ、柳井宗秀の治療を受ける。手術後に市兵衛に自らの生涯を物語り、その数日後に息絶えた。 30年前、新宿を縄張りにして各店から迷惑料をむしり取っていた弾造というヤクザと対立し、やがて弾造を暗殺する。背中の彫り物はその直前に入れた。なお、この事件は迷宮入りになったが、当時捜査を担当していたのが渋井鬼三次の父だった。 お絹(おきぬ) 天外の娘。19歳。15年前に母お篠を亡くし、天外に男手一つで育てられてきた。 怪我をした父に代わって秩父の絹大市に白絹の買い付けに出かけることになる。そのため、道中の用心棒として市兵衛を雇った。そして、見事に買い付けを成功させ、途中刺客に狙われながらも無事に帰ってきた。 天外の死後、岸屋からの業務提携の申し出を断った席で、再び刺客に襲われたが、またも市兵衛に助けられる。その後、逃げる重五に追いつき、渋井に斬られた重五を懐剣で突き殺そうとしたが、瀕死の重五を憐れんで、ついに敵討ちを実行することができなかった。 多四郎(たしろう) 天外の跡取り息子で、絹の兄。仕入れ旅の途中、手代の亮助と共に何者かに殺害された。その上、天外まで襲われて重傷を負ったことから、不安になった番頭や経験豊富な手代たちが岸屋の引き抜きに応じ、一斉に店を辞めていった。 丸平(がんぺい) 「磐栄屋」の小僧。秩父の山奥出身の10歳。「宰領屋」から市兵衛を店まで案内し、絹大市での買い付けの旅にも同行した。 手代 長吉(ちょうきち)は、店に残った手代の中では最年長。他に、正太郎(しょうたろう)と彦造(ひこぞう)がいる。当初は3人とも、店の将来を危ぶみ、お絹による買い付けの困難を予想したり、岸屋に引き抜かれた先輩手代をうらやんだりしていた。市兵衛の古着下取り案にも反対したが、それが成功を収めると、前向きに仕事に取り組むようになった。 事件解決後、岸屋に引き抜かれた手代のうち2人が「磐栄屋」に戻ってきた。 若衆 安吉(やすきち)。17歳。若衆とは手代見習いのことだが、人手不足のため手代同様の仕事を任されている。普段は無口で気弱に見えるが、市兵衛が提案した古着下取りに賛同し、まず10日間に限って試してみて、うまくいけばまた年の瀬に実行するという修正案を出した。その時の態度を見た市兵衛は、商人としての心根がしっかりしていると評価した。 事件解決後、丸平から安吉がお絹から婿養子候補に選ばれたらしいという噂を聞いた市兵衛は、最初は心底驚きながらも納得した。 他の小僧たち 金太(きんた)が9歳、新吉(しんきち)が12歳、久助(きゅうすけ)が13歳、作蔵(さくぞう)が14歳。 お勝(おかつ) 3人いる下女の1人。店に残った若い奉公人たちは頭が上がらない。 佐七(さしち) 台所衆の頭。赴任したばかりの市兵衛に、絹大市や秩父絹について、また「磐栄屋」の由来について教えてくれた。
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