磐座信仰とは? わかりやすく解説

磐座

(磐座信仰 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/10 15:42 UTC 版)

磐座(いわくら、岩座)とは、古神道におけるに対する信仰のこと。あるいは、信仰の対象となる岩そのもののこと。

概要

日本に古くからある自然崇拝(精霊崇拝・アニミズム)であり、基層信仰の一種である。神事において神体である磐座から降臨させ、その依り代神籬という)と神威をもって祭祀の中心とした。時代とともに、常に神がいるとされる神殿が常設されるに従って信仰の対象は神体から遠のき、神社そのものに移っていったが、元々は古神道からの信仰の場所に、(やしろ)を建立している場合がほとんどなので、境内に依り代として注連縄が飾られた神木や霊石が、そのまま存在する場合が多い。

自然への信仰の例は以外にも、鎮守の森(「モリ」自体が神社をさし、杜は鎮守の森自身である)、禁足地としての「島」、宗像大社沖ノ島六甲比命神社三輪山などの「山」に対する信仰、「火」に対する信仰、などから、風雨という気象現象までの多岐にわたるものである。

岩にまつわるものとして他にも、磐座を中心とした祭祀場である磐境(いわさか)があるとされる[1]が、こちらは磐座に対してその実例がないに等しい。そのため同一のものと目されることもある。『日本書紀』では磐座と区別してあるので、磐座とは異なるなにか、「さか」とは神域との境であり、神籬の「」も垣という意味で境であり、禁足地の根拠は「神域」や「常世現世」との端境を示している。つまり磐境は、石を環状に配置した古代の遺跡であるストーンサークル環状列石)と同じもので、そこを神聖清浄な場所として保存するための境界石を人工的に組んで結界を形成して「神域」を示している祭祀遺跡であり、神籬とともに神社の原始形態とされている。

現在ではご神木などの樹木や森林または、儀式の依り代として用いられるなどの広葉常緑樹を、神籬信仰や神籬と言い、山や石・岩などを依り代として信仰することを磐座という傾向にある。

街道沿いにある巨石では、馬頭観音が彫られたり、有名な武士をつないだといった伝説が付されたりしたものもある。これらを含む磐座・巨石信仰を縄文時代に遡りうるとして、人工的に配列された磐座もあり、その配置が特定の図形や方位、あるいは星座の形などを表わしていると主張する研究団体(イワクラ学会)がある[2][3]。こうした見解に対して、そもそも磐座祭祀が開始されたのは古墳時代に入ってからであるとの指摘[4]や、巨石を人工物とする説への批判がある[5]

1999年には恵那市山岡町にて第一回イワクラ・サミットが開催された[6]

ギャラリー

脚注

  1. ^ 磐境』 - コトバンク
  2. ^ イワクラ(磐座)学会ホームページ
  3. ^ 東京新聞:磐座(イワクラ) 八王子に神宿る巨石:TOKYO発(TOKYO Web) - ウェイバックマシン(2018年12月28日アーカイブ分)『東京新聞』朝刊2018年12月27日(26面)2018年12月28日閲覧。
  4. ^ 時枝務『山岳霊場の考古学的研究』株式会社雄山閣、2018年。
  5. ^ 原田実「足摺岬縄文灯台騒動・最後のまとめ」
  6. ^ 「磐座の森」(岐阜県恵那市) 石神・磐座・磐境・奇岩・巨石と呼ばれるものの研究 2019年11月18日

関連項目

外部リンク


磐座信仰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/08 22:27 UTC 版)

守屋山」の記事における「磐座信仰」の解説

祠に向かって右側にある岩も磐座として信仰の対象であったかつては守屋山西側に住む人たちが旧6月朔日登山して、祠を拝した後に磐座を7回まわって諏訪上社参拝するという行事行い、これを「御七堂」と呼んだ磐座表面は文字しきもの彫ってあり、祈雨五穀豊穣を願うまじない痕跡ではないか思われる

※この「磐座信仰」の解説は、「守屋山」の解説の一部です。
「磐座信仰」を含む「守屋山」の記事については、「守屋山」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「磐座信仰」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「磐座信仰」の関連用語

磐座信仰のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



磐座信仰のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの磐座 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの守屋山 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS