病気概念への誤解と偏見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 08:57 UTC 版)
「自閉症」の語感から、内気な性格やひきこもりに至るような精神状態、またはうつ病を含んでいるように思われ、しばしば混同されることもあるが、これは自閉症に対する誤った認識である。 今でも一部の創作作品などで「自閉症」を誤用したり、また「後天的な自閉症」の存在をほのめかす間違った描写がされる場合がある。 上野千鶴子の著書著書『マザコン少年の末路』(1986年) で「自閉症や登校拒否症は母親が甘やかして育てたことが原因で、自立心を失ったマザコン」といった趣旨の記述をして、当事者団体から抗議を受けた。その後この著書は絶版処置が取られている。一方で「昔の発言には責任をとらない」と言明している。 ロックバンド黒夢の曲、『autism-自閉症-』。「自閉症」という言葉の意味を歌詞内で取り違えていたことにより、自閉症協会から抗議を受け、曲自体が絶版となる。ただし、この曲は自閉症患者のことを歌ったものではなく、当時のレコード会社を批判した歌である。 大阪市の「家庭教育支援条例案」2012年5月、大阪市では大阪維新の会の中の一部の市議が提案した「家庭教育支援条例案」の素案には、児童虐待や非行などを「発達障害」と関連させ、親の愛情不足に起因しているかのように記載されていた。この素案に対し、発達障害の子を持つ保護者らの13団体が議会を訪れ提案中止を要望した。また、大阪維新の会代表である橋下徹は、同条例案を「科学的ではない」とした上で、「発達障害の子どもを抱えているお母さんに愛情欠如と宣言するに等しい」と苦言を呈し、発案市議グループに内容の見直しを求めた。これを受け、市議団は5月議会での同条例提案の見送りを決めた。 クイズ番組2012年5月14日に放送されたテレビ朝日のクイズ番組・『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』において、ここ10年で患者数が増えている病気についての問題が出題された。その正答の一つとして自閉症が挙げられ、さらに、男性が頭を抱えながら落ち込んでいる様子を映した絵図が放送された。番組放送中に視聴者などからの指摘が多数寄せられたため、同局は番組公式サイト上に訂正・お詫び文を掲載した(現在は削除)。 一条ゆかりのマンガ『ロマンチックください』(1990) には、内気な女子高生に対して校医が「これで登校拒否にでもなってだな そうなるとあのタイプだと自閉症になるよなあ きっと」(P.57) と評するセリフがあり、ひきこもりやうつ病との混同が見られる。
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