生物毒素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/09 10:03 UTC 版)
「生物毒素」(biotoxin) という用語は、生物学的起源を明確に確認するために使用されることがある。 微生物によって生産された毒素は、微生物の病原性と宿主の免疫応答の回避の一方あるいは両方に関与する重要なビルレンス(毒力)決定因子である。 生物毒素は目的および機構で大きく差異があり、非常に複雑なタンパク質もあり(イモガイの毒素 (venom) は多数の低分子タンパク質を含んでいる)、比較的小さなタンパク質もある。 自然における生物毒素には以下に示す主要な功能がある。 咬傷(毒蛇、クモ、ムカデ、ヒョウモンダコ、コモドオオトカゲ、ドクトカゲ、ハイチソレノドン) 針・棘(刺胞動物、サソリ、ハチ、イモガイ、ミノカサゴ、アカエイ、オニオコゼ、カモノハシ、ガンガゼ) 触れ・食中毒(フグ、ピトフーイ、裸鰓類、ヤドクガエル、ファイアサラマンダー、アカハライモリ、有毒植物、毒キノコ) 噴出(ミイデラゴミムシ、シロアリ、ヒキガエル、ツチハンミョウ) シアノトキシン(藍藻毒)の生物学的役割については不明である。種間相互作用に関与する他感作用物質(アレロケミカル)として作用しているという仮説が提唱されているが、有効濃度などの点から異論がある。 その他よく知られた生物毒素の種類の一部を示す。 シアノトキシン: 藍藻(シアノバクテリア)が生産する ヘモトキシンは赤血球を標的とし破壊する。血流にのって輸送される。ヘモトキシンを生産する生物には以下のものがいる。ガラガラヘビといったマムシ亜科の毒蛇 ネクロトキシンは細胞の壊死(ネクローシス)を引き起こす。ネクロトキシンを有する生物には以下のものがいる。ドクイトグモ パフアダー (Bitis arietans) 壊死性筋膜炎(人食いバクテリア、化膿レンサ球菌) 神経毒(ニューロトキシン)は動物の神経系に主に影響を与える。神経毒素を有する生物には以下のものがいる。クロゴケグモ(英語版)ならびにその他のゴケグモ類 ほとんどのサソリ ハコクラゲ コブラ イモガイ 細胞毒素(サイトトキシン)は個々の細胞レベルにおいて有毒である。リシンはトウゴマに含まれる植物毒素である。 ハチ毒(アピトキシン) マイコトキシンは真菌によって生産される毒素である。穀物やその他の食品に含まれる毒素の一般的な源。 好酸球由来神経毒はヒトのRNASE2遺伝子のコードされている毒素である。好酸球でのみ見られる。
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