現在の交易状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/26 16:16 UTC 版)
「サフランの取引と利用」の記事における「現在の交易状況」の解説
サフランの栽培状況: 主要生産地域 主要生産国 その他生産地域 その他生産国 主な交易所(現在) 主な交易所(過去) サフランは、西は地中海から東はカシミールまでの広いベルト地帯で生産されている。その他の地域でも、南極大陸以外ではある程度生産されている。世界の年間生産高は、糸状・粉状を合わせて約3百トンである。この内、最高級とされる「クーペ(coupe)」の生産高は、1991年実績で50トンである。イラン、スペイン、インド、ギリシャ、アゼルバイジャン、モロッコ、イタリアの順に生産量が多く、イランとスペインだけで世界生産量の80%を占める。その他、オーストリア、イギリス、ドイツ、スイスなど中北部ヨーロッパでも生産されている。この内、スイスヴァレー州のムント村では、年間数キログラムしか収穫が無い 。このような極少量生産は、タスマニア(オーストラリア)、中国、エジプト、フランス、イスラエル、メキシコ、ニュージーランド、トルコ(特にサフランにちなんで名付けられたサフランボル)、カリフォルニア(アメリカ合衆国)、そしてイラン系アメリカ人によるアフリカ中部でも行われている。 サフランが高価なのは、多数の柱頭を手で摘み取るときに、熟練を必要とするからである。サフランの柱頭にだけ、あの独特の香りと味がある。その上、それを商取引するには、ある程度の量を確保しなければならない。1ポンド (0.45kg) の乾燥サフランを取るには、約5万本の花が必要で、その耕作面積はサッカーのフィールドと同じ位の面積(約60m角)が必要である。7万5千本が必要とする資料もある。これは、サフランの品種によって、柱頭の大きさが異なるためもある。しかも、収穫は、サフランの花が満開となる一時期に行わなければならない。1kgの乾燥サフランを得るには約40時間が必要であり、そのため収穫期には驚異的な忙しさとなる。例えばカシミールでは、何千もの農作業者が1週間から2週間の間、昼夜を通したシフト勤務で収穫を行う。 採取した柱頭は、すぐに乾燥が必要であり、それを怠ると売り物にならなくなる。伝統的な乾燥方法では、細かい網の目の上に広げ、炭か木で加熱した30℃から35℃のオーブンの中に10時間から12時間入れる。乾燥後は、ガラス容器に密閉する。 通常のサフランは、おしべとめしべを混ぜたものである。おしべには香辛料の効果がなく、着色料の役割を果たす。色は黄色というよりも、赤かオレンジに近い。 比較的低級のサフランでも500米ドル/ポンド(1100ドル/kg)であり、西洋では1000米ドル/ポンドである。小売価格はその10倍になる。もっとも、どの用途でも必要な量は少しである。医薬として使われる場合は数グラム、料理に使う場合には糸数本分である。1ポンドあたりの糸数は、およそ7万から20万である。 良質のサフランを入手するには、熟練が必要である。糸が鮮やかな真紅をしており、わずかな潤いがあり、弾力があるものが上質である。逆に商人から敬遠されるのは、赤レンガ色をしているもの(古い)、ビンの底に粉があるもの(古く乾いて脆くなっている)である。このようなものは端境期の6月に多く出回る。小売業者が前年のものを売り切ろうとするからである。そのため、信頼できる卸業者は、必要な量だけ買うように勧める。端境期が年の途中にあるため、信頼できる卸業者・小売業者が取り扱うサフランには、「2002/2003」のように2年分の年が記入されている。この例は、2002年後半の収穫であることを意味する。
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